中国が3つの1兆元消費産業を育成へ 2027年までの新行動計画
中国が世界第2の消費市場としての底力をさらに高めようとしています。工業・情報化部(MIIT)など6部門が打ち出した最新の消費促進行動計画では、2027年までに3つの1兆元(約1412億5,000万ドル)規模の消費産業と、10の1000億元級の消費ホットスポットを育成することが掲げられました。
新行動計画の狙い:消費で成長を下支え
MIITの担当者は、この行動計画は世界第2の消費市場である中国のレジリエンスを高めることを目的としていると説明しています。ポイントは、消費財の「供給」と「需要」のミスマッチを減らし、質の高い製品を安定的に供給しながら内需を一段と刺激していくことです。
公表された行動計画の数値目標は次の通りです。
- 2027年までに、異なる3分野で1兆元規模の消費産業を形成
- 同じく2027年までに、1000億元規模の消費ホットスポットを10カ所創出
- 2030年までに、消費の経済成長への寄与度を着実に引き上げる
高い成長が見込まれる重点分野として挙げられているのが、次の3つです。
- 高齢者ケア製品
- スマート車(インテリジェントな自動車)
- コンシューマーエレクトロニクス(消費者向け電子機器)
いずれも、生活の質の向上とテクノロジーの進展が重なる領域であり、供給の高度化と需要の拡大を同時に進めやすい分野といえます。
高品質な供給へ:中国の消費財市場は新段階に
MIITのXie Yuansheng副部長は、中国の消費財供給が「より高品質で高付加価値の新段階」に入ったと述べています。Xie副部長によれば、中国市場で提供されている消費財は現在2億3,000万種類に達し、スマート家電やウェアラブル端末、ヒューマノイドロボット、ドローンといった分野が急速に拡大しています。
製品の信頼性も向上しており、日用品の検査合格率は高水準を維持。主要な品目のうち96%を超える製品が国際基準を満たしているとされています。量だけでなく、質の面でも世界市場と肩を並べる水準への移行が進んでいることを強調しました。
さらに、国内ブランドの競争力も高まっているといいます。特に勢いが強い分野として次のような例が挙げられています。
- 高齢者ケア製品
- インテリジェントコネクテッド車(ネット接続型のスマート車)
- コンシューマーエレクトロニクス
- スマートウェアラブル端末
- 化粧品
- アウトドア用品
- ペット用品
- 民生用ドローン
- トレンド性の高いコレクションアイテム
- 「guochao」ファッション
こうした分野は、生活スタイルや趣味嗜好の多様化と結びつきやすく、国内ブランドが個性やストーリー性を打ち出しやすい領域でもあります。行動計画は、これらの市場をさらに伸ばすことで、消費の厚みを増していくことを狙っていると考えられます。
生成AIと消費の融合:5億人超のユーザー基盤
行動計画の背景には、デジタル技術、とくに生成AIの急速な普及もあります。中国では、生成AIのユーザーが全国で5億1,500万人に達しているとされ、MIITは新しい製品開発や利用シーンの創出を通じて、AIを消費財に組み込んでいく方針を示しています。
生成AIの統合によって、例えば次のような変化が起こる可能性があります。
- ユーザーの好みや行動データに基づいた、よりパーソナライズされた製品やサービス
- 音声や画像を活用した直感的な操作体験
- オンラインとオフラインをまたぐシームレスな購買体験
AIを前提とした新しい消費のかたちは、単なる買い物の便利さだけでなく、製品設計やアフターサービス、ブランドとの関係性そのものを変えていく可能性があります。
今後数年で何が変わるのか
今回の行動計画は、これから数年の中国経済と世界の消費トレンドを読み解くうえで、重要なシグナルとなります。読者としては、次のような点に注目してニュースを追うと全体像が見えやすくなります。
- 高齢者ケア、スマート車、電子機器といった重点分野で、どのような新製品・サービスが登場するか
- 国内ブランドや「guochao」ファッションが、若い世代を中心にどこまで支持を広げるか
- 生成AIの活用が、消費者体験やビジネスモデルをどれだけ変えていくか
2027年までに3つの1兆元級消費産業と10の1000億元級市場を育てるという目標は、消費構造の転換スピードを測る試金石となります。2030年に向けて、消費がどこまで経済成長のエンジンとして位置づけられるのか。中国の動きは、今後も国際ニュースとして注目を集め続けそうです。
Reference(s):
China plans to cultivate three trillion-yuan consumer sectors by 2027
cgtn.com








