マカオとミロ鹿保護:観光都市と野生動物から見る中国の今
中国の国際メディアCGTNの番組「The Vibe 20241218」では、海上シルクロードの遺産を抱く観光都市マカオと、江蘇省で野生動物を守るレンジャーたちの姿が紹介されました。2025年の今、アジアの観光と環境保護を考えるうえで示唆に富む2つの物語として、あらためて注目する価値があります。
番組「The Vibe 20241218」が映した中国の今
この回のThe Vibeは、3つのパートで構成されています。マカオの新たなランドマーク「Poly MGM Museum」を通じて海上シルクロードの歴史をひもとく「Poly MGM Museum」、カジノ以外の魅力に光を当てる「My Date With Macao」、そして江蘇省のレンジャーとミロ鹿の保護活動を追った「Harmony Keepers」です。本記事では、その断片的な情報を手がかりに、マカオと江蘇省の現代的な姿を日本語ニュースとして整理します。
海上シルクロードを伝えるマカオのPoly MGM Museum
「Poly MGM Museum」のパートは、「Mercantile Macao(商都マカオ)」という言葉で表現される、マカオの商業都市としての素顔に焦点を当てています。カジノで知られるマカオですが、この新しいミュージアムは、海上シルクロードの遺産がどのようにマカオの血流に溶け込み、今日の街の性格を形づくってきたのかを浮かび上がらせる存在として紹介されています。
海上シルクロードは、古くからアジアと欧州などを結んできた海上交易のネットワークです。番組の紹介文からは、このミュージアムが、そうした交易と文化交流の歴史を、現代の観光都市マカオの新たなランドマークとして可視化しようとしていることが読み取れます。観光と歴史、エンターテインメントと文化遺産をどう両立させるのかという問いが、静かに投げかけられているようです。
カジノだけではない観光都市マカオ
「My Date With Macao」のパートは、「Beyond the craps tables(サイコロ賭博台の向こう側へ)」というフレーズが示す通り、カジノ以外のマカオの魅力に焦点を移しています。フィッシャーマンズワーフのような港町の風景から、ポルトガルの影響を色濃く残す料理、世界最高所のアドベンチャーパークまで、多彩な顔を持つマカオが「急成長する観光の磁石」として描かれています。
番組の断片から見えてくるのは、次のようなポイントです。
- カジノに依存しすぎない、観光コンテンツの多様化が進んでいること
- 歴史的な港町の雰囲気とポルトガル文化が、他都市にはない個性を生み出していること
- 極限の体験を提供するアドベンチャーパークなど、新しい娯楽が次々と登場していること
観光地としてのマカオは、ギャンブルだけでなく、歴史・食・アクティビティを組み合わせた滞在型の目的地へと姿を変えつつあるように見えます。これは、アジア各地の観光都市が直面する「いかにして付加価値を高めるか」という課題とも重なります。
Harmony Keepers:江蘇省レンジャーとミロ鹿
一方、「Harmony Keepers」のパートは、「Wildlife warriors(野生動物の戦士たち)」という言葉で紹介されています。舞台は中国東部・江蘇省。ここでレンジャーたちが、中国が絶滅の瀬戸際から救ったとされるミロ鹿(milu deer)の保護活動を今も続けている様子が描かれます。
番組の紹介文によれば、中国はこのミロ鹿を絶滅の危機から救うことに成功しました。しかし、保護が一段落したからといって、仕事が終わるわけではありません。江蘇省のレンジャーたちは、生息地を見守り続ける「Harmony Keepers(調和を守る人々)」として、日々の巡回や観察を通じて、野生動物と人間社会の共存を支えていると伝えられています。
絶滅の危機から守られたミロ鹿
ミロ鹿はシカの一種で、かつては絶滅が危惧されるほど数を減らしていました。そこから「絶滅の瀬戸際から救われた」という表現が使われるほどに回復した背景には、長年の保護政策と、現場で粘り強く活動してきたレンジャーたちの存在があります。
中国の野生動物保護の取り組みは、ときに開発計画やインフラ整備とぶつかることもあります。その中で、レンジャーという現場の目がどのように役割を果たしているのか。「Harmony Keepers」というタイトルには、経済発展と生態系保全のバランスを取り続けようとする姿勢が込められているようにも感じられます。
観光と自然保護、2つの物語から何を学ぶか
マカオと江蘇省。一見まったく異なる場所のように思えますが、CGTNの番組が同じ回で取り上げたことには、ある種の共通性が見えてきます。どちらの物語も、「経済成長の先に何を大切にするのか」という問いにつながっているからです。
マカオの事例は、観光都市が歴史や文化をどう掘り下げ、多様なコンテンツを通じて持続可能な魅力をつくっていくかというテーマを投げかけます。一方、江蘇省のミロ鹿保護は、生物多様性を守りながら地域社会の発展とどう折り合いをつけるかという課題を映し出します。
2025年を生きる私たちにとっても、次のような問いとして受け止めることができるでしょう。
- 観光地を訪れるとき、自分の消費行動はその土地の文化や環境にどんな影響を与えているか
- 歴史や生態系といった目に見えにくい価値を、どうやって将来世代に引き継ぐか
- 経済成長と環境保護のバランスを取る政策に対し、市民としてどのように関心を持ち続けるか
マカオの博物館や江蘇省のレンジャーたちは、遠い場所の話に見えるかもしれません。しかし、観光や自然保護をめぐる選択という意味では、日本社会とも地続きのテーマです。断片的な国際ニュースをきっかけに、自分の足元の風景を見直してみるタイミングかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








