パンダが息吹を吹き込む成都漆器 若手デザイナーが描く伝統工芸の再生
中国ニュースを日本語で追う読者のあいだで、いま静かに注目を集めているのが成都発の漆器デザインです。パンダをモチーフに、古い漆工芸が新しいかたちでよみがえろうとしています。
パンダがつなぐ中国と成都のイメージ
海外では、パンダは中国を象徴する存在として知られています。一方、中国国内では、パンダは成都そのものを象徴する存在として親しまれています。
白と黒の毛並みと、どこかのんびりとしたしぐさ。こうしたパンダの姿は、時代や国境をこえて多くの人を魅了してきました。この親しみやすさが、漆器という伝統工芸に新しい物語を与えつつあります。
成都漆器の若手デザイナー、Li Haoranさん
成都を拠点とする若手漆器デザイナー、Li Haoran(リー・ハオラン)さんは、地元のパンダ研究基地からインスピレーションを得て作品づくりを行っています。現場でパンダの姿や動き、周囲の自然環境を観察し、その印象を漆器のデザインに落とし込んでいるのです。
Liさんの特徴は、伝統的な漆器の技法と、現代的なデザイン感覚を組み合わせている点にあります。長い時間をかけて塗り重ねる漆の深い光沢や、繊細な装飾といった職人技を守りながらも、形や色づかい、使い勝手の面では、現代のライフスタイルになじむよう工夫しています。
パンダ研究基地から生まれる発想
地元のパンダ研究基地は、Liさんにとって重要な着想の源になっています。パンダの丸みのある体のラインや、白と黒のコントラスト、竹林の緑など、そこで出会う風景の一つ一つがモチーフになり得ます。
パンダそのものをそのまま描くだけでなく、動きや表情を抽象化して文様にしたり、落ち着いた漆の色合いの中に、さりげなくパンダを思わせる要素を忍ばせたりすることで、子どもから大人まで楽しめるデザインへと昇華させています。
変化する時代の中でよみがえる漆器
時代が変わり、ライフスタイルや流行が移り変わる中で、漆器はしばしば古いものと見なされがちでした。しかし、Liさんのように伝統技術と現代デザインを組み合わせる動きは、この古い工芸に新しい息吹を吹き込んでいます。
成都の漆器は、次のような点で再び存在感を増しつつあります。
- 受け継がれてきた漆塗りの技術を大切にすること
- パンダという身近で親しみやすいモチーフを取り入れること
- インテリアや日常使いなど、現代の暮らしに合う用途を意識すること
こうした工夫によって、古くから続く成都漆器は、2025年の今も新しい世代に届くプロダクトとして生まれ変わろうとしています。伝統か現代かという二者択一ではなく、その両方を行き来する柔らかな発想が鍵になっています。
国際ニュースとしての視点
パンダをきっかけに、成都という都市の文化や、漆器という工芸の世界に目を向けてみると、中国のものづくりの現在地が少し見えてきます。国際ニュースとしても、経済や政治だけでなく、こうしたカルチャーの変化を追うことは、地域を立体的に理解する手がかりになります。
Li Haoranさんが手がける成都漆器は、シンボリックな存在であるパンダと、長い歴史を持つ漆工芸とを結びつける試みです。そこには、伝統を守るだけでも、完全に切り捨てるのでもなく、今の時代にもう一度生かし直すという静かな意志が感じられます。
私たちへの問いかけ
この物語は、中国の一都市や一人のデザイナーの話にとどまりません。各地に受け継がれてきた工芸や文化を、どのように次の世代へ手渡していくのかという、より普遍的な問いともつながっています。
パンダが象徴するやわらかなイメージと、漆器の持つ重厚さ。その組み合わせから生まれる成都漆器の新しい姿は、伝統と変化をどう両立させるかを考えるうえで、一つのヒントを与えてくれます。
通勤時間の短い読みものとしても、文化やデザインについてじっくり考えたい人にとっても、こうしたニュースは、日常の視点を少しだけ広げてくれる存在になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








