ネオ中式ファッションが世界へ 中国インフルエンサーの発信力 video poster
春節(旧正月)を前に、中国発の「ネオ中式(Xin Zhongshi)」ファッションが存在感を高めています。伝統をベースにしながら、現代的な感性でアップデートされたこのスタイルは、中国の人びとが祝いの装いを選ぶときの有力な選択肢となりつつあり、世界にも広がっています。
ネオ中式は、単に懐かしさを演出するだけのトレンドではありません。自分の文化的なルーツを大切にしながら、自信や美しさを表現できる「新しい自己表現のツール」として受け止められています。
中国本土の若者だけでなく、アジアや欧米の都市でもこのスタイルを取り入れる動きが広がるなか、中国国際テレビのCGTNは、ネオ中式の魅力を世界へ発信してきたインフルエンサーの李美月(英語名マイルズ・モレッティ)さんに話を聞きました。短尺動画で中国の美意識を伝えてきた彼女の取り組みから、国境を越えるファッションの力が見えてきます。
「ネオ中式」とはどんなスタイルか
ネオ中式とは、伝統的な中国服の要素と現代のカジュアルウエアを組み合わせたスタイルを指します。例えば、チャイナボタンや立ち襟、刺繍、シルク調の生地などのモチーフを、デニムやジャケット、ワンピースといった日常着に溶け込ませるのが特徴です。
全身を古典的な衣装で固めるのではなく、ワンポイントで伝統を取り入れることで、日常生活でも無理なく着こなせるのが人気の理由です。年代や性別を問わず取り入れやすく、ビジネスシーンからパーティーまで幅広く応用できます。
春節ムードとともに高まる関心
春節は、中国やアジアの多くの国と地域にとって一年で最も重要な祝祭のひとつです。家族や友人と集まるこの時期、人びとは晴れ着として何をまとい、どのように自分らしさと文化を表現するかを考えます。
その選択肢として、近年はネオ中式が急速に存在感を増しています。従来のフォーマルな民族衣装ではなく、動きやすさやトレンド感も備えたスタイルのため、若い世代が自然と手に取りやすいのが特徴です。写真映えするビジュアルも、SNSでの拡散を後押ししています。
李美月さんが世界に届ける「中国の美」
CGTNのインタビューに登場したインフルエンサー、李美月さん(マイルズ・モレッティ)は、ショート動画を通じて中国の美学やファッションを世界に紹介してきました。彼女の動画は何百万もの視聴者に支持され、コメント欄にはさまざまな言語が並びます。
動画の内容は、ネオ中式のコーディネート提案だけではありません。衣装に込められたストーリーや、柄・色にまつわる文化的な意味を短いテキストやナレーションで添えることで、初めて中国文化にふれる人でも楽しめるつくりになっています。ファッションを入り口に、歴史や習慣への関心が自然と広がる構成です。
また、彼女は自らもネオ中式を日常着として楽しむ姿を発信しています。「特別な行事の日だけの服」ではなく、通勤や街歩きのスタイルとして取り入れることで、伝統が暮らしの中で生き続けることを示していると言えます。
ショート動画がつなぐ国境を越えた共感
ネオ中式が中国本土の枠を超えて支持を広げた背景には、ショート動画というフォーマットがあります。数十秒から1分ほどの短い映像は、言葉の壁を越えて直感的に「かわいい」「かっこいい」と感じてもらいやすく、アルゴリズムによって世界中のユーザーの画面に届きます。
視聴者は、気に入ったコーディネートを保存したり、自分なりにアレンジしたスタイルを投稿したりすることで、トレンドの担い手にもなります。コメント欄では、「自分の国の伝統服でも同じことをしてみたい」「文化をシェアしてくれてうれしい」といった声が集まり、ファッションを通じた対話の場が生まれています。
日本の読者にとっての示唆
日本でも、着物や和柄を現代的にアレンジしたスタイルが注目されています。ネオ中式の広がりは、「伝統をどのように日常に取り戻すか」という問いに対するひとつのヒントと見ることができます。
ポイントは、伝統を単なる過去の遺産として飾るのではなく、今の自分の価値観やライフスタイルと結びつけることです。李美月さんの発信は、文化を尊重しながらも、恐れずに新しい解釈を試みる姿勢が、多くの人に共感を呼んでいるように見えます。
これからの「ネオ中式」と中国ファッション
2025年の終わりが近づき、これから迎える春節シーズンに向けて、ネオ中式はさらに多様なスタイルへと進化していくとみられます。フォーマルとストリート、伝統とポップカルチャーといった境界線がゆるやかになるなかで、中国発のファッションは、世界のスタイルの選択肢を豊かにしていくでしょう。
国際ニュースとしてのファッションは、単なる流行紹介にとどまりません。その背後には、歴史や文化、そして人びとの自己表現への願いがあります。ネオ中式ブームと李美月さんのようなインフルエンサーの登場は、中国の美意識が世界と対話する新しいフェーズに入ったことを示しているのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








