中国とEUが輸出管理対話をアップグレード サプライチェーン安定へ協議
中国と欧州連合(EU)は、2025年10月末から11月初めにかけてブリュッセルで輸出管理をめぐる「アップグレード」対話と協議を行いました。中国商務部によると、産業・サプライチェーンの安定と円滑な流れを重視し、双方の懸念をめぐって踏み込んだ意見交換が行われたとしています。
「アップグレード」輸出管理対話の概要
中国商務部の発表によりますと、中国とEUはブリュッセルで輸出管理に関する対話と協議を実施し、従来よりもレベルや射程を高めた「アップグレード」版の枠組みとして位置づけました。
発表では、双方が輸出管理に関するそれぞれの関心事項について、建設的かつ深いコミュニケーションを行ったとされています。単なる形式的な会合ではなく、実務に近い論点も含めて議論したことがうかがえます。
何が話し合われたのか:輸出管理とサプライチェーン
今回の対話は、主に輸出管理と産業・サプライチェーンをめぐる課題に焦点が当てられました。輸出管理とは、安全保障や国際的な約束に関わる物資・技術の輸出を、各国が制度として管理する仕組みのことです。
中国商務部によると、両者は次の点をめぐって意見交換を行いました。
- 中国とEUそれぞれの輸出管理制度や運用に関する関心事項
- 輸出管理が産業・サプライチェーンに与える影響
- サプライチェーンの安定性と、物やサービスの「円滑な流れ」をどう確保するか
とくに注目されるのは、双方が「産業とサプライチェーンの安定」と「円滑な流れ」を明示的に共有目標として掲げた点です。これは、輸出管理を強化する一方で、必要以上に貿易や投資を阻害しないよう配慮していく姿勢を示したものといえます。
対話を主導したキーパーソン
今回の輸出管理対話は、中国側からは中国商務部の産業安全・輸出入管理局の姜乾良(Jiang Qianliang)局長、EU側からは欧州委員会通商総局の副事務局長デニス・ルドネ(Denis Redonnet)氏が主導しました。
いずれも通商政策やルール形成に関わる実務の中枢にいる人物であり、実務的な課題を具体的に議論できる顔ぶれです。こうしたレベルでの対話が「アップグレード」と表現されていることからも、今後の協議の継続性を意識した枠組みであることがうかがえます。
合意したポイント:対話の継続と信頼醸成
中国商務部は、今回の会合の結果として、双方が次の点で一致したとしています。
- 輸出管理に関する懸念や情報を共有するため、コミュニケーションと交流を継続すること
- 中国とEUの産業・サプライチェーンの安定と円滑な流れを促進すること
こうした継続的な対話は、突然の規制強化や誤解による摩擦を防ぎ、政策の予見可能性を高める効果が期待されます。企業にとっても、中長期の投資や供給網の計画を立てやすくする要素になりえます。
なぜ今、中国とEUの輸出管理協議が重要か
2025年現在、中国とEUは相互に重要な貿易・投資のパートナーです。その一方で、先端技術や安全保障に関連する分野では、輸出管理や規制をめぐる議論が世界的に強まっています。
こうした状況の中で、輸出管理をテーマにした中国とEUの対話が「アップグレード」されたことには、次のような意味があると考えられます。
- 相互依存の深いサプライチェーンを、過度な緊張や誤解から守るための仕組みづくり
- 技術や安全保障分野の管理を巡っても、対話を通じて共通の理解やルールを探る姿勢の確認
- 企業や市場に対して、対話と協力を重視するメッセージを発すること
対立ではなく対話のチャンネルを維持することは、長期的な信頼関係の土台にもなります。
日本の読者・企業にとっての意味
日本の企業や投資家にとっても、中国とEUの関係は他人事ではありません。多くの日本企業が、中国、EU、日本をまたぐかたちでサプライチェーンを構築しています。
中国とEUの間で輸出管理をめぐるコミュニケーションが深まり、制度の見通しが立ちやすくなれば、以下のような形で間接的なメリットが生まれる可能性があります。
- サプライチェーンの分断リスクが抑えられ、安定的な調達や生産がしやすくなる
- 規制の方向性が読みやすくなり、中長期の投資判断を行いやすくなる
- 第三国として、日本も輸出管理や通商ルールを議論する際の参考情報が増える
もちろん、輸出管理をめぐる議論は一度の会合で結論が出るものではありません。今回の「アップグレード」対話をきっかけに、どのような実務的な協力や具体的な制度調整が進んでいくのかが、今後の注目点となります。
これから何を見ていくべきか
中国とEUは、輸出管理に関する対話と交流を続けることで一致しました。今後は、
- 定期的な協議の開催や、作業部会の設置といった枠組みづくり
- 企業や産業界との意見交換の場づくり
- サプライチェーンの安定を支えるための具体的なガイドラインや透明性の向上
といった動きがどこまで進むかが、現場への影響を左右していきます。
2025年の終わりにかけて、貿易と安全保障をめぐる議論は引き続き国際ニュースの大きなテーマであり続けます。日本の読者にとっても、中国とEUのこうした対話は、グローバルなルール形成の一部として注視しておきたい動きだといえるでしょう。
Reference(s):
China, EU held 'upgraded' export control dialogue Oct. 30 – Nov. 1
cgtn.com








