音楽とアートでつながる中国文化 CGTN『The Vibe』を読み解く video poster
中国の音楽、アート、伝統芸能が、今どんなかたちで世界とつながっているのか。CGTNの文化番組『The Vibe』2024年11月20日回が紹介した4つのトピックから、その一端が見えてきます。
CGTN『The Vibe』が切り取る「いま」の中国文化
デジタル配信でも視聴できる国際ニュース番組『The Vibe』は、中国文化の動きをポップに紹介するシリーズです。2024年11月の放送では、音楽、現代アート、思想、伝統芸能という4つの切り口から、世界と交差する中国文化の現在地を伝えました。昨年の番組ですが、そのテーマは2025年の今も読み解く価値があります。
古筝×西洋音楽 中国系オーストラリア人作曲家の挑戦
まず取り上げられたのは、Musical Bridge(ミュージカル・ブリッジ)と題された音楽の話題です。番組は、中国系オーストラリア人の作曲家が、中国の伝統楽器・古筝(グージェン)を西洋の音楽ジャンルに大胆に取り入れ、文化の壁を乗り越えようとしている姿を紹介しました。
古筝は、多数の弦を張ったお琴のような楽器で、繊細でありながら力強い音色が特徴です。その古筝を、バンド編成や現代的なサウンドと組み合わせることで、番組が伝えるように、聴き慣れた西洋音楽のフォーマットのなかに中国的な響きが自然に溶け込みます。
この試みには、次のような意味が込められているように見えます。
- 伝統楽器を「博物館の中」ではなく、現代の音楽シーンのど真ん中に置く
- 中国とオーストラリアという複数のルーツを持つ個人の経験を、音として可視化する
- 西洋と東洋という二項対立ではなく、混ざり合うグローバルな音楽文化を提示する
上海・外灘のウォーターフロントが「アーティスティック・ワンダーランド」に
Artistic Wonderland(アーティスティック・ワンダーランド)というコーナーでは、上海の外灘(バンド)ウォーターフロントで始まった3つの新しいアート展示が紹介されました。番組によると、これらの展示は、さまざまなメディアと視点を組み合わせた没入型の体験として構成されているといいます。
こうしたメディアを横断する展示は、訪れる人に「作品を鑑賞する」だけでなく、「作品の中に入り込む」感覚を与えます。観光地として知られる外灘のウォーターフロントが、同時に現代アートの実験場としても機能している点は、都市とアートの新しい関係を示していると言えるでしょう。
都市のブランディングとしてのアート
海外の都市では、ウォーターフロントや歴史的建築を、アートと文化イベントによって再定義する動きが広がっています。上海の外灘もその一つとして映し出されました。観光、ビジネス、居住の場である都市空間に、アートというレイヤーが重なることで、人々が街と関わる手触りも変わっていきます。
孔子へのトリビュート展 価値観をめぐる静かな問い
Tribute to Confucius(トリビュート・トゥ・コンフュ―シャス)のコーナーでは、Palace Museumが孔子に捧げる特別展を開催し、中国の哲学者・孔子の価値体系を称える内容になっていると紹介されました。
展覧会の詳細は番組の短い紹介の中では限られていましたが、「倫理観」「人と人との関係」「社会の秩序」といったテーマを重んじる孔子の思想を、現代の観客にどう伝えるのかという試みそのものが注目されます。
急速に変化する社会の中で、古典的な価値観をどのように読み替え、日常の判断や行動と結びつけるのか。こうした問いは、中国に限らず、私たち自身の社会にも静かに響いてくるものです。
崑曲とキューピッドが出会うとき エディンバラ・フリンジの白蛇伝
Legend of the White Snake(レジェンド・オブ・ザ・ホワイト・スネーク)のセグメントでは、有名な中国のオペラ団が、古典的な恋愛物語『白蛇伝』を題材にした崑曲(クンチュー)の舞台を、エディンバラ・フリンジ・フェスティバルで上演した様子が取り上げられました。番組は「Kunqu meets Cupid(崑曲がキューピッドと出会う)」というキャッチコピーで、そのロマンチックな世界観を伝えています。
数百年の歴史を持つ伝統芸能である崑曲が、大規模な舞台芸術のフェスティバルであるフリンジに参加することは、単なる海外公演以上の意味を持ちます。言葉の壁を超えて、歌、身振り、舞台美術、物語の普遍的なテーマによって、観客と感情を共有できるのかどうか。その試み自体が、文化交流の一つの実験として機能しているように見えます。
2025年の私たちが、この4つのトピックから読み取れること
2024年11月放送の『The Vibe』が切り取った4つのシーンは、2025年の今も次のような問いを投げかけています。
- 伝統文化を、そのまま保存するだけでなく、現代の表現とどう組み合わせるか
- 都市の風景や観光地を、アートと文化でどのようにアップデートできるか
- 古典的な思想や価値観を、日々の生活や国際社会の課題とどう結びつけるか
- 国や言語の異なる観客と、物語や感情をどのように共有できるか
国際ニュースを日本語で追いかける私たちにとって、こうした海外の文化番組は、ニュースの見方を少し変えてくれるヒントにもなります。次に配信プラットフォームを開いたとき、音楽、アート、哲学、そして伝統芸能といったキーワードで、中国やアジアの番組を探してみると、新しい発見があるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








