中国の工業利益が3.2%増 2025年1〜9月の最新統計を読み解く
中国国家統計局(NBS)が公表した最新データによると、2025年1〜9月の中国の主要工業企業の利益は前年同期比3.2%増となりました。世界経済の不透明感が続くなかで、中国工業セクターの収益がどのように回復しているのかが注目されています。
2025年1〜9月、工業利益は3.2%増
統計によれば、年換算の主な事業収入が2,000万元(約280万ドル)以上の工業企業が対象となり、この期間の利益合計は5.37兆元に達しました。一定規模以上の企業の動向を追うことで、中国工業全体の収益環境を把握しようとするものです。
- 対象企業:年売上2,000万元(約280万ドル)以上の工業企業
- 期間:2025年1〜9月
- 利益合計:5.37兆元
- 前年同期比:プラス3.2%
利益の伸び率は決して派手ではないものの、工業部門がプラス成長を維持していることを示しており、製造業の収益環境が底堅く推移している可能性がうかがえます。
9月単月は21.6%増と力強い回復
中国の工業利益は、9月単月で大きく持ち直しました。主要工業企業の利益は前年同月比21.6%増と、二桁の伸びを記録しています。1〜9月期の平均伸び率(3.2%)と比べると、9月の回復ペースがかなり加速していることが分かります。
この数字は、工業部門における収益改善の勢いが秋以降に強まったことを示しており、年後半にかけての企業活動の活発化をうかがわせます。
ハイテク・設備製造と新質生産力がけん引
国家統計局の于偉寧・首席統計官は、今年の工業利益の加速について、次のような要因が背景にあると説明しています。
- ハイテク製造業の着実な拡大
- 設備製造業の成長
- 新質生産力の台頭
- 昨年の低い比較水準による低基数効果
中国で近年キーワードとなっている新質生産力とは、デジタル技術、スマート製造、グリーン関連産業など、付加価値の高い新しいタイプの生産力を指す概念です。こうした分野へのシフトが進むことで、同じ売上でもより高い利益を生み出しやすくなると考えられます。
売上は2.4%増 民間・外資系企業で改善が目立つ
2025年1〜9月期の売上高(営業収入)も、前年同期比2.4%増と報告されています。伸び率は1〜8月期よりわずかに加速しており、工業部門の売上環境もじわりと改善していることが示されています。
なかでも、高度な技術を要するハイテク産業と設備製造業が全体の伸びを主導しました。また、企業の所有形態別では、すべてのタイプの企業で利益が改善しており、とくに民間企業と外資系企業で成長が比較的強かったとされています。
民間企業と外資系企業の利益改善は、市場競争の中で効率化や高付加価値化が進んでいる可能性を示しており、中国の工業構造の変化を読み取る手がかりにもなります。
数字から読み解く中国工業のいま
今回の統計から、中国工業の現状について次のようなポイントが見えてきます。
- 利益率の改善の可能性
売上高の伸び(2.4%増)に対して利益の伸び(3.2%増)が上回っており、コスト構造の見直しや、高付加価値分野へのシフトが一定程度進んでいる可能性があります。 - より広い範囲での回復
すべての企業タイプで利益が改善しているとされ、回復が特定の企業グループや一部の産業だけに偏っていないことがうかがえます。 - 低基数効果という側面
9月の21.6%増という高い伸びには、昨年同月の水準が低かったことによる低基数効果も含まれます。今後も同様の高い伸びが続くかどうかを判断するには、引き続き月次のデータを見ていく必要があります。
2025年も残りわずかとなるなか、中国の工業部門がどこまで安定した収益回復を維持できるかは、世界のサプライチェーンやアジア経済を考えるうえでも重要な指標となりそうです。中国の工業統計は、グローバルなビジネスや投資の判断材料としても、今後いっそう注目されるでしょう。
Reference(s):
China's industrial profits up 3.2% in first 9 months of 2025
cgtn.com







