ADB前総裁が語る中国経済の成長余地と質の高い発展 video poster
中国経済の先行きに世界の関心が集まる中、アジア開発銀行(ADB)の前総裁であり、国際経済戦略センターの理事長を務める中尾武彦氏が、2025年のブンド・サミット2025で中国経済の見通しについて語りました。CGTNのLi Mengyuan記者による単独インタビューで、中尾氏は中国経済にはなお十分な成長余地があり、その背景には中国の人びとの起業家精神とイノベーションの力があると指摘しました。
第20期CPC中央委員会第4回全体会議が掲げた「質の高い発展」
中尾氏が言及したのは、中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議(Fourth Plenum)の方針です。この会議では、「質の高い発展」をあらためて最重要課題として位置づけたとされています。
量的な成長ではなく、質の高い発展を重視するというメッセージは、中国経済だけでなく、アジアや世界経済にとっても意味を持ちます。とくに2025年現在、成長と安定、環境や格差など複数の課題を同時に解決することが各国共通のテーマとなっている中で、中国がどのようにバランスを取ろうとしているのかは、国際ニュースとしても注目されるポイントです。
第15次5カ年計画はアジアと世界にとって「重要」
インタビューの中で中尾氏は、中国の第15次5カ年計画がアジアと世界にとって重要だと強調しました。5カ年計画は、中国の中長期的な経済・社会運営の基本方針を示すものです。
なぜこの計画がアジアと世界にとって重要とみなされるのでしょうか。中尾氏の発言から読み取れるポイントを整理すると、次のようになります。
- 中国経済の方向性が、アジアの成長や貿易、投資の流れに大きな影響を与えること
- イノベーションや産業高度化に関する政策が、域内の技術協力や競争環境を変えていく可能性があること
- 環境対策や持続可能な発展への取り組みが、国際的なルール作りや協調にも関わってくること
5カ年計画がどのような具体策として現れていくかは今後の焦点ですが、中尾氏はその枠組み自体を、アジアと世界の経済にとって重要な要素として位置づけています。
起業家精神とイノベーションが支える中国経済
中尾氏がとくに強調したのが、中国の人びとが持つ起業家精神です。インタビューでは、この起業家精神がイノベーションを生み出し続けており、中国経済の成長余地を支える原動力になっていると述べました。
起業家精神が経済にもたらす効果を、一般的な観点から整理すると次のようになります。
- 新しいビジネスモデルやサービスが生まれ、市場が活性化する
- デジタル技術など新技術の導入が進み、生産性が高まる
- 競争を通じて企業の効率化や質の向上が促される
こうした動きが継続すれば、成熟しつつある経済であっても、新しい成長分野が次々と生まれる可能性があります。中尾氏は、その潜在力が中国経済にはなお十分に残されていると見ていると言えます。
「なお成長余地あり」という評価の意味
中尾氏は、中国経済には依然として成長の余地があると評価しました。この見方は、世界的な不透明感が高まる中で、中国経済の先行きをどう捉えるかという議論に一つの視点を提供します。
ポイントを整理すると、次のようになります。
- 質の高い発展を重視する政策方針
- 第15次5カ年計画という中長期の枠組み
- 起業家精神とイノベーションによる新たな成長源
これらが組み合わされることで、中国経済は単に規模の拡大を目指すのではなく、構造転換と質の向上を通じた持続的な成長を目指している、と捉えることができます。
日本とアジアの読者が押さえておきたい視点
日本を含むアジアの読者にとって、このインタビューから読み取れるポイントは少なくありません。たとえば次のような問いが考えられます。
- 中国の質の高い発展の方向性は、日本やアジアの産業構造やビジネスチャンスにどのような影響を与えるのか
- 第15次5カ年計画が重視するであろう分野と、自国・自地域の強みや課題はどこで交差するのか
- 起業家精神やイノベーションの促し方について、各国・各地域は何を学び、何を自らのやり方として築くべきか
中尾氏の評価は、中国経済を一面的に楽観視するためのものではなく、政策の方向性や人びとの活力に目を向けながら、アジアと世界の経済関係をどう捉え直すかという議論の入り口として読むこともできます。
これから何に注目すべきか
2025年12月時点で、このインタビューは次のような点に注目してニュースを追うきっかけになります。
- 第20期CPC中央委員会第4回全体会議の方針が、具体的な政策としてどのように現れていくか
- 第15次5カ年計画のもとで、中国がどの分野のイノベーションや産業育成を重点化していくか
- 中国の起業家精神が、スタートアップや地域経済、国際協力の場でどのような形で表れていくか
国際ニュースを日本語でフォローする読者にとって、中尾氏の発言は、中国経済を「まだ成長の余地がある大きなプレーヤー」としてどう見るか、そしてその動きと自分たちの暮らしや仕事がどこでつながるのかを考えるヒントになります。
今後もブンド・サミットなど国際会議の場で、中国経済やアジア経済についてどのような議論が交わされるのかに注目が集まりそうです。
Reference(s):
China's economy still has room for growth: Former ADB President
cgtn.com








