中国本土、サービス消費を後押しする新政策パッケージ発表 体験・インバウンドも重点に
中国本土で「モノからサービスへ」と消費の重心が移るなか、商務当局がサービス消費を伸ばす新たな政策パッケージを打ち出しました。交通や家事代行などの基礎分野から、ライブ・スポーツ、体験型サービス、インバウンド消費までを広くテコ入れし、内需を成長エンジンに位置づける狙いです。
何が発表されたのか:3本柱でサービス消費を拡大
中国商務部の閻東(Yan Dong)副部長は2月6日、国務院新聞弁公室の政策説明会で、サービス消費の成長を促す詳細な設計図(ブループリント)を示しました。方針は大きく3点です。
- 重点分野の活性化
- 新興分野の潜在力の掘り起こし
- 制度面の支援(環境整備)を強化
また、分野ごとに事情が異なることを踏まえ、「業界別(industry-by-industry)」に支援策を組み立て、サービス消費の質を高めていくとしています。
重点はどこ? 生活密着の定番から“体験”まで
今回の計画は、成熟したサービスと、伸びしろの大きい新領域を同時に狙う構図です。
重点育成とされた分野(例)
- 交通(移動関連)
- 家事・ハウスキーピング
- オンライン視聴覚サービス
- シニア向け観光・ツーリズム
- 自動車アフターマーケット
- インバウンド消費
「伸びる領域」として挙がった分野
- ライブパフォーマンス
- スポーツイベント
- 「エモーショナル/体験型サービス」:気分転換や没入体験そのものが価値になるサービス
具体策:自動車改造の区分管理や大型イベントの安全最適化など
施策は「現場で動くか」を意識した、分野別の手当てが並びます。計画で触れられた例は次の通りです。
- 自動車改造(改装)で、等級・分類に基づく管理制度の検討
- 大型公共イベントの安全対策プロトコルの最適化
- 観光ルートの高度化や、シニア向けなどテーマ型の観光列車の開発
- 市場参入の緩和、不合理な制限の撤廃
- プレミアムブランドや事業者の育成、消費環境の改善
- 規格・標準の最適化、企業の信用情報開示の改善、専用金融商品の工夫
一見バラバラに見える項目も、「サービスを安心して買える条件(安全・情報・決済・供給体制)」を整え、体験の選択肢を増やすという一本の線でつながっています。
背景:サービス支出が拡大、2025年は消費の“ほぼ半分”に
商務部の孔徳軍(Kong Dejun)・サービス貿易・商業サービス司の責任者は、消費構造が「財(モノ)中心」から「財とサービスの両輪」へ移っていると説明しました。
- 2020〜2025年の1人当たりサービス消費支出:年平均8.5%増
- 1人当たり消費支出に占めるサービスの比率:2025年に46.1%(2020年比で3.5ポイント上昇)
伸びているのは量だけではなく、質の変化も示唆されます。計画が「体験」や「多様なライフスタイル」を強調するのは、消費者の関心が“あるかどうか”から“自分に合うか、満足度が高いか”へ移る局面に対応するため、と読み取れます。
インバウンドも視野:税還付販売や国際消費都市の整備
計画は国内需要の深掘りに加え、訪中需要の取り込みも意識しています。商務部によると、2025年の出入境(全港)の外国人は前年同期比26.4%増の8,203.5万人。出国時の税還付対象商品の販売は95.9%増で、税還付店は全国で約1.3万店に広がったとされています。
今後は、旅行関連サービスの「輸出」を促す政策づくりを主導し、観光、ビジネス、国際スポーツ、文化娯楽、ウェルネス、教育研修など幅広い分野でインバウンド支出を押し上げる方針です。あわせて、上海、北京、広州、天津、重慶の5つの国際消費中心都市の整備を深め、より国際的に利用しやすい環境づくりも掲げました。
見どころ:サービスの成長は「暮らしの実感」とセットで測られる
サービス消費は、統計上の伸びが見えやすい一方で、満足度や安全、トラブル時の対応といった“体験の質”が成否を左右します。今回の計画が、イベント安全や信用情報、標準化、金融商品といった横断的な基盤整備に踏み込んだ点は、成長政策でありながら生活者の接点を強く意識した設計だと言えそうです。
Reference(s):
China unleashes new policy package to turbocharge service consumption
cgtn.com








