CGTN『The Vibe』で巡る中国文化の今:音楽・書・建築・雪のアート
2025年も終わりに近づく今、今年1月に放送されたCGTNの文化番組『The Vibe』は、中国文化と世界が交わる瞬間をコンパクトに切り取った内容として、あらためて振り返る価値があります。琵琶、古代の書、アール・デコ、雪像アートという4つのテーマから、中国文化の今をのぞいてみます。
番組『The Vibe』が映し出した4つのシーン
この回の『The Vibe』には、次の4つの特集が並びました。
- 琵琶の名手・ウー・マンが語る新しい音楽とつながり
- 河北で見つめる、竹簡が伝える中国の書の heritage
- パリから上海へ渡ったアール・デコ建築の魅力
- 第37回ハルビン太陽島国際雪像アート博覧会のにぎわい
いずれも「伝統と現代」「中国と世界」という二つの軸が交差するテーマです。
琵琶の名手ウー・マンが探る「新しい音」と「深いつながり」
番組の冒頭を飾ったのは、世界的な琵琶奏者として知られるウー・マンの特集です。彼女は、新しい音楽づくりへの取り組みや、人との深いつながり、自身に影響を与えてきたものについて語りました。
伝統楽器である琵琶は、古い音楽の再現だけにとどまらず、現代の作曲家やアーティストとの出会いを通じて、新しい表現へと広がっています。番組はそのプロセスを、演奏だけでなく、対話やエピソードを交えながら伝えました。
「伝統を守る」のではなく、「伝統を使って今を奏でる」という姿勢は、中国音楽だけでなく、世界の多くの文化シーンにも通じる視点といえます。
河北でひもとく「竹簡」と中国の書
次のコーナーは「Ink from the Past(過去からのインク)」と題された特集です。河北で見つかった古代の竹簡が取り上げられ、中国の書の heritage(遺産)をどのように伝えているのかが紹介されました。
竹簡は、古い時代の文字文化を今に伝える貴重な資料です。そこに記された文字の形や書きぶりから、当時の人々の暮らしやものの考え方が浮かび上がります。番組は、竹簡を通じて中国の書の歴史をたどりながら、今日の書道や文字文化にもつながる長い時間の流れを映し出しました。
スマートフォンで文字を打つことが当たり前になった今だからこそ、「文字を書く」という行為の重みをあらためて考えさせる内容です。
アール・デコ:パリから上海へ渡った幾何学の美
「Art Deco」のコーナーでは、パリで生まれたアール・デコ様式が、どのようにして上海へと広がっていったのかが取り上げられました。幾何学的なラインや華やかな装飾が特徴的なアール・デコは、20世紀の都市文化を象徴するスタイルでもあります。
番組は、その幾何学的でグラマラスな要素が、上海の建築や街並みにどのように取り込まれていったのかを紹介しました。洋風建築と中国の都市文化が出会い、新しい景観が生まれるプロセスは、グローバル化時代の都市を考えるうえでも示唆に富んでいます。
上海の街を歩くとき、歴史ある建物のディテールに少し目を向けてみるだけで、パリから続くデザインの連続性を感じられるかもしれません。
ハルビン太陽島の雪像アートが迎える「温かい」冬
最後の特集「Artistry in Snow」では、第37回ハルビン太陽島国際雪像アート博覧会が取り上げられました。雪と氷でつくられた大規模な彫刻が並ぶこのイベントは、冬の風物詩として「温かい歓迎」を受ける準備を進めていると伝えられました。
雪像は、短い季節しか存在しない、はかないアートです。だからこそ、その場で体験する人々の記憶に強く残ります。番組は、雪像を制作するアーティストたちの創造性や、会場を訪れる人々の笑顔を通じて、冬の冷たさを忘れさせるような温かさを描き出しました。
観光やイベントとしてだけでなく、雪と氷をキャンバスにした公共アートのかたちとして見ると、ハルビンの雪像はまた違った表情を見せてくれます。
4つの特集に共通する「中国文化の今」
今回の『The Vibe』の4つの特集には、共通するいくつかの視点が見えてきます。
- 伝統と創造性:琵琶や竹簡、書、そして雪像アートまで、どれも過去から続くものを土台にしながら、今の時代ならではの表現を模索しています。
- 中国と世界の交差点:アール・デコ建築に象徴されるように、中国の都市や文化は、世界のさまざまな要素と出会いながら新しい姿をつくっています。
- 体験としての文化:音楽会、展覧会、街歩き、雪像イベントなど、文化は「見るもの」であると同時に、「その場で体験するもの」として描かれています。
これは、ニュースとしての文化報道が、「出来事の紹介」にとどまらず、「自分の生活や視点とどうつながるか」を問い直すきっかけになり得ることも示しています。
読者への小さな問いかけ
2025年の終わりに、あらためて問いかけてみたいことがあります。あなたにとって、いちばん身近な「伝統」は何でしょうか。そして、それをどのように「今」の生活や仕事と結びつけられるでしょうか。
ウー・マンの琵琶、河北の竹簡、上海のアール・デコ、ハルビンの雪像。それぞれの物語は、中国文化の一断面であると同時に、グローバルな時代における文化のあり方を考えるヒントにもなります。SNSで誰かとこの視点を共有しながら、自分なりの答えを探してみるのも、一つの楽しみ方かもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








