CGTN国際ニュース「The Vibe」に見る古典・環境・記憶のつながり
中国の国際ニュース番組「The Vibe」(CGTN)が2024年11月8日に放送した回では、北京の「世界古典会議」からペルーの環境保全、第二次世界大戦中に沈没した兵員輸送船「リスボン・マル号」を巡るドキュメンタリーまで、世界の課題を多角的に伝えました。本記事では、その内容を日本語で整理し、4つの物語に共通する「過去から学び、未来をつくる」という視点を考えます。
北京「世界古典会議」:古典の知恵で21世紀の課題に挑む
番組の冒頭で紹介されたのが、北京で開かれた「世界古典会議」です。世界各地の研究者が集まり、古典芸術や古代文明の知恵を、気候変動や社会の分断など、21世紀の課題にどう生かすかを議論しました。
ここでいう古典とは、文学や哲学、美術、演劇など、長い時間をかけて読み継がれてきた作品や思想を指します。それらを現代にそのまま保存するだけではなく、人間や社会の理解を深める「道具」として使い直そうという発想が共有されています。
古典は「過去の遺産」から「未来のツール」へ
会議では、古典を次のような観点から捉え直す試みが紹介されました。
- 環境危機や格差といった現代の問題を、歴史の長いスパンの中に位置づける
- 異なる文明の古典を読み比べることで、多様な価値観を理解する
- テクノロジーの発展が速い時代だからこそ、人間とは何かを問い直す
経済や技術のニュースがあふれるなかで、古典を通じて「そもそも私たちは何を大事にしたいのか」を考える視点は、日本の読者にとってもヒントになりそうです。
文化交流:若い世代が「巨人の肩」に立つ
番組の「文化交流」パートでは、イギリスの研究者が登場し、「巨人の肩の上に立つ」という比喩を使いながら、若い世代こそ過去の文明の教訓を引き継ぐ鍵だと語りました。
彼は、ある文明が一方的に教えるのではなく、お互いに学び合う「相互学習」が重要だと強調します。古典や歴史を共有しながら、若者同士が対話することで、新しいアイデアや協力の形が生まれるという考え方です。
日本でも、海外留学やオンラインでの国際交流が身近になりつつあります。単に語学力を身につけるだけでなく、「自分の社会をどう良くしていくか」を世界の同世代と話し合うことが、これからのキャリアや生き方に直結していくのかもしれません。
ペルーの「グリーンゴールド」:アマゾンを守る金採掘
「グリーンゴールド(環境に配慮した金)」を掘り出すペルーの鉱山労働者の取り組みも紹介されました。彼は、アマゾンの熱帯雨林を守るため、森林破壊や有毒な化学物質の使用を食い止めようと活動しています。
金の採掘は、多くの場合、森を切り開き、水銀などの有害物質を使うことで環境に大きな負荷をかけます。それに対し、この「グリーンゴールド」の取り組みでは、自然へのダメージを最小限に抑えながら、地域の人びとの生活も守ろうとしています。
持続可能な採掘の一例として、次のような工夫が考えられます。
- 伐採した場所に新たな木を植えるなど、森林再生とセットにする
- 有毒な化学物質の使用を減らし、代替技術を導入する
- 採掘によって得られた利益を、地域の教育や医療にも還元する
日本から見ると遠いアマゾンの話ですが、日常で使うアクセサリーや電子機器にも金は使われています。どのような形で採掘された資源なのかを意識することは、私たちの消費行動を見直すきっかけになります。
「リスボン・マル号」の沈没:戦争捕虜を悼むドキュメンタリー
番組では、第二次世界大戦中に沈没した兵員輸送船「リスボン・マル号」を取り上げたドキュメンタリーの制作者にも焦点を当てています。この作品は、船に乗っていた戦争捕虜(POWs)への祈りを込めながら、物語を世界に広めようとしています。
ドキュメンタリーの制作意図として強調されているのは、単に悲劇を再現することではなく、「二度と同じことを繰り返さないために、何を記憶し、どう語り継ぐのか」という問いです。戦争を知らない世代が増えるなかで、映像作品は記憶をつなぐ重要な手段になっています。
日本でも、戦争体験を伝える証言や映像のアーカイブ化が進んでいます。国や地域を超えて、こうした記憶を共有することは、国際社会で対立ではなく対話を選ぶための土台になるはずです。
4つの物語に通じる「過去から未来へのバトン」
今回の「The Vibe」で紹介された4つのテーマは、一見ばらばらに見えますが、その背景には共通するメッセージがあるように見えます。
- 古典や歴史の知恵を、現代の課題解決にどう結びつけるか
- 文化や世代、地域をこえて学び合う「相互学習」の大切さ
- 環境破壊や戦争の悲劇を繰り返さないために、記憶と責任をどう引き継ぐか
どの話題も、「過去は終わったもの」ではなく、「これからの選択を考えるための鏡」として捉え直す視点を示しています。これは、ニュースをただ消費するのではなく、自分の生活や社会のあり方と結びつけて考えたい読者にとって、重要なヒントになるのではないでしょうか。
日本の読者への小さな問いかけ
忙しい日常のなかで、古典や環境問題、戦争の記憶は、つい「自分とは遠い話」に感じられます。しかし、スマートフォンで国際ニュースにアクセスできる今だからこそ、次のような小さな問いを自分に投げかけてみることができます。
- 最近読んだ本や見た作品から、どんな「知恵」を受け取ったか
- 自分の消費や働き方は、環境や他地域の人びとにどんな影響を与えているか
- 家族や友人と、歴史や社会の話をどれくらい共有できているか
こうした問いを通じて、ニュースとの距離感も少しずつ変わっていきます。今回の「The Vibe」が示したように、世界のどこかで語られている物語は、私たち自身の選択とも静かにつながっています。
Reference(s):
cgtn.com








