金属象嵌の漆器に「絹のような艶」を生む特別な技術とは
金属象嵌の漆器に「絹のような艶」を生む特別な技術とは
金属箔と卓越した彫刻技術だけで、漆器の表面に絹のような光沢を生み出す――そんな独特の表現が、「成都漆器」として知られる漆芸の世界で受け継がれています。2006年には、成都漆器の芸術は国の無形文化遺産に認定されました。本記事では、その代表的な技のしくみを、ニュース感覚でコンパクトに紹介します。
金属箔に彫り込まれる、繊細な下絵
この技法では、まず漆器の表面に貼られた金属箔に、職人が細かな文様を彫り込んでいきます。文様は単なる模様ではなく、その後に続く作業で光と影をどう動かすかを決める「設計図」の役割を持ちます。
特製の彫刻針で描く「糸」のような線
次のステップで使われるのが、特別に設計された彫刻用の針です。職人はこの針を使い、金属箔の上に糸のように細く長い線を何本も重ねていきます。
流れるような線は、見る角度によってきらめき方が変わり、金属箔に独特の表情を与えます。まるで布地の繊維が光を受けて揺らぐように、漆器の表面に「動き」が生まれます。
- 線は一本一本が連続し、途切れずに流れているように見えること
- 線の向きや重なりが、見る方向によって異なる光り方を生むこと
- 彫り跡そのものが、光と影のグラデーションをつくりだすこと
「深さ」と「太さ」が決める、質感と艶のバランス
この技法の核心は、一本一本の線の「深さ」と「太さ」を、職人が細かくコントロールしている点にあります。ほんのわずかな力加減の違いが、金属箔の輝き方や、触れたときの印象を大きく変えてしまうからです。
線が深くなればなるほど、影が強まり、立体感が生まれます。一方で、浅い線はやわらかな反射を生み、全体の艶を高めます。無数の線を組み合わせることで、「質感」と「光沢」が矛盾なく共存した、上品な表情がつくられていきます。
こうした金属箔の扱い方は、成都漆器を特徴づける重要な要素のひとつとされています。
2006年に国の無形文化遺産に認定
この金属象嵌の技術を含む成都漆器の芸術は、2006年に国の無形文化遺産に認定されました。およそ20年近くにわたり、守り伝えるべき文化として公式に位置づけられていることになります。
無形文化遺産とは、形として残る「モノ」だけでなく、技や知恵、表現そのものを未来に引き継ぐための枠組みです。成都漆器の場合、この金属箔を使った高度な彫刻技法も、その中核をなす要素のひとつといえるでしょう。
作品を見るときのちょっとした「鑑賞ポイント」
もし成都漆器の作品や写真・動画に触れる機会があれば、次のような点に注目してみると、職人の技がより立体的に感じられます。
- 作品を少し傾けて、光の当たり方で金属箔の表情がどう変わるかを見る
- 糸のような線が、どの方向に、どのようなリズムで刻まれているかを追いかける
- 線の太さや密度の違いが、柔らかさや重厚さとどう結びついているかを意識してみる
ニュースとしての話題性だけでなく、日々のものの見方を少し変えてくれるのも、こうした伝統工芸の魅力です。次に漆器を見るとき、「この艶はどんな線の積み重ねでできているのだろう」と想像してみると、世界が少し違って見えてくるかもしれません。
Reference(s):
Special technique creates silky sheen on metal-inlaid lacquerware
cgtn.com








