ダブル11でAIが主役に 中国ECは値下げ競争から技術競争へ video poster
2025年のダブル11(ダブルイレブン)セールは、過去最長の開催期間となり、中国のEC競争が「値引き合戦」からAIを軸にした「技術競争」へと移りつつあることを印象づけました。アリババ、JD.com、抖音(Douyin)などの大手は、検索やレコメンド、接客のすべてにAIを組み込み、新しい商機を探っています。
2025年ダブル11、「最長のセール期間」が示すもの
2025年のダブル11は、これまでで最も長いショッピング期間が設定されました。短期集中のセールから、事前予約やプロモーションを含む「ロングラン型」のキャンペーンへと形を変えています。
期間が長くなることで、
- プラットフォームはより多くの購買データを収集できる
- 消費者はじっくり比較・検討できる
- 出店者は在庫や広告投資を柔軟に調整できる
といったメリットが生まれます。ここで決定的な役割を果たすのがAIです。
価格競争から技術競争へ:中国ECの新しい戦場
かつてのダブル11は、「どこが一番安いか」を競う場でした。しかし、価格競争だけでは利益率が下がり、差別化も難しくなっています。
今年は、
- どれだけ精度の高い検索結果を出せるか
- 一人ひとりに合った商品提案ができるか
- どれだけ楽しくスムーズな購買体験を提供できるか
といった「体験品質」を巡る競争が前面に出てきました。これらはいずれもAI技術と深く結びついています。
アリババ・JD.com・抖音、AI活用の3つのポイント
アリババ、JD.com、抖音はいずれもAIを中核に据えた戦略を打ち出しています。具体的な焦点は大きく3つに整理できます。
1. 検索:欲しいものに素早くたどり着く
従来の検索は、キーワードと商品情報を機械的にマッチさせる仕組みが中心でした。現在は、ユーザーの過去の閲覧履歴や購入履歴、さらには文章や画像で入力されたあいまいなニーズまでAIが解析し、「今ほしいもの」に近い商品を優先的に表示します。
2. レコメンド:一人ひとりに違う「売場」
トップページや商品一覧は、すべてのユーザーが同じではありません。アリババやJD.comは、AIがリアルタイムで「この人はブランド重視か、価格重視か」「ギフトを探しているのか、自分用なのか」などを推定し、レコメンド(推薦)商品を入れ替えています。抖音では、ショート動画とライブ配信に連動したレコメンドが進み、「見ていたら欲しくなる」流れをAIが設計します。
3. 顧客エンゲージメント:チャットとライブの融合
チャットボットによる24時間対応や、ライブ配信中に自動で商品リンクを出す機能など、AIは「接客」のあり方も変えています。顧客からの質問にAIが即座に回答し、その内容を学習して次の対応に生かすことで、オペレーターの負担を軽減しつつ満足度を高めようとしています。
CGTNの視点:AIが生む新しい商機
こうした変化について、中国の国際メディアCGTNのCherry Qiu氏は、現場の企業や消費者の動きを取材しながら、技術が商機のあり方自体を組み替えている過程を紹介しています。AIを通じて蓄積される膨大なデータがリアルタイムで分析されることで、新しいニーズやトレンドを素早く捉えられる土台が整いつつあります。
日本の消費者・企業への示唆
日本の読者にとって気になるのは、「この流れが日本のECや実店舗にどう波及するか」です。中国の事例から見えてくる示唆としては、
- セールの「規模」より、体験の「質」で差別化する重要性
- 自社開発にこだわらず、既存のAIツールをどう組み合わせるかという発想
- データ活用とプライバシー保護をどう両立させるかという課題
などが挙げられます。
これからのダブル11をどう見るか
ダブル11は、もはや一日限りの「お祭り」ではなく、AI技術の実験場であり、中国ECの今を映す鏡になりつつあります。2025年の「最長セール」は、値下げ競争の延長線ではなく、技術とデータを前提とした新しい競争ルールへの転換点と見ることもできそうです。
来年以降、AIがどこまで購買体験を変えていくのか。そして日本やアジア各国のオンライン市場が、その変化とどう向き合うのか。ダブル11は、単なる海外ニュースではなく、私たち自身の消費とビジネスの未来を考えるヒントにもなっています。
Reference(s):
cgtn.com








