設立35周年の上海証券取引所 中国株式市場の今を読み解く
中国本土の代表的な株式市場である上海証券取引所(SSE)が、2025年11月26日に設立35周年を迎えました。30銘柄からスタートした市場は、いまや世界の主要取引所の一つとして、中国資本市場と国際金融をつなぐ重要なハブになっています。
上海証券取引所、35年で何が変わったか
上海証券取引所は1990年に、中国本土で最初に承認された証券取引所として設立されました。設立当初は上場証券が30銘柄にとどまっていましたが、この35年間で急速に拡大しています。
現在、上海証券取引所は株式や債券、上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(REIT)、そしてハイテク企業向けの市場であるSTAR Marketなど、多様な商品を扱う総合マーケットへと成長しました。
- 上場企業数:2,300社超
- 時価総額:60兆元(約8.5兆ドル)超
- 取扱商品:株式、債券、ETF、REIT、STAR Market など
こうした規模拡大により、上海証券取引所は中国資本市場の「中核インフラ」として、集中取引、市場監督、自主規律といった役割を担っています。
国際化を加速させたストック・コネクト
2014年:上海–香港ストック・コネクト
上海証券取引所の国際化における大きな転機となったのが、2014年に始まった「上海–香港ストック・コネクト」です。この枠組みにより、海外投資家は香港市場を通じて上海のA株にアクセスできるようになりました。
この仕組みは、海外から中国本土株式への投資ルートを広げただけでなく、MSCIやFTSE Russell、S&P Dow Jonesといった世界的な指数プロバイダーが、ベンチマーク指数の中でA株の比重を高めるきっかけにもなりました。結果として、中国株式市場の動きが、世界の投資家のポートフォリオにより直接的に影響するようになっています。
2019年:上海–ロンドン・ストック・コネクト
2019年には「上海–ロンドン・ストック・コネクト」が稼働を開始し、中国と英国の企業が預託証券(デポジタリー・レシート)を発行して相互上場を実現できるようになりました。
これにより、中国本土と欧州市場との資本の流れがさらに広がり、上海証券取引所を起点とした二方向の開放が一段と進んだといえます。
ハイテクと戦略産業を支えるSTAR Market
同じく2019年、上海証券取引所はSTAR Marketを立ち上げました。これは、先端技術や戦略的な新興産業の成長を支えることを目的とした市場です。
STAR Marketでは、従来よりも柔軟な「登録制」の新規株式公開(IPO)制度が導入されており、次のような分野の企業が主な対象となっています。
- 高度な製造業
- 半導体
- バイオ医薬
- 人工知能(AI)などの戦略的新興産業
イノベーションを担う企業が資本市場から機動的に資金を調達できるようにすることで、産業構造の高度化を後押しする狙いがあります。
資本市場インフラとしての現在地とこれから
設立から35年を経た今、上海証券取引所は中国本土の資本市場を代表する取引所として、次のような機能を同時に担っています。
- 投資家と企業を結ぶ「集中取引」の場を提供すること
- 取引の公正さと透明性を確保するための「市場監督」を行うこと
- 上場企業や市場参加者の行動ルールを定める「自主規律」機関としての役割
上場銘柄数や時価総額の拡大、ストック・コネクトやSTAR Marketのような制度改革を通じて、上海証券取引所は中国経済の変化とともに姿を変えてきました。2025年という節目は、中国の資本市場が今後どのように国際化とイノベーション支援を両立させていくのかを考えるうえでも、一つのポイントになりそうです。
世界の指数におけるA株の存在感が増すなかで、上海市場の動きは、国際ニュースやグローバルな投資環境を理解するうえで、これまで以上に見逃せないテーマになっています。
Reference(s):
cgtn.com








