国際ニュース番組The Vibeが映す4つの物語 美と伝統と環境をつなぐ
2024年11月6日に放送されたCGTNの国際ニュース・カルチャー番組「The Vibe」は、古代ギリシャの美の理想から宋代の陶芸、伝統医療、環境アートまで、4つの物語を通じて「時代を超える美」と「持続可能な未来」を描きました。本記事では、その内容を日本語で整理しながら、私たちがどんなヒントを得られるかを考えます。
4つの物語で見る、グローバルな「美」とサステナビリティ
この回の The Vibe では、次のような多彩なテーマが取り上げられました。
- 古代ギリシャのヘレニック・イデアル(美の理想)を北京で紹介する展示
- 宋代の陶芸家の創作の旅を、ダンスドラマとして表現した舞台作品
- 中米のヒーラーたちが、中国由来の薬草やトニック(滋養飲料)を取り入れる伝統医療
- ウクライナの「バンクシー」と呼ばれるストリートアーティストによる、川辺のごみをアートに変える環境プロジェクト
一見ばらばらに見える4つのテーマですが、「古い知恵や文化を、今の社会にどう活かすか」という共通の問いが流れています。
北京で出会う、古代ギリシャの美の理想
最初のパート「Timeless Quest for Beauty」では、古代ギリシャのヘレニック・イデアルと呼ばれる美の理想が、北京で紹介されている様子が伝えられました。遠く離れた文明どうしが、美術作品を通じて出会う場面です。
「調和」「バランス」「人間の身体の美しさ」といった価値観は、古代ギリシャだけでなく、東アジアの美意識とも重なる部分があります。中国本土の首都である北京でギリシャ美術が展示されることは、ヨーロッパとアジアのあいだで、美に関する対話が続いていることの象徴でもあります。
日本でも海外の名画展や彫刻展が人気ですが、他の文明の「美の基準」に触れることは、自分たちの日常や価値観を見直すきっかけになります。
宋代陶芸家、その旅路を「踊る器」として描く
「Impression of China」のパートでは、「Pottery in motion」として、宋代の陶芸家の芸術的な探求の旅がダンスドラマとして表現されました。土をこね、ろくろを回し、窯で焼き上げるという陶芸のプロセスが、ダンサーの動きや音楽に置き換えられていきます。
宋代は、中国の陶磁器文化が大きく花開いた時代とされます。その歴史を、教科書的な解説ではなく、身体表現と舞台芸術で伝える試みは、「伝統文化をどうアップデートするか」という現代的なテーマともつながります。
視覚と音楽、身体表現を組み合わせることで、歴史に詳しくない視聴者でも、陶芸家の葛藤や喜びを「感覚的に理解する」ことができます。これは、日本で増えている歴史舞台や体験型ミュージアムとも通じるアプローチと言えるでしょう。
中米で息づく、中国由来のハーブの知恵
「Ancient Wisdom」のパートでは、中米のハーバルヒーラー(薬草の治療者)たちが、中国から伝わる古くからのトニックや薬草の知恵に目を向けている様子が紹介されました。
気候も文化も異なる地域で、中国由来のハーブが取り入れられているという構図は、医療やウェルネスの分野におけるグローバルな知識の循環を象徴しています。草木を使ったケアは、現代医療と競合するものというより、生活の知恵として併存してきた側面もあります。
番組が伝えるのは、「どの伝統医療が優れているか」という優劣ではなく、地域ごとの経験や自然観を尊重しながら、知恵を共有していく姿勢です。日本でも漢方やハーブティーが日常に入りつつある今、遠く離れた中米の動きは決して他人事ではありません。
ウクライナの「バンクシー」、川辺のごみをアートに
最後の「River Reclaimer」のパートでは、東欧出身のストリートアーティストが紹介されました。ウクライナの「バンクシー」とも呼ばれるこのアーティストは、川辺に捨てられたごみを素材に作品をつくり、環境保護のメッセージを発信しています。
廃棄物を「見たくないもの」から「目を向けざるを得ない作品」に変えることで、川や街を汚しているのは誰なのか、そして何ができるのかを静かに問いかけます。巨大なプロジェクトではなくても、アートが地域社会の意識を変えていく可能性を示す例と言えるでしょう。
日本でも、海岸清掃やアップサイクルアートの取り組みが増えていますが、番組で紹介されたような試みは、SNS時代だからこそ国境を越えて広がりやすいとも言えます。
私たちに投げかけられた3つの問い
The Vibe の今回のエピソードに共通していたのは、「古いものをただ保存するのではなく、新しいかたちで生かす」という姿勢でした。それは日本の私たちにとっても、次のような問いとして響きます。
- 自分の暮らしの中で、「美」の基準は何によって形づくられているのか。
- 伝統や歴史を、教育やエンターテインメントの場でどうアップデートできるのか。
- ごみや資源、自然との付き合い方を、アートや地域の活動を通じてどう変えていけるのか。
2025年の今、世界は分断や環境危機と向き合い続けています。その中で、北京、中米、ウクライナという異なる場所を結びながら「時を超える美」と「人と自然の関係」を描いた The Vibe のエピソードは、日常のニュースとは少し違う角度から、世界とのつながりを感じさせてくれます。
Reference(s):
cgtn.com








