フランス式庭園に学ぶ 人が自然をデザインするという発想 video poster
フランス式庭園は、自然をそのまま受け入れるのではなく、人の手でコントロールし、デザインし直す発想を前面に押し出した庭園様式です。左右対称の構図や緻密な設計、そして壮大なスケールが特徴とされ、その頂点が17世紀にアンドレ・ル・ノートルによって形づくられました。
フランス式庭園とは何か
French garden design emphasizes human control over nature という言葉の通り、フランス式庭園は人間が自然を理性と技術によって整理し直すことを重視します。ここでは次の三つが象徴的な要素になります。
- 左右のバランスが取れた対称性
- 計算し尽くされた線や形による精密さ
- 遠くまで続く眺望や広がりが生み出す壮大さ
この組み合わせが、フランス式庭園ならではの形式的でドラマ性のある風景を生み出します。自然は自由に伸びるものではなく、一本一本が意味を持って配置される素材として扱われます。
アンドレ・ル・ノートルが拓いた17世紀のスタイル
17世紀、アンドレ・ル・ノートルは形式的なフランス式庭園の父と広くみなされる存在となりました。彼の最初の私的な仕事は、シャトー・ド・ヴォー=ル=ヴィコントの庭園設計でした。
この庭園は、城館から地平線へと伸びる一本の中央軸によって特徴づけられます。この軸線が、庭園全体の構図と視線の流れを決定づけました。訪れる人は、城の正面からまっすぐ延びる軸をたどることで、空間の広がりと秩序を同時に体験することになります。
一本の線から全体を組み立てるという発想は、庭園を単なる装飾ではなく、壮大な設計図にもとづく空間構成として考える姿勢を象徴しています。
「中央軸」が教えてくれる現代的な視点
城から地平線へと続く中央軸というアイデアは、2025年の私たちが空間や都市を考えるうえでも示唆に富んでいます。フランス式庭園から読み取れるポイントを整理すると、次のようになります。
- 軸から考える:全体の構成を決める一本の軸や基準をまず設定し、そこから細部を組み立てていく発想。
- 自然をデザインする:自然をそのまま残すか壊すかではなく、形づくり、見せ方を工夫することで新しい風景を生み出す視点。
- 細部とスケールの両立:遠くまで続くスケール感と、近づいたときに感じる精密さの両方を意識する考え方。
国際ニュースで取り上げられる都市開発や公共空間の議論とも重ねてみると、フランス式庭園は、自然と人間の関係をどう設計し直すかという問いを、何世紀も前から投げかけていたとも言えます。
考えるための風景としてのフランス式庭園
対称性、精密さ、壮大さ、そして中央軸。フランス式庭園は、自然をコントロールしようとする大胆な意思を、視覚的な形として示した空間でした。
忙しい日常のなかで、私たちはしばしば「流れに身を任せる」ことを選びがちです。一方、フランス式庭園の発想は、あえて一度立ち止まり、自分なりの軸を定め、全体をデザインし直してみるという視点をそっと示してくれます。
歴史的な庭園の話として読むのか、それとも自分の生活や仕事、都市の未来を考えるヒントとして読むのか。どちらの読み方をするかは、私たち一人一人に委ねられています。
Reference(s):
cgtn.com








