次期FRB議長人事の不透明感、米国株と債券が同時安—トランプ発言で揺れる市場
2026年1月16日のトランプ米大統領の発言をきっかけに、「次のFRB(米連邦準備制度理事会)議長は誰になるのか」という見通しが揺れ、米国株と米国債にじわりと売りが広がりました。人事の不透明感は、金利見通しを通じて市場全体の温度を下げやすい点が、今回あらためて意識されています。
何が起きたのか:ハセット氏“本命視”に微妙な変化
トランプ氏は1月16日、ホワイトハウスのイベントで国家経済会議(NEC)委員長としてのケビン・ハセット氏の働きを評価しつつ、FRBに移るより現職にとどまってほしい意向をにじませました。
ハセット氏は、ジェローム・パウエルFRB議長の後任候補として有力視されてきた人物で、利下げに積極的な姿勢を繰り返し示してきたとされています。そうした人物像と今回の発言の“温度差”が、次期議長人事の確度を下げ、市場の警戒感につながりました。
市場の反応:株も債券も小幅安、VIXは上昇
発言後の米市場では、S&P500、ダウ工業株30種平均、ナスダック総合、ナスダック100がそろって小幅に下落。加えて、恐怖指数として知られるVIX(ボラティリティ指数)は上昇し、週間でも大きく伸びたと伝えられています。
一方で、米小型株指数ラッセル2000は週間では上昇しました。ただ、リスク資産全体のムードは強気に傾ききらず、「先行きの見通しが定まらない状態」が続いていることをうかがわせます。
なぜ“議長人事”が株と債券を同時に揺らすのか
- 金利の期待が動く:次期議長候補の金融政策スタンス(利下げに前向きか等)が、将来の金利見通しに直結します。
- 評価の物差しが変わる:株式は割引率(ざっくり言えば金利)に敏感で、債券も利回り見通しで価格が動きます。
- 「確度の低下」がボラティリティを呼ぶ:誰が就くかよりも、見通しが固まらないこと自体がポジション調整を促します。
金も銀も弱含み:金融政策の期待が材料に
貴金属も軟調でした。スポット金はトランプ氏の発言後に下落し、それまでの上昇の一部を打ち消す形に。銀は金よりも大きく下げたとされています。金利見通しが揺れる局面では、金・銀といった「金利そのものを生まない資産」への評価も変化しやすく、今回もその連想が働いた格好です。
次に注目されるポイント:言葉の“続き”と市場の耐性
今回の値動きは急落というより、「広く薄く」不安がにじむタイプでした。今後の焦点は、次期FRB議長をめぐる追加の発言や観測が、利下げ期待(あるいはその後退)をどの程度動かすのか、そして市場がその不確実性をどこまで織り込めるのかに移っていきそうです。
人事は一つのニュースでも、金融政策の想像力を通じて、株・債券・為替・コモディティへ同時に波紋を広げます。小さな発言が大きな価格の“説明”になる局面ほど、ヘッドラインの読み違いがリスクになりやすい点は意識しておきたいところです。
Reference(s):
Uncertainty over next Fed chair weighs on US stocks and bonds
cgtn.com







