中国、第15次5カ年計画で自由貿易を擁護 開放経済に再コミット
中国が2026〜2030年の第15次5カ年計画づくりに向け、「自由貿易」と「高水準の対外開放」を軸にした経済戦略を打ち出しています。保護主義の動きが世界で強まるなか、この国際ニュースは、サプライチェーンや投資の行方を考えるうえで見逃せない内容です。
「開放経済」を前面に出す第15次5カ年計画
最近開かれた中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議で採択されたコミュニケは、はっきりしたメッセージを打ち出しました。中国は今後も多国間の貿易体制を守り、世界と発展の機会を分かち合い、共通の成長を目指すという方針です。
このコミュニケは、2026〜2030年を対象とする第15次5カ年計画の基本文書となります。指針となる文言では、高水準の対外開放を進め、互恵的な協力の新たな地平を切り開くことが掲げられています。単に市場を開くというレベルにとどまらず、制度面での開放を広げ、国際的な経済フローを一段と活発にすることを目指すとしています。
各国で内向き志向や孤立主義への誘惑が強まるなか、中国は今後5年間を「開放を通じて自らの改革と発展を促す」期間と位置付けているのが特徴です。
第14次5カ年計画で積み上げた「開放」の実績
現在進行中の第14次5カ年計画(2021〜2025年)では、中国は貿易大国としての地位を一段と固めてきました。公表されている主な数字を整理すると、次のようになります。
- 貨物貿易の規模は世界トップクラスで、輸出シェアは14%超、輸入シェアも10%超を安定的に維持
- サービス貿易は前年に取引額が1兆ドルを超え、世界第2位のシェアを占める水準に
- 対内直接投資(FDI)は、第14次5カ年計画全体の目標額7000億ドルをすでに上回り、今年6月時点の累計利用額は7087億ドルに達したとされています
あわせて、中国は「質の高い開放」を掲げ、制度面の改革も進めてきました。外資規制の対象を列挙したネガティブリストは繰り返し短縮され、製造業分野での参入制限はゼロになったとされています。また、全国各地に設けられた22の自由貿易試験区が、高水準の国際経済ルールを試行する場として機能しています。
一帯一路パートナーとの貿易が過半に
こうした開放路線は、中国のパートナーの広がりとも連動しています。一帯一路構想に参加する国と地域との貿易は大きく伸び、中国全体の貿易額のうち半分超を占めるまでになっていると伝えられています。
王文濤商務相によれば、中国は現在、世界150を超える国と地域にとって主要な貿易相手となっており、世界のサプライチェーンの強靭性と安定性を支える役割を果たしているといいます。
規模の小さい国々にとって、安定したルールに基づく国際貿易秩序は生命線です。アイスランドのハッラ・トーマスドッティル大統領は最近北京で、国際社会をつなぎ止めるルールに基づく秩序が重要だと指摘し、中国がそこに重きを置いていることを評価する考えを示しました。
次の5年を支える4つの柱
第15次5カ年計画に向けて、中国は単なる市場開放を超えた戦略を描いています。王商務相が示した今後の4つの重点分野は次の通りです。
- 主体的に経済の開放を広げること
- 新しい形態やサービスを含む貿易のイノベーションを推進すること
- 中国への投資と海外への投資、その双方の空間を拡大すること
- 一帯一路協力の質をさらに高めること
中国は、自国の巨大な市場を世界に開かれた機会と位置づけ、海外企業が「来て、留まり、成長できる」環境づくりを進めるとしています。
日本と世界にとってどんな意味があるか
保護主義や地政学リスクが高まるなかで、大規模な開放経済を維持しようとする動きは、世界経済にとって一つの安定要因になり得ます。中国が多国間貿易体制の維持とサプライチェーンの安定を重視することは、輸出入に依存する多くの国や企業にとっても重要な材料です。
日本やアジアの企業の視点から見れば、次のようなポイントが注目されます。
- 製造業への外資規制が撤廃されていることによる、生産拠点や共同研究の可能性
- サービス貿易やデジタル関連分野での協力余地の拡大
- 一帯一路パートナーとの貿易拡大を通じた、新興市場へのアクセスルート
一方で、こうした計画がどのようなペースと形で進んでいくかは、世界経済の環境や各国の政策の影響も受けます。読者としては、中国の第15次5カ年計画の議論と実行プロセスをフォローしつつ、自国の産業やキャリアにどんな影響があり得るのかを考えておくことが大切だと言えそうです。
Reference(s):
Defending free trade: China commits to open economy in 15th FYP
cgtn.com








