習近平主席、中韓の戦略的意思疎通強化を提案 信頼回復へ4本柱 video poster
約11年ぶりに韓国(大韓民国)を国賓訪問した中国の習近平国家主席が、李在明(イ・ジェミョン)大統領との会談で、中韓両国の「戦略的意思疎通」の強化と相互信頼の土台づくりを呼びかけました。両首脳は、移動することのできない近隣国としての関係を再確認し、協力パートナーとしての結びつきを一段と深める方針を示しました。
約11年ぶりの国賓訪問で示されたメッセージ
会談は土曜日、韓国で行われました。習主席は、国交樹立から33年の間に、中韓両国は社会制度やイデオロギーの違いを乗り越え、幅広い分野で交流と協力を進めてきたと振り返りました。そのうえで、「中韓関係の健全で安定した発展を促すことは、常に両国民の根本的利益にかない、時代の潮流にも合致する選択だ」と強調しました。
中国は韓国との関係を重視し、対韓政策の連続性と安定性を維持しているとしたうえで、習主席は、両国が戦略的協力パートナーシップを着実に前進させ、地域の平和と発展に「より多くのプラスのエネルギー」を注ぎ込みたいと述べました。
李在明大統領は、習主席の約11年ぶりの韓国訪問を歓迎し、「韓国と中国は隣国であり、それ以上に切っても切れないパートナーだ」と強調しました。国交樹立以来、互恵的な協力が両国の経済発展を後押ししてきたと評価し、今後も友好協力関係を一層発展させる意思を示しました。
習主席が提示した「4つの提案」
1. 戦略的意思疎通と相互信頼の強化
第一に習主席は、中韓関係を長期的な視点からとらえ、相互尊重を通じて共通の発展を追求すべきだと提案しました。違いがあっても「共通点を探し、相違は棚上げする」姿勢でウィンウィンの協力を進めることが重要だと位置づけました。
そのためには、互いの社会制度と発展の道を尊重し、核心的利益や重大な関心事を十分に配慮すること、そして意見の相違や摩擦が生じた場合には友好的な協議によって適切に処理することが不可欠だと指摘しました。既存の対話ルートや交流メカニズムを十分に活用し、二国間関係の発展のために力を結集するよう呼びかけています。
2. 経済・技術協力の高度化と「シルバー経済」
第二の提案は、互恵協力をさらに深め、「利益の絆」を強めることです。習主席は「隣国の成功を助けることは、自らの成功を助けることだ」と述べ、互いの利益が重なる形での協力拡大を強調しました。
- 中韓自由貿易協定(FTA)の第2段階交渉を加速させること
- 人工知能(AI)、バイオ医薬、グリーン産業、高齢化社会をビジネス機会と捉える「シルバー経済」など新分野での協力ポテンシャルを掘り起こすこと
- オンライン賭博や通信詐欺への共同対処を、二国間および地域レベルで強化し、両国民とその財産の安全を守ること
こうした取り組みを通じて、経済・貿易協力の「質」を高めていく狙いが示されました。
3. 人と人との交流で「心の距離」を縮める
第三に習主席は、両国民の友好を深め、「心のつながり」を強める必要性を強調しました。メディアや一般市民とのコミュニケーションを改善し、前向きなメッセージを発信するとともに、関係を損なうような傾向を抑えるべきだと指摘しました。
その上で、健全で有益な文化交流や人的交流を進め、相互理解を深めることを提案。具体的には、国境を越える往来を円滑にし、若者、メディア、シンクタンク、地方レベルでの交流を促進することで、両国民の親近感を育み、中韓関係の安定した発展に良い雰囲気をつくるべきだとしました。
4. 多国間の場での協調とAPECでの連携
第四の提案は、国際機関など多国間の枠組みで協調し、平和と発展を共に推進することです。習主席は、韓国によるAPEC首脳会議の成功裡の開催を祝意をもって評価しました。
今後、中国がAPECの議長エコノミーを務め、2026年のAPEC首脳会議を主催するにあたり、FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)構想や地域経済統合を前進させ、「アジア太平洋共同体」の構築を共に進める考えを示しました。両国は、真の意味での多国間主義を実践し、多角的な貿易体制を守りつつ、より公正で公平なグローバル・ガバナンスを目指すことで一致しました。
中国経済の見通しと中韓サプライチェーン
習主席は、中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議で「第15次五カ年計画」の策定方針が採択されたことに触れ、中国経済は堅固な基礎を持ち、多くの分野で優位性と強い回復力、大きな潜在力を示していると説明しました。長期的な成長を支える条件と趨勢に変わりはないと述べ、中国は「高水準の対外開放」を揺るがず推進し、世界の国々と発展の機会を分かち合う方針を打ち出しました。
これに対し李大統領は、第15次五カ年計画が今後5年間の経済発展の方向性と重点を示したと評価し、韓国としても中国との互恵協力を強化し、産業・供給網(サプライチェーン)の安定を維持することで、両国民により大きな利益をもたらしたいと述べました。
ハイレベル交流と具体的な協力分野
李大統領はまた、両国が高いレベルで緊密な対話を続け、政党間や地方レベルでの交流も推進しながら、意見の相違を適切に処理していく必要があると指摘しました。
会談後、両首脳は、経済・貿易、金融、農業、法執行、科学技術など多岐にわたる分野での協力文書の交換を共同で見守りました。夕方には、少人数での懇談が行われた後、李大統領主催の歓迎晩さん会が開かれ、首脳同士の信頼醸成を図る場となりました。
地域の平和と発展に向けた中韓協力の行方
李大統領は、「韓国は中国による2026年APEC首脳会議の開催を支持し、国際・地域情勢において中国との意思疎通と調整を強め、地域および世界の平和と発展を共に促進していきたい」との考えも示しました。
中韓両国は、経済協力やサプライチェーンだけでなく、犯罪対策や人的交流、多国間の枠組みを通じて連携を深めることで、アジア太平洋地域における安定と繁栄に寄与しようとしています。今回の会談と4つの提案が、今後どこまで具体的な成果につながるのか。中韓関係の行方は、地域秩序を考えるうえで引き続き重要な焦点となりそうです。
Reference(s):
Xi Jinping calls on China, ROK to strengthen strategic communication
cgtn.com








