中国トゥ族の民族舞踊ウトゥ舞 虎と豹が躍る無形文化遺産
中国トゥ族の民族舞踊ウトゥ舞 虎と豹が躍る無形文化遺産
中国のトゥ族に伝わる民族舞踊ウトゥ舞は、虎や豹の模様をまとって踊る迫力ある伝統芸能で、2006年に国家級無形文化遺産に登録された注目の文化遺産です。
虎や豹に扮するウトゥ舞とは
ウトゥ舞は、中国のトゥ族の人びとが受け継いできた独自の民間芸術です。踊り手は体じゅうに虎や豹の模様を描き、全身を大きく使った力強い動きで、家のまわりにいる野生動物の姿を表現します。
激しく踏み鳴らすステップや跳躍、鋭く周囲をうかがうような身ぶりなど、一つ一つの所作には、獣のしなやかさと生命力が込められています。舞を通じて、自然とともに生きてきた暮らしの感覚がそのまま立ち上がってくるようです。
- 全身に虎や豹の模様を描く大胆なボディペイント
- 野生動物の動きを思わせる力強いステップ
- 人と自然が近かった時代の感覚を伝える表現
平安を祈り、厄を払う祭礼として
ウトゥ舞の歴史は、数百年前までさかのぼるとされています。当時、トゥ族の人びとは、平安を祈り、災いや悪いものを遠ざけるための祭礼として、この舞を奉納してきました。
虎や豹のような強い動物に姿を借りることで、目に見えない不安や恐れから家族や集落を守ってほしいという願いが込められていたのでしょう。踊り手は単なる芸能の担い手ではなく、共同体の願いを背負って踊る存在でもあったと考えられます。
2006年に国家級無形文化遺産に登録
こうしたウトゥ舞の歴史と文化的な価値が評価され、2006年には国家級無形文化遺産に登録されました。伝統的な民俗芸能が公式に認められることで、記録や継承に向けた取り組みが進みやすくなります。
無形文化遺産とは、形として残る建物や遺跡ではなく、人びとの技や表現、祭礼など、目に見えない文化のことです。登録はゴールではなく、次の世代にどう受け渡していくかを考える出発点でもあります。
登録から現在までの約20年のあいだに、ウトゥ舞も、地域に根差した姿を保ちながら、舞台公演や紹介イベントなど、さまざまな場で披露される機会が増えてきたと考えられます。
デジタル世代が出会うウトゥ舞
スマートフォンで世界中の映像に触れられる今、ウトゥ舞のような民族舞踊との出会い方も変わりつつあります。現地に足を運ばなくても、動画やオンライン記事を通じて、その雰囲気を知ることができます。
一方で、画面越しの短い印象だけでは、その背景にある祈りや歴史までは伝わりにくい面もあります。だからこそ、ニュースや解説とあわせて、なぜこうした舞が生まれ、何を願って続けられてきたのかをゆっくりたどる時間が大切になってきます。
私たちにできる小さなアクション
- ウトゥ舞のような無形文化遺産についての記事を家族や友人と共有する
- 異なる地域の民俗文化を、偏見ではなく好奇心から学んでみる
- 自分の暮らす地域にも受け継がれている祭りや芸能がないか振り返ってみる
民俗芸能から見える世界の多様さ
ウトゥ舞の物語は、中国の一つの民族のローカルな文化であると同時に、人びとが自然や見えない存在と向き合ってきた歴史の一場面でもあります。
国際ニュースを追いかける日々のなかで、こうした民俗芸能に目を向けてみると、世界は単なる経済や安全保障のニュースだけでなく、多様な暮らしと祈りで成り立っていることに気づかされます。
ウトゥ舞をきっかけに、私たちの日常のすぐそばにも、まだ知らない物語や文化が眠っているのではないかと想像してみるのもよいかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








