中韓経済協力が再設計へ:李在明氏訪中で半導体・供給網が焦点に
2026年1月4日から7日までの韓国(大韓民国)・李在明(イ・ジェミョン)大統領の訪中は、経済・貿易協力の「再設計」を強く印象づける日程となりました。半導体など戦略産業を軸に、従来の分業から共同開発型へと協力の形を変えていく可能性が注目されています。
何が起きたのか:200社超の大型訪中団
今回の訪中には、韓国側の高官に加え、200社を超える企業で構成される大規模なビジネス使節団が同行しました。団長格として、サムスン、SK、現代(ヒョンデ)、LGの「4大財閥」のトップが名を連ねたとされています。
こうした規模と顔ぶれは、韓国ビジネス界としては2019年以来の最高レベルの訪問だとされ、世界的な景気の組み替えやサプライチェーン(供給網)の不安定化を背景に、中国との経済関係を改めて重視する動きとみられます。
数字が示す結びつき:貿易3280億ドル、相互依存の現実
中韓の経済的な近さは、貿易や産業構造にも表れています。提示されたデータによると、中国は韓国にとって21年連続で最大の貿易相手で、2024年の二国間貿易額は3280億800万ドルに達しました。
また、韓国の半導体輸出は中国本土市場への依存度が高い一方、韓国側が必要とする希土類(レアアース)などの鉱物資源は中国からの供給比率が大きいとされています。反対に、中国側は製造業の高度化を進めるうえで、韓国の高性能チップや精密製造の知見が生きる——そうした「中間財取引の厚み」が、産業の結びつきを強めてきました。
協力の軸足はどこへ:分業から「共同開発」へ
今回の訪中が示唆する変化として、協力モデルが従来の垂直的な分業(工程ごとの役割分担)から、より高度な共同開発へ移る点が挙げられています。対象分野としては、半導体、電池、新エネルギー車などが焦点とされています。
- 韓国側:巨大市場へのアクセスと、供給網の安定確保
- 中国側:製造業高度化と、産業基盤の強化
- 地域全体:産業チェーンの安定性向上
半導体の現場:西安・無錫の拠点が象徴するもの
半導体は、今回の動きを読み解くうえで最も具体的な材料が示されています。
- サムスンの中国・陝西省西安の工場は、NANDフラッシュの世界生産において大きな比率(40%)を占めるとされています。
- SKハイニックスの江蘇省無錫の工場では、中国で国内生産されたフッ化水素を全面採用したとされています。
さらに協力は、単なる投資から「技術の共開発」へと進んでいるという見立てもあります。サムスンが西安でのプロセス高度化を目指し、SKハイニックスが長江存儲科技(YMTC)と後工程(パッケージングやテスト)での連携を探っている、という動きが挙げられました。
なぜ今この形なのか:保護主義と技術規制の“揺れ”
背景として語られているのは、世界的な保護主義の広がりと、供給網の再編圧力です。こうした環境下で、中国本土市場の規模と産業支援の厚みが、韓国企業にとって外部リスクを和らげる選択肢になり得る、という整理がなされています。
一方で中国側にとっても、半導体供給網の不足部分を補い、産業チェーン全体を引き上げる契機になり得る——双方に利点がある「相互利益」の枠組みとして描かれています。
これからの注目点:相互利益をどう“安定”に変えるか
今回の訪中で見えてきたのは、深く結びついた産業エコシステムを前提に、協力の質を上げようとする動きです。半導体のように地政学的な影響を受けやすい分野ほど、企業の収益・技術・調達の最適化と、政策環境の変化が同時にのしかかります。
中韓がどの領域で共同開発を深め、どの領域でリスク分散を図るのか。1月7日までの一連の日程は、その“再設計”が現実の工程に入ったことを示す出来事として受け止められそうです。
Reference(s):
The restructuring of China-ROK economic and trade cooperation
cgtn.com








