エジプトのIT外注ブーム、海外企業が集結 雇用7.5万人見込みの背景 video poster
エジプトでいま、ITアウトソーシング(業務の外部委託)とオフショアリング(業務拠点の海外移転)の波が強まっています。コールセンターから人事、ソフト開発まで幅広い業務が移り、雇用と外貨収入の伸びが注目されています。
何が起きている? 3つのポイント
- この3年ほどで、海外企業の進出・拡大により数万人規模の雇用が生まれた
- 新たに結ばれた合意は、今後3年で約7万5,000人の雇用を見込む(業界推計)
- オフショアリング収入は2022年の24億ドルから2025年に約48億ドルへ倍増
海外企業がエジプトを選ぶ理由:地理×人材×支援策
業界関係者が挙げる魅力は、大きく3つです。
1) 「東西の間」にあるタイムゾーン
欧州と中東の双方と時差の相性がよく、運用の組み立てがしやすいといいます。昼間の対応が必要な顧客サポートや、複数拠点の連携が前提のバックオフィス業務では、地理的条件が効きます。
2) 多言語で厚みのある労働力
多言語人材の層の厚さや、職種の幅(カスタマーサービス、人事、ソフトウェア開発、事務処理など)が評価されています。HRのオフショアリング/アウトソーシングを手がけるStaff Arabia GroupのCEO、Iyad Hafez氏は、戦略的な立地、言語と専門性の多様さ、政府支援、税制や運営コスト面の優位性をポイントとして挙げています。
3) 政府主導の後押し(Vision 2030)
成長の背景には、長期戦略「Vision 2030」の存在があります。IT分野を経済発展の中核に据え、デジタル基盤の整備や人材育成(研修・スキル開発)を優先してきた、という文脈です。
数字で見る拡大:GDP比「約6%」に
公式統計として、オフショアリング収入は2018年のGDP比3.2%から、2025年に約6%へと存在感を増しています。さらに政府は、2030年までにデジタル輸出を4倍にする目標を掲げています。
課題も残る:ネット速度とインフラの「追いつき」
一方で、成長が続くほどボトルネックも目立ちます。Ain Shams Universityの経済学教授Yomna Al Hamaky氏は、若者の訓練能力やスキル高度化を進める取り組みがある一方、インターネット速度やインフラに課題が残ると述べ、改善に向けた対応が進んでいるとしています。
雇用だけではない効果:外貨流入が「サービス輸出」を後押し
業界側が強調するのは、雇用創出に加えて外貨の流入です。給与支払い、運営費、オフィス賃料などを通じて資金が国内に入り、経済にプラスに働くという見立てが示されています。Hafez氏も「製品だけでなくサービスも輸出する経済になっている」と語っています。
これからの焦点:拡大局面で問われる“品質”
2026年の入り口に立ったいま、注目点は「どれだけ増えるか」だけでなく、通信環境・教育訓練・運用品質をどこまで揃え、継続的に応えられるかです。多国籍企業が業務拠点を分散する流れが続くなかで、エジプトのIT産業がどこまで“標準の選択肢”として定着するかが、次の数年の見どころになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








