米国政府閉鎖が終了、残る深い経済的傷跡とCBO試算
米国史上最長となる43日間の政府閉鎖が2025年11月12日に終わりましたが、米議会予算局(CBO)などの公式試算によると、その経済的損失の一部は2026年末まで尾を引き、完全には取り戻せない見通しです。
43日間の政府閉鎖が残したもの
この秋の米国政府閉鎖は、予算をめぐる政治的対立から連邦政府の一部機関の業務が停止し、多数の連邦職員が一時帰休となる事態に発展しました。43日間という長期化は、米国の政府閉鎖としては史上最長です。
2025年12月8日現在、連邦政府の業務は再開していますが、停止期間中に失われた生産やサービスがそのまま戻るわけではありません。むしろ閉鎖が終わった今だからこそ、その「後遺症」の大きさが数字として見え始めています。
CBO試算 第4四半期成長率を1.5ポイント押し下げ
2025年10月末にCBOが公表した評価によると、約6週間に及んだ今回の米国政府閉鎖により、同年10〜12月期の米実質GDP(国内総生産)の年率換算成長率は1.5ポイント押し下げられたとされています。
成長率が1.5ポイント低下するというのは、景気の「勢い」が目に見えて削がれたことを意味します。閉鎖がなければ生まれていたはずの付加価値や消費、投資の一部が失われた形です。
2026年末まで続く110億ドルの累計損失
CBOはさらに、今回のような6週間の閉鎖シナリオのもとで、一時帰休となった連邦職員の労働時間の減少などを通じ、2026年末までに累計110億ドルの実質GDPが失われると試算しています。
政府閉鎖後に職員へ未払い賃金が支払われても、その間に提供されなかったサービスや生まれなかった生産は、統計上のGDPには戻ってきません。働けなかった時間そのものが、経済全体にとっての「空白」として残り続けるためです。
なぜ一部の損失は「永久に」戻らないのか
CBOは、今回の米国政府閉鎖によって生じた損失のうち、およそ70億〜150億ドル分は将来になっても回復しない恒久的な失われた生産になると指摘しています。その背景には、次のような要因があります。
- 停止した行政サービス 期間中に受けられなかった許認可の審査や相談業務などは、後からまとめて受け直せるとは限らず、完全には埋め合わせができません。
- 遅延した連邦政府の契約 政府の発注が遅れた結果、企業の投資計画や採用計画が先送りされ、一部はそのまま中止される可能性があります。
- 経済全体への波及 小売や飲食、旅行など、連邦職員や関連ビジネスの支出に依存する地域経済では、停滞期間中の売り上げがそっくり消えてしまいます。
こうした「失われた機会」は、後からいくら需要が戻っても完全には取り返せないため、CBOは恒久的損失としてカウントしています。
日本と世界にとっての意味
米国経済は世界最大の規模を持ち、日本を含む各国の輸出や金融市場に大きな影響を与えます。米国政府閉鎖による成長率の押し下げや投資計画の遅れは、世界経済全体の景気にとっても重しとなり得ます。
特に、日本企業にとっては、米国向けの輸出需要の変化だけでなく、米国での事業展開や研究開発プロジェクトが政府の予算や契約に左右されるリスクが改めて意識されるタイミングと言えます。
これから注目したい3つのポイント
今回の米国政府閉鎖をめぐるCBOの試算は、政治の不確実性がどれほど大きな経済コストを伴うかを示す材料になっています。日本の読者として、次の点に注目しておくと、国際ニュースの見え方が変わってきます。
- 米国の予算協議の行方 今後も予算をめぐる対立が続くのか、それとも政治的合意に向けて動くのか。
- 景気指標への影響 2025年10〜12月期のGDP統計や雇用統計が、どの程度政府閉鎖の影響を映し出すか。
- 企業や投資家のリスク管理 政治的なイベントがビジネスに及ぼす影響をどう織り込むのか、日本企業にとっての教訓は何か。
米国政府閉鎖は、米国内だけの政治ニュースに見えますが、実際には世界の景気や市場心理に波紋を広げる国際ニュースでもあります。数字の裏側にある構造的なリスクを意識しておくことが、これからの不確実な時代を読み解くヒントになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








