中国国際輸入博覧会のゼロ関税が開くアフリカビジネスの新しい扉 video poster
今年の第8回中国国際輸入博覧会(CIIE)で、アフリカの中小企業がゼロ関税を追い風に中国市場への扉を開きつつあります。コーヒーやナッツ、スパイス、ハンドメイドの工芸品——それぞれの品が、アフリカの文化と創造性、そして新しい中国・アフリカ協力のかたちを伝えています。
第8回CIIEで初登場「後発開発途上国パビリオン」とは
中国で開かれた第8回中国国際輸入博覧会(CIIE)では、初めて「後発開発途上国(LDC)パビリオン」が設けられました。後発開発途上国とは、国際的に経済・社会の発展段階が低いとされる国々のことで、アフリカを含むさまざまな国が含まれます。
このパビリオンには、アフリカ各地から事業者が参加し、自慢の品を持ち込みました。
- 香り高いアフリカ産コーヒー
- カシューナッツやマカダミアナッツなどのナッツ類
- スパイスやハーブ
- 手織りの布や木彫りなどのハンドメイド工芸品
それぞれの商品は、単なる「商品」ではなく、産地のストーリーや作り手の思いを伝えるメッセージでもあります。会場では、出展者が来場者に、自国の土地や文化、ものづくりへのこだわりを熱心に語る姿が見られました。
ゼロ関税政策がもたらす具体的な変化
今回のCIIEを後押ししているのが、中国のゼロ関税政策です。これは、後発開発途上国から輸入される特定の品目について、関税(輸入時にかかる税金)をゼロ、つまり免除にする措置です。
関税がゼロになると、次のような変化が起きます。
- 価格面でのハードルが下がる:中国の消費者にとって、アフリカ産の商品が手に取りやすい価格になります。
- 中小企業でも参入しやすい:高い関税や複雑な手続きに悩まされていた小規模事業者にとって、中国市場がぐっと身近になります。
- 現地の生産者により多くの収益が戻る可能性:関税コストが抑えられる分、適切な取引条件が整えば、生産者側の取り分が増える余地が生まれます。
たとえばアフリカ産コーヒーの場合、これまでは関税や物流コストの負担が重く、中国市場に届くまでに価格が上がってしまうことも少なくありませんでした。ゼロ関税によって、その一部が軽くなれば、「質は高いが値段も高い」というイメージから、「日常的に選べるプレミアムな選択肢」へと位置づけが変わっていく可能性があります。
CIIEのステージから見えるアフリカ企業のチャンス
では、CIIEという大舞台の上で、アフリカの事業者たちはどのようなチャンスを見ているのでしょうか。
1. 中国市場への「直通ルート」
中国国際輸入博覧会は、中国市場への入り口であると同時に、世界中のバイヤーが集まる国際見本市でもあります。出展者は、ブースに訪れた小売業者や卸売業者とその場で対話し、試飲・試食、サンプル提供、価格交渉まで行うことができます。
これまで輸出経験の少なかったアフリカの中小企業にとって、これは大手企業と同じステージに立てる貴重な機会です。「中国市場向けの最初のパートナー」をここで見つける企業も出てくるでしょう。
2. ブランドづくりとストーリーテリング
もう一つの大きなチャンスは、「ブランドとしてのアフリカ」を伝えられることです。パビリオンでは、パッケージデザインやロゴ、試飲の演出など、各社が工夫を凝らしています。
中国の若い消費者の中には、環境配慮やフェアトレード(公正な取引)、文化的な背景などを重視して商品を選ぶ層も増えています。ゼロ関税だけでなく、「どんな物語を持った商品なのか」を伝えられるかどうかが、アフリカ企業にとって重要なポイントになりつつあります。
3. デジタルを通じた長期的な関係づくり
CIIE期間中に築いた縁は、展示会が終わっても続きます。商談の相手とは、オンライン会議やメッセージアプリを通じてやりとりが続き、やがては中国向けのEC(電子商取引)プラットフォームでの販売につながる可能性もあります。
ゼロ関税とデジタルツールが組み合わさることで、「一度きりのイベント」ではなく、「継続的なパートナーシップ」が生まれやすくなっている点は見逃せません。
中国・アフリカ協力の未来像:原材料から「価値づくり」へ
アフリカの事業者たちが描く中国・アフリカ協力の未来は、単に「原材料を輸出する」関係から、「付加価値をともにつくる」関係へと広がっています。
- 加工度の高い商品の輸出:生豆ではなく焙煎済みコーヒー、原料ナッツではなくスナック製品や菓子など、現地で加工した製品を中国に届けたいという声が高まっています。
- 技術・ノウハウの共有:品質管理やパッケージング、物流などの分野で、中国企業とアフリカ企業が知見を共有することで、双方の競争力を高める可能性があります。
- 文化交流としてのビジネス:ハンドメイドの工芸品や伝統的なデザインは、単なる商品ではなく文化そのものです。展示やワークショップを通じて、アフリカの文化を中国の人々に紹介する取り組みも期待されています。
ゼロ関税政策は、その入口として「物の流れ」をスムーズにします。しかし、その先に続くのは、人材交流や共同プロジェクトなどを含んだ、より立体的な中国・アフリカ協力の姿です。
日本の読者にとっての意味:グローバルサウスの動きをどう読むか
日本からこのニュースを見るとき、どのような点が重要になるでしょうか。いくつかの観点が考えられます。
- サプライチェーンの多様化:アフリカと中国の貿易が拡大することで、世界全体の調達先や物流の構造にも変化が出てきます。
- 新興市場の消費トレンド:中国の消費者がアフリカ産の商品にどのような価値を見いだすのかは、日本企業や日本の消費者にとっても参考になるポイントです。
- 国際協力の新しいかたち:ゼロ関税を通じて、後発開発途上国の産業振興や雇用創出を後押しする試みは、「開発援助」と「ビジネス」を組み合わせた新しい国際協力のモデルとして注目できます。
ニュースを追う際には、「誰にとって、どんなメリットと課題があるのか」という視点を持つことで、中国・アフリカ協力の動きをより立体的にとらえることができます。
おわりに:小さなパビリオンが映す大きな変化
第8回CIIEで初めて設けられた後発開発途上国パビリオンは、会場全体から見れば決して大きなスペースではないかもしれません。しかし、そこに並ぶコーヒーやスパイス、工芸品には、アフリカの事業者たちの「中国市場に挑戦したい」という強い意思が込められています。
ゼロ関税という政策の後押しを受けて、こうした挑戦がどこまで広がっていくのか。中国とアフリカ、そしてグローバルサウスの国々のあいだで、どのような新しいつながりが生まれていくのか。今後も継続的に注目したいテーマです。
Reference(s):
Inside the CIIE: How zero tariffs open doors for African businesses
cgtn.com








