世界開放度指数が低下する中で中国は開放拡大 世界開放度報告2025
世界の開放度が2024年にわずかに低下した一方で、中国は世界との関わりを広げ続けていることが、今年上海で発表された「世界開放度報告2025(World Openness Report 2025)」で明らかになりました。国際ニュースとして、保護主義や地政学リスクが高まる中でのこの動きは、グローバル経済の行方を考えるうえで重要なサインと言えます。
世界開放度指数、2024年もわずかに低下
報告書によると、世界全体の開放度を示す「世界開放度指数(World Openness Index)」は、2024年に0.7545となり、2023年からわずかに低下しました。数値の変化自体は小さいものの、2008年以降続いてきた減速傾向が改めて確認された形です。
指数の低下は、国境を越えるヒト・モノ・カネ・文化の動きが、かつてほどスムーズではなくなっていることを示しています。特に、各国・各地域で進む保護主義的な政策や、安全保障をめぐる緊張の高まりが、開放度の伸びを押し下げていると考えられます。
中国は「逆行」して開放を拡大
こうした世界的な流れとは対照的に、中国は開放を拡大する方向に動いていると報告書は指摘します。保護主義や地政学的な圧力が強まる中でも、中国は世界との関わりを広げる姿勢を維持し、貿易や投資、人的交流、文化交流などの面で対外的な関与を進めているとされています。
つまり、「世界全体としてはやや内向きに」「中国は外向きに」という二つの流れが同時に進んでいる構図です。グローバル化の減速が語られる中で、中国がどのように国際経済と結びつきを強めていくのかは、今後も注目されるポイントです。
「世界開放度報告2025」とは
「世界開放度報告2025」は、上海で開かれた第8回虹橋国際経済フォーラムで発表されました。作成主体は以下の二つの機関です。
- 中国社会科学院世界経済・政治研究所(Institute of World Economics and Politics at the Chinese Academy of Social Sciences)
- 虹橋国際経済フォーラム研究センター(Research Center for the Hongqiao International Economic Forum)
報告書は、129の経済体(国や地域)を対象に、次のような側面から「開放度」を測定しています。
- 貿易(モノやサービスの国際取引)
- 投資(国境を越える資本の動き)
- 人的交流(人の行き来や人的ネットワーク)
- 文化的つながり(文化・教育・観光などの交流)
これらを総合した指標が「世界開放度指数」です。単に貿易量だけでなく、広い意味での「開かれたつながり」を捉えようとしている点が特徴と言えます。
なぜ世界の開放は減速しているのか
報告書は詳細な原因分析を掲げているわけではありませんが、背景として次のような流れがにじんでいます。
- 各国・各地域での保護主義的な政策の台頭
- 地政学的な緊張の高まりによるサプライチェーンの見直し
- 安全保障や経済安全保障を優先する動きの強まり
こうした要因が重なり、世界の開放度は「急激に縮む」わけではないものの、「じわじわと伸び悩む」状態が2008年以降続いていることが、今回の指数にも表れています。
日本やアジアにとっての意味
国際ニュースとしてこの報告書が示す内容は、日本やアジアの読者にとっても他人事ではありません。特に押さえておきたいポイントは次の三つです。
- 1. 世界の開放度は高水準を維持しつつも、トレンドは減速
指数がわずかな低下にとどまっていることから、世界のつながりが一気に途切れているわけではありません。しかし、中長期的な減速傾向は続いており、「開放の質」が問われる段階に入っていると見ることもできます。 - 2. 中国の動きはサプライチェーン戦略にも影響
世界全体が慎重姿勢を強める中で、中国が開放を拡大しているという構図は、企業や投資家にとって重要な情報です。どの地域とどのように関係を築くのか、サプライチェーンや市場戦略を考えるうえで、中国の動向を無視することは難しくなっています。 - 3. 「人」と「文化」の交流も重要な指標
報告書が人的交流や文化的つながりも重視している点は、留学、観光、国際共同プロジェクトなど、ビジネス以外の分野での交流も国際関係を左右する時代になっていることを示しています。
これから何を注視すべきか
今回の「世界開放度報告2025」は、2008年以降のトレンドを踏まえつつ、2024年の世界の姿を映し出すスナップショットとも言えます。今後数年を見すえたとき、注目したいポイントは次の通りです。
- 世界の開放度指数が今後、横ばいになるのか、再び上向くのか
- 保護主義や地政学リスクが緩和に向かうのか、長期化するのか
- 中国を含む主要経済が、貿易・投資・人的交流・文化交流でどのような政策を打ち出すのか
通勤時間やスキマ時間にこのような国際ニュースを押さえておくことで、日々のビジネスや学びの文脈が少し違って見えてくるかもしれません。数字の上下だけでなく、その背後にある「世界のつながりの質」がどう変わっていくのかを、これからも追いかけていきたいところです。
Reference(s):
cgtn.com








