中国クブチ砂漠の「ソーラー万里の長城」が映すグリーン成長の未来
中国北部のクブチ砂漠に、砂の大地を再生可能エネルギーの拠点へと変える巨大な太陽光発電プロジェクトが広がっています。数千枚のパネルがつくる「ソーラー万里の長城」は、なぜ今、世界のエネルギー転換の象徴として注目されているのでしょうか。
クブチ砂漠に広がる「青い盾」
クブチ砂漠では、数千枚の太陽光パネルが規則正しく並び、全長約400キロメートル、幅約5キロメートルにわたる帯状のエリアを形成しています。上空から見ると、そのパネル群は青い帯のように見えることから、「青い盾(blue shield)」とも呼ばれています。
この巨大なパネル群は、中国の歴史的建造物になぞらえて「ソーラー万里の長城」とも紹介されています。砂漠に築かれた現代版の「長城」が、化石燃料に依存しない電力を生み出しつつ、周辺の環境にも影響を与え始めています。
砂漠をエネルギー基地と緑地に
今回のプロジェクトの特徴は、単なるメガソーラー事業ではなく、「最先端技術」と「グリーンな生態系づくり」を組み合わせている点にあります。太陽光パネルによって地表の日射や風が和らぐことで、土壌の乾燥や風食(風による土砂の流出)が抑えられ、植生の回復を後押しする効果が期待されています。
パネルのすき間や周辺に草木を植えることで、砂地を安定させ、長期的には緑地化や生態系の回復につなげようとする試みも進められています。砂漠が「電力を生む場所」であると同時に、「環境を再生する場所」にもなりうるという発想です。
経済成長と環境保護を両立させる試み
国際ニュースチャンネルCGTNのシリーズ番組『Path to Prosperity: Greening China's Growth』では、こうした取り組みを通じて、中国がどのように経済成長と環境保護の両立を模索しているかを伝えています。番組の中で、キャスターのMichael Wang氏は、クブチ砂漠のプロジェクトをはじめとするグリーン成長の事例を取り上げています。
巨大な太陽光発電プロジェクトは、電力供給や産業発展に貢献する一方で、地域社会や生態系に少なからぬ影響を与えます。そのため、以下のような点が、今後の焦点になっていきます。
- 発電事業による雇用や収入を、地域住民の暮らしの向上につなげられるか
- 生み出したクリーン電力を、どのように都市や産業地帯へ届けるのか
- 砂漠の景観や生態系を守りながら、インフラ整備を進められるか
クブチ砂漠の「ソーラー万里の長城」は、これらの問いへのひとつの答えを探る、実験場のような存在だと言えます。
日本への示唆:再エネと地域づくり
広大な砂漠を持たない日本にとっても、このプロジェクトは無縁ではありません。少子高齢化や産業構造の変化で生まれた休耕地、利用の難しい傾斜地、洋上など、「エネルギーと環境を両立させながら活用できる土地」は各地に存在します。
クブチ砂漠の事例が示しているのは、次のような発想です。
- 「使いにくい土地」を、再生可能エネルギーと環境再生の拠点へ変える
- エネルギー政策を、地域づくりや雇用創出と一体で考える
- 巨大プロジェクトの是非を、環境負荷だけでなく長期的な地域価値で評価する
日本でも、太陽光や風力の導入をめぐって賛否が分かれるケースが少なくありません。だからこそ、砂漠という厳しい環境でグリーン成長をめざす試みは、エネルギー転換のあり方を考えるヒントになります。
SNSで議論したい3つの問い
newstomo.comの読者にとって、このニュースは単なる「海外のすごいプロジェクト」の紹介で終わらせるには惜しいテーマです。SNSで共有したくなる、次の3つの問いを最後に置いておきます。
- 砂漠や休耕地など、「これまで使いにくかった土地」を、私たちはどう活かすべきでしょうか。
- 巨大な再生可能エネルギー事業と、地域の景観や文化を両立させるために、どんなルールや対話が必要でしょうか。
- 日本が「経済成長」と「脱炭素」を同時に実現するために、どのようなグリーン成長の道筋が考えられるでしょうか。
クブチ砂漠のソーラー事業は、中国のグリーン成長の象徴であると同時に、エネルギーの未来をめぐるグローバルな議論の入口でもあります。通勤時間やスキマ時間に、この「青い盾」が映し出す未来を少しだけ想像してみてはいかがでしょうか。
Reference(s):
China's Solar Great Wall: Turning desert into green powerhouse
cgtn.com








