中国・安吉県のグリーン成長 石材の町が観光と竹・白茶でよみがえる
中国東部の小さな県・安吉は、かつて石材採掘に依存したほこりっぽい町でしたが、いまでは農村観光や竹加工、白茶の生産を軸とするグリーンな産業で知られる存在になりつつあります。経済成長と環境保護をどう両立させるか——その問いに取り組む中国の姿を象徴する事例として、2025年の今、改めて注目されています。
石材採掘に依存した「ほこりっぽい町」からの転換
安吉は、もともと石材の採掘・加工を主な収入源としてきた地域です。紹介文にもあるように、当時の安吉は「ほこりっぽい町」でした。採石場と運搬トラックが行き交う風景は、雇用や税収を生み出す一方で、暮らしやすさや景観との間で葛藤も抱えやすい産業構造と言えます。
そうした中で、安吉が選んだのは「緑を守り、その緑を新しい『資本』にする」という方向性でした。採掘に頼るのではなく、もともと地域にある自然環境や農村の暮らしを、長期的な強みとして育てていく発想です。
農村観光・竹加工・白茶生産 「緑を金に変える」三本柱
現在の安吉の経済は、主に次の三つに支えられていると紹介されています。
- 農村観光(ルーラル・ツーリズム)
- 竹加工産業
- 白茶の生産
農村観光は、自然の風景や静かな暮らしそのものを楽しんでもらうスタイルの観光です。都市から訪れる人にとっては、きれいな空気や山や川の眺め、地元の食文化に触れる体験が大きな魅力になります。安吉のように自然に恵まれた地域にとって、環境そのものが「資源」になるモデルと言えます。
竹加工と白茶の生産も、同じく「緑」をベースにした産業です。竹は環境負荷が比較的少ない素材として知られ、家具や日用品、建材など幅広い製品に生まれ変わります。白茶は高付加価値の農産物として、地域の重要な現金収入源になり得ます。
かつての石材採掘と違い、こうした産業は「自然を壊して利益を得る」のではなく、「自然を活かし、守りながら価値を生み出す」ことを前提としています。まさに「緑を金に変える」発想です。
CGTN『Path to Prosperity』が描く、中国のグリーン成長
国際ニュースチャンネルCGTNは、シリーズ企画『Path to Prosperity: Greening China's Growth』で、中国のグリーン成長の現場を追いかけています。その一つとして取り上げられたのが、安吉の事例です。
番組では、キャスターのMichael Wang氏が安吉を訪ね、採石業に依存していた時代から現在に至るまでの変化をたどりながら、「経済成長」と「環境保護」をどのように両立してきたのかを掘り下げています。2025年8月に公開されたこのエピソードは、グリーン成長というキーワードを、数字ではなく人々の暮らしと風景を通して伝える構成になっているのが特徴です。
国全体として環境対策を進めるだけでなく、安吉のような地方の一つひとつが、自分たちの強みを活かしながら具体的な道筋を描いていることが、このシリーズを通じて浮かび上がります。
経済成長と環境保護を両立させるためのポイント
安吉の紹介から見えてくるのは、「成長」と「環境」をゼロサム(どちらか一方を選ぶ関係)としてではなく、相乗効果を生む関係として捉え直す視点です。そこには、いくつかのポイントが含まれています。
- 既存産業の見直し:短期的な利益を生む産業であっても、長期的に地域に何を残すのかという視点で捉え直す。
- 自然環境を「コスト」ではなく「資本」と見る:森や川、農村の景観を守ることが、将来の観光やブランド価値につながる。
- 一次産品から付加価値産業へ:竹や茶葉などの素材だけでなく、加工やブランドづくりを通じて地域内で価値を高める。
こうした考え方は、中国東部の安吉だけでなく、世界各地の地方都市や農村にも共通するヒントと言えるでしょう。
日本の読者への問いかけ:自分の地域の「緑」は何か
日本でも、人口減少や産業構造の変化の中で、地方のあり方が改めて問われています。安吉のストーリーは、「かつての主力産業に頼り続ける」のではなく、「自分たちの足元にある自然や暮らしを、どう新しい価値に変えるか」という視点を投げかけます。
自分の住む地域には、どんな「緑」があるのか。その「緑」を守りながら、どのように「金」、すなわち持続可能な豊かさにつなげられるのか——安吉の取り組みと、中国のグリーン成長をめぐる動きを、日本から考えるきっかけとして捉えてみてもよさそうです。
Reference(s):
cgtn.com








