イタリア企業、中国で独自の「5カ年計画」 長期投資が示す本気度 video poster
中国市場でイタリア企業の「5カ年計画」が動き出しています。最近公表された業界調査によると、800社を超えるイタリア企業が中国に進出し、これまでに総額150億ユーロ(約175億ドル)を投じてきました。単なる短期ビジネスではなく、中国の「高品質な発展」の方向性に歩調を合わせた長期戦略が特徴です。
イタリア企業800社超、投資総額150億ユーロの意味
今回の調査では、イタリア企業による対中投資が150億ユーロに達し、活動する企業数も800社以上にのぼることが示されています。欧州の一国としては決して小さくない規模であり、中国市場を中長期の成長エンジンと見なす姿勢が読み取れます。
こうした数字は、個別企業の思いつきではなく、多くの企業が計画的に投資規模と期間を設計していることを示唆します。そこでキーワードとして浮かび上がるのが、「イタリア版5カ年計画」という発想です。
「5カ年計画」に込められた長期視点
中国では、国家レベルでの経済・社会発展の方向性を示す「5カ年計画」が長年運用されてきました。イタリア企業が中国ビジネスを語る際に、自らの戦略を「5カ年計画」になぞらえるのは、次のような意味合いがあると考えられます。
- 少なくとも5年単位で市場をとらえ、短期的な景気変動に左右されにくい姿勢を示す
- 研究開発、生産体制、サプライチェーン、人材育成をまとめて設計する中期計画である
- 中国側が掲げる「高品質な発展」の方針と整合的な投資やパートナーシップを重視する
つまり、「どれだけ早く回収できるか」ではなく、「どれだけ長く信頼される存在になれるか」を軸にした戦略と言えます。
3人のキープレーヤーが語る「長期コミットメント」
中国の国際メディアCGTNの記者、リー・モンユエン氏によるインタビューでは、イタリアの外交・ビジネスの要となる3人が、中国ビジネスへのスタンスを語りました。
駐中国イタリア大使:国家レベルの橋渡し役
中国駐在のマッシモ・アンブロセッティ(Massimo Ambrosetti)大使は、イタリア企業による投資と中国の発展目標との「整合性」に注目しています。外交の現場から見ると、企業の長期的な投資は、単なるビジネスを超えて、国同士の信頼関係や人の往来を支える重要な土台となります。
中国イタリア商工会議所:800社超を束ねる視点
中国イタリア商工会議所の会頭ロレンツォ・リカルディ(Lorenzo Riccardi)氏は、800社を超えるイタリア企業の声を集約しつつ、中国市場への「長期コミットメント」を強調しています。商工会議所の役割は、個別企業では見えにくい全体像を見通し、規制やビジネス環境の変化を会員企業と共有することです。
投資額150億ユーロという数字の裏側には、中小企業から大企業までさまざまなプレーヤーがいます。リカルディ氏の視点は、「誰が勝っているか」だけでなく、「どうすれば多くの企業が共に成長できるか」を見極める上で重要です。
ピレリ アジア太平洋CEO:現場感覚から見る成長戦略
タイヤメーカーとして知られるピレリのアジア太平洋地域CEO、アンドレア・マガンツァーニ(Andrea Maganzani)氏は、まさに現場で中国ビジネスを指揮する立場です。同氏は、中国市場での事業展開と、高品質な製品・サービスを追求する企業戦略が重なる点を強調しています。
製造業にとって、中国は生産拠点であると同時に巨大な消費市場でもあります。品質、安全性、環境への配慮といった要素を重視する中国の市場環境は、ピレリのようなブランドにとって、中長期的な価値向上の舞台となり得ます。
中国の「高品質な発展」とどう重なるのか
今回のインタビューで3人が共通して強調したのが、「イタリア企業の長期的な取り組みは、中国の高品質な発展の目標と自然に重なっている」という点です。ここでいう「高品質」とは、単に高価格帯の商品を売ることではありません。
- 環境負荷の低減やエネルギー効率の向上
- 高度な製造技術やデジタル化の導入
- 人材育成や地域コミュニティへの拠点づくり
こうした分野は、イタリア企業が強みを持つデザイン、製造技術、ライフスタイル提案と相性がよい領域でもあります。長期投資を通じて、単なる輸出入ではなく「共に価値をつくるパートナー」としての関係を築こうとしていると見ることができます。
日本のビジネスにとっての示唆
日本企業にとっても、中国市場との向き合い方を考える上で、イタリア企業の「5カ年計画」的な発想は参考になります。
- 短期の売上ではなく、中期の事業モデルやブランド構築をどう設計するか
- 中国側の政策目標や産業方針と、自社の強みをどう重ね合わせるか
- 現地のパートナー、顧客、人材と、どのように長期の信頼関係を築くか
800社超・150億ユーロという数字は、一見すると遠い世界の話に見えるかもしれません。しかし、「どの国の企業であっても、長期視点で計画を描ける者が次の5年をつくる」というメッセージとして読み替えることもできそうです。
中国とイタリアのビジネス関係が、これからの5年でどのような成果を生み出すのか。日本からも、その動きを丁寧に追いかけていく価値がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








