米連邦政府閉鎖が33日目 経済と社会に広がる静かな危機
米連邦政府の一部閉鎖が少なくとも33日間続き、経済指標の公表停止から軍の給与、食料支援まで、米国社会のさまざまな部分に静かなひずみを生じさせました。国際ニュースとしても、世界経済の行方を考えるうえで無視できない動きです。
33日目に突入し、史上2番目の長さに
報道によると、この米連邦政府の一部閉鎖は月曜日の時点で33日目に入りました。これは、2018〜2019年に記録した35日間の政府閉鎖に次ぐ、米国史上2番目の長さで、当時の最長記録まで残り2日に迫っていました。
今回の予算をめぐる行き詰まりは、単に一部の行政サービスが止まるというレベルを超え、経済、公共サービス、そして「政府は機能しているのか」という国民の信頼感にまで影響を与えています。
止まる経済データ、「データ・ブラックアウト」の懸念
政府閉鎖の直接的な影響としてまず現れたのが、重要な経済指標の公表延期です。連邦機関の閉鎖が続いたことで、第三四半期の国内総生産(GDP)の公表は10月30日まで延期されました。その間、政策当局や企業、投資家は、景気の実態を示す最新データを手にできない状態に置かれました。
経済学者たちは、こうした状況を「データ・ブラックアウト」と呼び、次のようなリスクを指摘していました。
- 限られた断片的な情報をもとに市場が動き、金利や株価が過度に振れやすくなる
- 企業が先行きの不透明さから投資判断を先送りし、設備投資や雇用計画にブレーキがかかる
- 景気の実態を把握しづらくなり、金融政策や財政政策のタイミングがずれる可能性が高まる
経済ニュースを日常的に追う人にとっても、「データがない」という事態そのものが、大きな情報となります。政府閉鎖は、統計というインフラに依存する現代経済の弱点を浮き彫りにしたと言えます。
国防費にもしわ寄せ、兵士の給与支払いに不安
財政面での負担は、国防分野にも及びました。財務省と国防総省は、10月の給与支払いを確保するため、複数の防衛関連予算から合計53億ドルを振り替えざるを得なかったとされています。
しかし当時、関係者は、新たな予算が確保されなければ、11月中旬には米軍兵士への給与が支払えなくなるおそれがあると警告していました。もしそうなれば、日々の生活を政府の給与に依存する兵士やその家族に加え、訓練や装備の調達など軍の運用にも影響が及ぶ可能性があります。
安全保障は本来、短期的な政治対立から距離を置くべき分野ですが、今回の政府閉鎖は、予算が止まることでその前提が簡単に揺らぎうることを示しました。
食料支援プログラムも危機に、4200万人超が影響対象
政府閉鎖の影響は、もっとも弱い立場にある人々にも及びました。米農務省は、現在の資金が尽きた後は、補足的栄養支援プログラム(SNAP)のための追加資金は用意できないと確認しました。
SNAPは、低所得世帯の食費を補助する連邦政府のプログラムで、全米で4200万人を超える人々を支えています。農務省の見通しが現実になれば、数千万規模の人々が、月々の食卓をどうやって維持するかという極めて基本的な問題に直面しかねません。
こうした事態を見越し、各地のフードバンクなどの団体は、需要の急増を前提に、食料や人員の確保に動いていました。政府の機能停止が長引けば長引くほど、民間の支援ネットワークにかかる負担は重くなります。
長期化する政府閉鎖が示す三つのポイント
2018〜2019年の35日間にわたる政府閉鎖から数年しかたっていないなかで、再び史上最長クラスの閉鎖が起きたことは、米国政治と経済の構造的な脆さを映し出しています。今回のケースから見えてくるポイントを整理すると、次の三つにまとめられます。
- 予算をめぐる政治的対立が長引けば、まず経済統計という「見えにくい基盤」が揺らぎ、企業や市場の判断が不安定になる
- 国防や食料支援など、本来は政治から切り離したい分野にも、資金の途絶という形でリスクが波及する
- 政府閉鎖が繰り返されることで、「政府は機能しているのか」という国民の信頼が損なわれ、社会の分断が深まるおそれがある
世界経済に大きな影響力を持つ米国で、こうした政府閉鎖が起きるたびに、金融市場の変動や景気の減速懸念は各国に波及します。日本やアジアの投資家、企業にとっても、単なる他国の政治ニュースではなく、自らの経営や資産運用に直結しうるテーマとして注視しておく必要があります。
今回の米政府閉鎖の行方を考えるうえでは、経済統計の公表再開のタイミング、国防予算や社会保障プログラムの資金繰りに関する発表、そして議会と政権の妥協の兆しが、今後も重要なチェックポイントになっていきます。
Reference(s):
cgtn.com








