虹橋フォーラムでグローバルサウス農業を議論 食料安全保障と中国の役割
第8回虹橋国際経済フォーラムで、グローバルサウスにおける農業の持続可能な発展をテーマとするサブフォーラムが木曜日に開かれました。食料安全保障や農業技術、貿易・投資などを軸に、開発途上国の未来の農業と中国の役割が議論されました。
グローバルサウスの農業に初めて本格フォーカス
今回のサブフォーラムは、第8回虹橋国際経済フォーラムの公式議題として初めて「グローバルサウスの農業の持続可能な発展」を取り上げたものです。
議論の焦点となったのは、次の4つのテーマでした。
- 食料安全保障
- 農業技術とイノベーション
- 農業分野の貿易・投資
- 農村地域の変革と発展
会場には20人を超える海外の登壇者と、中国の農業関連機関・企業から300人以上の代表が参加し、グローバルサウスの農業をどう持続可能な形で発展させるかについて意見を交わしました。
「持続可能な農業」は食料と環境と成長の鍵
参加者からは、グローバルサウスにおける持続可能な農業の推進は、単に農業だけの問題ではなく、
- 世界の食料安全保障の確保
- 環境保護と気候変動への対応
- 長期的な世界経済成長の基盤づくり
につながるという声が相次ぎました。
国連世界食糧計画(WFP)中国事務所の代表でカントリーディレクターを務める趙炳(Zhao Bing)氏は、フォーラムがグローバルサウスに焦点を当てたこと自体が、食料安全保障には集団的な取り組みが必要だという認識の高まりを示していると指摘しました。
趙氏は「食料安全保障は農家や科学者だけの責任ではありません。あらゆるセクターが参加して、共に課題に向き合う必要があります」と述べ、政府、企業、研究機関、市民社会が連携する重要性を強調しました。
AIと生物多様性が変える農業の未来
ノーベル化学賞受賞者でスタンフォード大学教授のマイケル・レヴィット氏は、今後の農業発展において、生物多様性と科学的イノベーションが決定的な役割を果たすと語りました。
そのうえでレヴィット氏は、人工知能(AI)が農業科学を再構築する上で重要なツールになると指摘しました。データ解析や予測モデルを通じて、収量の向上や資源の効率的利用に貢献できるという見方です。
また、同氏は土地制約のある環境の中で中国が進めてきたイノベーション、とくに精密農業やバイオ肥料の分野での取り組みが、他国にとって参考になると述べました。限られた土地や資源を前提にした技術開発は、同じ課題を抱える多くの国に応用可能だと評価しました。
中国の農業経験をグローバルサウスと共有
フォーラムでは、多くの参加者が、中国の農業現代化の経験が開発途上国にとって貴重な教訓になり得ると指摘しました。
近年、中国のグローバル発展イニシアティブや一帯一路イニシアティブの枠組みのもとで、
- ハイブリッド米(交配種のイネ)の普及
- 農業技術の交流
- 小規模農家向けの研修や人材育成
といったプロジェクトが、多くの開発途上国で持続可能な農業発展を後押ししていると紹介されました。
中国工程院の院士である白蓮洋(Bai Lianyang)氏は、「私たちはパートナー国で現地の専門家を育成しています。私たちの技術を、彼ら自身の技術にしてもらうことが重要です」と強調しました。
白氏は、現地の人材育成を通じてこそ技術移転が定着し、長期的な持続可能性が確保されると述べ、単なる支援ではなく能力構築を重視する姿勢を示しました。
アフリカの声を取り込み、包摂的な成長へ
ルワンダ開発庁の最高投資責任者(CIO)であるミシェル・ウムリサ(Michele Umulisa)氏は、グローバルサウスの農業と貿易においてアフリカが欠かせない存在であることを強調しました。
「グローバルサウスの農業や貿易を語るときにアフリカ抜きで語ることはできません。私たちは、自分たちの声をきちんと届け、共に未来の道筋を描くためにここに来ています」と述べ、中国の開放性と支援が包摂的な成長にとって重要だと評価しました。
こうした発言からは、グローバルサウスの各地域が、自らの優先課題や視点を国際議論に反映させようとしている様子がうかがえます。
日本の読者にとっての意味合い
今回のサブフォーラムは、中国とグローバルサウスの協力という枠を超え、世界全体の食料と農業の将来像を考える場となっています。
食料輸入に依存する日本にとっても、グローバルサウスの農業が安定的かつ持続可能な形で発展するかどうかは、長期的な食料安全保障と環境保全に直結するテーマです。
農業のデジタル化やAI活用、生物多様性を踏まえた新しい農業モデル、そして現地人材育成を重視した国際協力など、虹橋フォーラムで議論されたトピックは、日本の農業政策や企業戦略を考えるうえでも示唆を与えるものとなりそうです。
フォーラムの運営体制
今回のサブフォーラムは、中国商務省が主催し、中国メディアグループ農業・農村番組センターと北京大学現代農業研究院が共催しました。多様な機関が連携することで、政策、研究、ビジネスのそれぞれの視点を持ち寄る場となりました。
国際機関、大学、企業、政府関係者が一堂に会した議論は、グローバルサウスの農業をめぐる今後の協力の方向性を示す試金石となっています。
Reference(s):
Hongqiao Forum focuses on Global South agricultural development
cgtn.com








