AI×CTでドリアンを高精度選別 CIIEで披露の新システム video poster
中国国際輸入博覧会(CIIE)で披露されたAI搭載のドリアン選別システムが、果物ビジネスの現場に新しい標準をもたらそうとしています。CT(コンピューター断層撮影)と人工知能を組み合わせ、果実を傷つけずに中身の質を評価できるのが特徴です。
CTでドリアンの「中身」を丸ごとチェック
今回のドリアン選別システムの核となるのが、医療などでも使われるCT技術です。ドリアンを切り開くことなく、外皮の内側にある果肉の状態を立体的に可視化します。
これにより、従来のように「割ってみないと分からない」という勘や経験頼みの選別から、客観的な画像データに基づく評価へと一歩踏み出すことができます。
- 果肉の入り方や厚さ
- 種と果肉のバランス
- 空洞の有無など内部の構造
こうした情報を、果実を壊さずに確認できる点が大きなポイントです。
AIが「おいしさ」をデータとして評価
CTで得られた大量の画像データを分析するのが、人工知能(AI)です。AIは事前に多くのドリアンのサンプルを学習し、果肉の量や構造と食味(味や香りの良さ)との関係性をパターンとして身につけています。
システムは、スキャンしたドリアンごとに次のような指標を推定し、ランク付けします。
- 果肉の含有量
- 食感や風味の良さにつながる内部構造のパターン
- 総合的な品質スコア
これにより、「見た目は立派なのに中身がスカスカ」といった、購入後の残念なギャップを減らすことが期待されています。
非破壊検査がもたらすメリット
果物を切らずに品質を判定できる非破壊検査は、生産から販売までのそれぞれの段階に違ったメリットをもたらします。
生産者・輸出業者にとって
- 出荷前に品質をそろえやすくなり、ブランド価値を維持しやすい
- データに基づく価格設定が可能になり、取引の透明性が高まる
小売・飲食店にとって
- 仕入れ段階で品質リスクを減らし、廃棄ロスの削減につながる
- 「このランク以上のみ仕入れる」といったルールづくりがしやすくなる
消費者にとって
- 高価なドリアンを、より安心して購入できる
- 品質基準が明示されれば、「ハズレ」を引く確率が下がる
ドリアンは高価格帯の果物であり、品質のばらつきが大きいことでも知られます。AIとCTによる標準化は、そのリスクを抑える一つの解決策となりそうです。
データがつくる「新しい品質基準」
このシステムの狙いは、単に便利な機械を導入することではありません。CT画像とAI解析によって、ドリアンの品質を数値として表現し、業界全体で共有できる「データ駆動型の基準」をつくることにあります。
例えば、
- どのレベルのスコアから「プレミアム」と呼べるのか
- どの程度の果肉量があれば、価格に見合うといえるのか
といった判断を、経験だけでなくデータに基づいて行うことが可能になります。これは、生産地やブランドが異なっても、共通の物差しで語るための大事な一歩です。
フードテックとしての広がり
今回のドリアン選別システムは、AIや画像解析を食品分野に応用するフードテックの一例です。同様の発想は、ほかの果物や農産物にも応用できる可能性があります。
例えば、果肉の状態が外から分かりにくい果物や、品質のばらつきが価格に大きく影響する高付加価値な農産物などです。デジタル技術が「おいしさ」や「満足度」をどう可視化していくのかは、今後の農業・食品産業を考えるうえで重要なテーマになっていきます。
現場を取材するCGTN記者
現地では、CGTNの記者・Xu Yi氏がこのシステムのデモンストレーションを取材しました。ドリアンがCT装置に通され、モニター上に内部の断面が映し出され、そのデータをAIが解析していく流れが紹介されています。
こうした映像を通じて、一般の視聴者も「AIが果物の良し悪しを判断する」という、これまでになかった光景を直感的にイメージしやすくなっています。
私たちの「選び方」はどう変わる?
AIとCTを組み合わせたドリアン選別システムは、果物のプロのためのツールであると同時に、長期的には私たち消費者の「ものの選び方」にも影響を与えるかもしれません。
今後、店頭で「AI評価済み」「データに基づく品質保証」といった表示を見る機会が増えていくのか。あるいは、価格だけでなく、品質データを比較して購入するスタイルが広がるのか。CIIEで披露されたこの技術は、そんな未来を先取りして見せているようにも感じられます。
ドリアンというニッチな果物から始まった試みが、食品とテクノロジーの関係をどこまで広げていくのか。今後の展開に注目したいところです。
Reference(s):
Techs in CIIE: AI-Powered system grades durians with precision
cgtn.com








