中国の新エネルギー車が世界戦略へ オートメカニカ上海2025の現場
今週、上海で開幕した自動車部品とサービスの国際見本市「Automechanika Shanghai 2025」では、新エネルギー車(NEV:New Energy Vehicle)関連の展示が大きく拡大しました。中国の新エネルギー車産業が、国内中心から世界市場を強く意識した段階へと動き始めている様子が見えてきます。
オートメカニカ上海2025で見えたNEVの存在感
主催者によると、今回のオートメカニカ上海には世界各地から7,000社を超える出展者が集まりました。その中で特に目を引くのが、新エネルギー車関連エリアの拡大です。
NEVセクションは前回開催時と比べて約50%広くなり、会場全体のテーマも電動化、スマートモビリティ、グリーントランスポート(環境負荷の低い輸送)に一層フォーカスしています。
展示ホールを一巡すると、ひとつのメッセージがはっきりと伝わってきます。それは、中国の新エネルギー車産業が勢いを増し続けているということです。
成熟するサプライチェーンと多様な技術
会場では、中国と海外を合わせて2,000社以上が、新エネルギー車向けの新しい技術や製品を披露しています。出展内容は多岐にわたり、サプライチェーンの厚みを示しています。
- 電動駆動システムや高性能な駆動コンポーネント
- 水素燃料電池システム
- 急速充電設備やバッテリースワップ(電池交換)技術
- 軽量化や安全性向上につながる新素材
これらの展示は、中国の新エネルギー車産業を支えるサプライチェーンが、より成熟し、専門化が進み、国際競争力を高めていることを示しています。単に完成車メーカーだけでなく、その背後にある部品、素材、インフラまで含めた「産業のすそ野」の広がりが印象的です。
日本やドイツのサプライヤーも存在感
電動化へのシフトが進む中で、日本やドイツなど、従来から自動車産業を牽引してきた国のサプライヤーも、中国市場での存在感を高めています。会場では、日本企業やドイツ企業を含む大手部品メーカーが、自社の最新EV関連技術を前面に出し、中国の完成車メーカーや現地パートナーとの関係強化を図っていました。
これまでエンジンやトランスミッションなど内燃機関向けの技術で強みを持ってきた企業が、電動パワートレインや電子制御部品、先進安全技術など、電動化時代を見据えた分野で新たなポジションを築こうとしている様子がうかがえます。
アイシン幹部が語る「中国市場の重み」
中国の英語ニュースチャンネルCGTNの取材に応じたアイシン上海貿易有限公司の和田光治総経理は、中国市場が同社にとって引き続き最重要クラスの市場であると強調しました。
和田総経理は、もともと自動車メーカー向けの純正品レベル(OEレベル)の品質を強みとしてきたことに触れつつ、新エネルギー車や電動化関連事業をさらに強化していく考えを示しました。また、中国の各省に認証サービスセンターを展開し、信頼性の高いサービスと品質を維持していく方針も明らかにしています。
これは、部品を納めて終わりではなく、アフターサービスやメンテナンス網まで含めた総合的な価値提供が、今後の競争力の鍵になることを物語っています。
サービスエコシステムの重要性
新エネルギー車は、ソフトウェア更新や電池の状態監視など、販売後のサポートがこれまで以上に重要になります。中国各地にサービス拠点を持つことは、顧客の安心感につながるだけでなく、現場で得られたデータや声を製品開発にフィードバックする上でも大きな意味を持ちます。
日本企業にとって、中国での事業展開は競争が激しい一方で、電動化のスピードや市場規模を踏まえれば、製品とサービスを一体で提供するビジネスモデルを試す場にもなり得ます。
日本の読者が押さえておきたいポイント
忙しい読者向けに、今回の動きを整理すると次のようになります。
- オートメカニカ上海2025では、NEV関連エリアが前回比約50%拡大
- 中国と海外の2,000社以上が、新エネルギー車関連の技術や部品を展示
- サプライチェーン全体が成熟し、専門化と国際競争力の強化が進行
- 日本やドイツなど伝統的な自動車大国のサプライヤーも、中国でのプレゼンスを高めている
- アイシンなど日本企業は、品質とサービスネットワークを武器にEV関連ビジネスを拡大しようとしている
こうした動きは、中国市場だけでなく、今後の世界の自動車産業の構図にも影響を与える可能性があります。
世界の電動化競争の中で見えてくる論点
新エネルギー車をめぐる競争は、もはや車両単体の性能だけでは語れません。電池、充電インフラ、ソフトウェア、素材、アフターサービスまでを含む「トータルパッケージ」の戦いになりつつあります。
オートメカニカ上海2025の姿からは、次のような論点が浮かび上がります。
- 電動化と水素など複数の技術が並行して開発される中で、どの分野に強みを持つか
- 充電やバッテリースワップなど、インフラ面での規格や標準をどう整えていくか
- 完成車メーカーだけでなく、部品・素材・サービス企業がどう連携し新しいエコシステムを築くか
日本企業や日本の政策にとっても、中国で生まれているビジネスモデルや技術トレンドをどう読み解くかは重要なテーマになります。
これからの注目ポイント
今回の展示会は、中国の新エネルギー車産業が「量の拡大」から「質とグローバル展開」へと段階を進めつつあることを示しています。
今後、注目したいポイントとしては、次のようなものが挙げられます。
- 新エネルギー車関連の投資や提携が、どの国・地域の企業の間で活発になるか
- バッテリーや水素関連など、基盤技術での国際協力や競争の行方
- サービスネットワークやソフトウェアを含む、長期的なサポート体制の整備状況
中国発の新エネルギー車関連ビジネスが、今後世界のどの市場でどのように受け入れられていくのか。その過程を丁寧に追うことは、日本の産業戦略やキャリア選択を考える上でもヒントになりそうです。
newstomo.comでは、こうした国際ニュースを日本語で分かりやすく整理しつつ、読者のみなさんが自分なりの視点を持てるような情報を今後もお届けしていきます。
Reference(s):
cgtn.com








