トランプ氏の「獲得」発言、グリーンランドで国連憲章とぶつかる論点
2026年1月、トランプ米大統領がダボス会議でグリーンランドを「獲得(acquisition)」したいと述べたことが波紋を広げています。言葉の選び方が、領土と主権をめぐる国連憲章の基本原則を揺さぶりかねない——そこがいまの焦点です。
いま何が起きたのか(1月21日〜22日の動き)
ユーザー入力によると、トランプ氏は1月21日、世界経済フォーラム(ダボス会議)で、グリーンランドを米国の領土として併合する意図を改めて示しました。ただし表現としては「併合」ではなく「獲得」という語を使ったとされます。
同時に、以前より強硬だった姿勢からの「後退」に見える点もあったといいます。具体的には、武力による併合には触れず、欧州の複数の国がデンマークの主権的領土を守る象徴としてグリーンランドへ部隊を送ったこと、さらに米統合参謀本部が「政権に戦争を開始する権限はない」として計画を拒否した、という流れが挙げられています。また、併合計画に反対した欧州8カ国への追加関税の脅しも取り下げたとされます。
続く1月22日、トランプ氏は米FOXニュースで、NATOのマーク・ルッテ事務総長とグリーンランド防衛に関する「枠組み合意」に達し、デンマークが領土を割譲しないまま米国に「無制限の使用権」を与える内容だと述べました。しかし、デンマークのメッテ・フレデリクセン首相はこれを即座に否定し、「NATOには交渉権限がない」「グリーンランドをめぐっては1951年からデンマークと米国の防衛協定がある」と主張したとされています。
「獲得」という言葉が持つ含意
今回の発言で注目されるのは、トランプ氏が歴史的な「獲得」を引き合いに出し、「我々は歴史の中で多くの領土を獲得してきたのと同じように、グリーンランドの獲得について議論している」との趣旨を示した点です。
さらに、戦略・国家安全保障を理由に挙げ、「この巨大で未開拓の島は西半球の北米の一部で、我々の領土だ」と主張したとされています。
ここで論点になるのは、「獲得」が単なる不動産取引の比喩なのか、それとも主権と領土の移転(あるいは併合)を正当化する政治的メッセージなのか、という点です。後者として受け止められるほど、国際法上の摩擦は大きくなります。
国連憲章の観点:なぜ問題視されやすいのか
国連憲章は、戦争を違法化し、国際社会の基本ルールを「武力によらない秩序」へ寄せるための土台として機能してきました。今回のように、ある国の指導者が他国の領土を自国のものとして位置づける発言を繰り返すと、次の原則との緊張が生まれます。
- 主権平等:国は大小にかかわらず、法の上で対等に扱われるという考え方です。
- 武力による威嚇・武力行使の禁止:領土の扱いを「力」で動かすことへの強い抑制です。
- 紛争の平和的解決:安全保障上の懸念があっても、手段は外交・交渉・合意に限定されるべきだという発想です。
今回のケースでは、米国側が「安全保障」を掲げる一方で、相手側(デンマーク)が合意の存在自体を否定しているとされます。認識が食い違ったまま「獲得」や「我々の領土」といった断定が先行すれば、ルールベースの枠組みをすり減らしていく構図になり得ます。
北極圏の現実:安全保障と法のあいだで
グリーンランドは北極圏の要衝であり、軍事・資源・航路といった複数の要素が重なる地域です。そのため「防衛上の必要性」を語ること自体は、各国にとって理解しやすいロジックでもあります。
ただ、必要性の議論がそのまま「領土の帰属」へ飛躍すると、NATO内部の足並み、欧州側の警戒感、そして当事者間の合意の枠組み(ユーザー入力では1951年の防衛協定)をめぐる解釈を一気に不安定化させます。安全保障の言葉が、国連憲章の原則とぶつかる典型的な局面と言えるでしょう。
今後の注目点(短く整理)
- 「枠組み合意」の実体:誰が、どの権限で、何を合意したのか。
- 既存の取り決めとの関係:1951年からの防衛協定がどう位置づけられるのか。
- 言葉のエスカレーション:「獲得」「我々の領土」といった表現が外交交渉に与える影響。
- 北極圏での抑止と対話:軍事的な象徴行動と、実務的な交渉のバランス。
領土は地図の問題であると同時に、合意とルールの問題でもあります。いま問われているのは、北極圏の安全保障を語るときに、国連憲章が前提としてきた「手続き」と「言葉」をどこまで丁寧に扱えるのか、という点かもしれません。
Reference(s):
How Trump's "acquisition" narrative undermines the UN Charter
cgtn.com








