CGTN『The Vibe』が映す中国カルチャー最前線 マージャン、敦煌、童謡、古筝ジャズ
インドのマージャンブームから、敦煌石窟のデジタル化、子どもの歌の採集、古筝とジャズの共演まで――国際ニュースを伝えるCGTNのカルチャー番組『The Vibe』は、中国文化の今をコンパクトに切り取っています。2024年11月に放送された回では、4つの物語を通じて、中国と世界のあいだで生まれる新しい「つながり」を映し出しました。
放送から約1年がたった2025年の今、これらのテーマは、伝統とデジタル技術、ローカルとグローバルが交差する時代を考えるヒントとして、あらためて注目に値します。
1. インドの都市で広がる「Mahjong in India」
『Mahjong in India』のコーナーでは、インドの都市部でマージャンに魅了される人びとの姿が紹介されました。タイルを使った中国の伝統ゲームが、インドの「シティスリッカー(都会っ子)」にとって、新しい遊びと社交の場になりつつあるという視点です。
番組では、マージャンが
- 技と戦略、運が絡み合うゲームであること
- 世代や職業を超えて人びとをテーブルに集める「場」をつくること
- デジタルゲーム世代にとっても、アナログな駆け引きの面白さを思い出させること
といったポイントに光を当てています。中国発の遊びがインドの都市文化に溶け込みつつある様子は、アジアのあいだで進むソフトな文化交流の一端といえるでしょう。
2. 地下の宝庫をデジタルで開く「Digital Dunhuang」
『Discover China』のパートでは、『Digital Dunhuang』と題して、ウィーンを拠点にする研究者が敦煌の「地下の宝庫」を訪ね、最新のデジタル技術を体験する様子が描かれました。
莫高窟で知られる敦煌の文化財は、長い年月を経てきた貴重な壁画や仏像が多く、保存と公開のバランスが課題になってきました。番組が焦点を当てたのは、こうした文化財をデジタルデータとして記録し、世界の研究者や市民がオンラインでアクセスできるようにする取り組みです。
ウィーンの研究者が中国の現場で技術を確かめる姿からは、
- 文化財保護とテクノロジーの協力
- 地理的な距離を越えた共同研究の可能性
- 現地の実物とデジタル空間の「二重の体験」
といったテーマが見えてきます。デジタル化は単なる「便利さ」ではなく、国際的な知の共有を支えるインフラになりつつあることを示す例といえます。
3. 子どもの歌を救い出す「Ballad of He Guofeng」
『Revive the Old Melodies』コーナーの『Ballad of He Guofeng』では、一人の音楽家が中国各地を旅し、高齢の人びとの記憶に残る子どもの歌を集めていく姿が追われました。
急速な都市化やライフスタイルの変化のなかで、地域ごとの童謡やわらべ歌は、歌い継がれないまま消えていく危険にさらされています。番組の音楽家は、まさに「記憶の採掘者」として、
- 子ども時代に歌っていたメロディーを高齢者から聞き出し
- 録音や採譜を通じて楽曲として残し
- 新たなアレンジで現代のリスナーにも届けようとする
という、時間をかけた活動を続けています。
このパートが教えてくれるのは、文化の継承は「モノ」だけでなく、声やメロディー、日常の記憶をどう受け渡すかという問いでもある、ということです。デジタル録音や配信が当たり前になった今だからこそ、現場に足を運んで人びとの記憶をすくい上げる行為の重みが際立ちます。
4. 古筝とデンマークのジャズが出会う「Guzheng bebop」
『New Vibe』の『Guzheng bebop』では、「中国のハープ」とも呼ばれる伝統楽器・古筝を手にした若い演奏家が、北京でデンマークのジャズミュージシャンたちとセッションする様子が紹介されました。
古筝の繊細な響きと、ジャズのリズムや即興性が混ざり合うことで、従来のどちらのイメージにも収まらない、新しいサウンドが生まれます。番組が伝えるのは、
- 伝統楽器が「守るべき古いもの」から「実験と創造のための楽器」へと位置づけを広げていること
- ヨーロッパのジャズと中国の音楽が対等に混ざり合うコラボレーションの姿
- 若い世代が国境を越えて音楽言語を共有しようとする姿勢
といったポイントです。北京という都市空間を舞台にした、多国籍な即興演奏の景色は、グローバルな世代感覚を象徴するシーンともいえるでしょう。
5. 「The Vibe」が映す、中国と世界のいま
マージャン、敦煌、童謡、古筝ジャズ――一見ばらばらに見える4つの企画を通じて、『The Vibe』の2024年11月放送回は、中国文化が世界と交わるさまざまなレイヤーを同時に見せていました。
2025年のいま、このエピソードを振り返ると、次のような問いが浮かび上がります。
- ゲームや音楽といった「楽しみ」が、国境を越えた共通言語になり得るのか
- デジタル技術は、文化の保存と共有にどこまで貢献できるのか
- 急速に変化する社会の中で、どのようにして記憶や物語を受け継いでいくのか
国際ニュースを日本語で追いながら、こうしたカルチャーの断片に目を向けてみると、中国と世界の距離のとらえ方が少し変わって見えてきます。通勤時間のスキマで動画を一本見るだけでも、新しい視点の入り口になるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








