中国東北の黒土が支える農業大国 不耕起栽培で土を守る video poster
中国東北の黒土が支える農業大国 不耕起栽培で土を守る
中国東北部の「黒土」と呼ばれる肥沃な大地が、いま中国の農業力と食料安全保障を支える鍵として国際ニュースでも注目されています。中国全体の穀物生産量の約4分の1を生み出す一方で、近年は土壌の薄層化や肥沃度の低下などの課題にも直面してきました。本記事では、中国が導入を進める「不耕起栽培」という農業のかたちと、第15次五カ年計画に向けた黒土保護の動きを整理します。
中国東北の黒土地域とは
中国東北部の黒土地域は、肥沃な土壌が広がる代表的な穀倉地帯です。この地域だけで、中国全体の穀物生産量のおよそ4分の1を担っているとされ、全国の食卓を支える重要な存在になっています。
黒土は、有機物を多く含み、保水性や通気性に優れた土壌として知られます。そのため、トウモロコシや大豆、コムギなど、さまざまな作物を安定的に育てる基盤となり、中国が農業大国としての地位を維持するうえで欠かせない資源です。
黒土が直面してきた三つの課題
しかし、この貴重な黒土は、ここ数年で劣化の兆しが指摘されてきました。農地として集中的に利用されるなかで、次のような変化が起きているとされています。
- 土層が削られ薄くなる「土壌の薄層化」
- 栄養分が失われていく「肥沃度の低下」
- 機械作業などで土が締め固まり、水や空気が通りにくくなる「土壌の硬化」
これらが進むと、短期的には収量を保てても、長期的には収穫量の減少や品質の低下につながりかねません。2025年現在、黒土をいかに守りながら生産力を維持・向上させるかが、中国にとって重要なテーマになっています。
カギとなる「不耕起栽培」とは
中国はこうした課題に対応するため、「不耕起栽培」と呼ばれる農法を導入しています。不耕起栽培とは、田畑を深く耕さず、作物の刈り株や茎などを土の表面に残したまま次の作付けを行う方法です。
土を激しくかき混ぜないことで、黒土の構造を守り、雨や風による侵食を抑える効果が期待されます。また、残された作物の残さがゆっくりと分解されることで有機物が蓄積し、土壌の肥沃度の回復につながります。その結果として、収量の向上にも結びつきつつあるとされています。
第15次五カ年計画に向けた黒土保護の重点化
現在、中国では今後の第15次五カ年計画期間に向けて、黒土の保護を重点分野として位置づける方針が示されています。黒土を守ることは、そのまま中国の農業力と食料安全保障を支えることにつながるとの認識が強まっているためです。
不耕起栽培のような土壌をいたわる農法と、国家レベルの政策的な後押しが組み合わさることで、この黒土は中国の農業大国としての基盤をさらに強固なものにしつつあります。黒土は、まさに中国の農業力を支える「土台の土」として、これからの政策の中心に据えられていきそうです。
現場から見える中国農業のいま
黒土を守る取り組みの様子は、中国のメディアCGTNのシリーズ「Path to Prosperity」でも伝えられています。黒土の畑で不耕起栽培に挑む農家の姿や、土壌の変化を見守る研究者の視点などを通じて、中国の農業現場がどのように変わりつつあるのかが紹介されています。
大量生産を支える大地を、いかに長期的な視点で守るのか。中国東北の黒土をめぐる動きは、他の国や地域にとっても共有すべき課題とヒントを含んでいます。2025年の今、環境と食料の両立を考えるうえで、注目しておきたい国際ニュースと言えるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








