中国の立春を彩る布製ニワトリ飾り 親の吉を願う春の風習
中国の二十四節気の始まりである「立春」。2025年は2月3日でした。この日に合わせて、中国の一部の農村では、色鮮やかな布製のニワトリ飾りが子どもたちの服を彩ります。
立春とは?中国の二十四節気の始まり
立春は、中国の伝統的な二十四節気のうち最初の節気で、春の始まりを告げる大切な日とされています。2025年の立春は2月3日で、この日を境に気温が少しずつ上がり、大地が目を覚まし、草木や生き物が動き出す季節へと移っていきます。
カレンダー上の一日というだけでなく、立春は「季節の切り替え点」を実感するための目印として、今も人々の暮らしの中に息づいています。
南部山東・中部河北・北部安徽で受け継がれる布製ニワトリ
中国の南部山東省、中部河北省、北部安徽省の農村部では、立春の時期に布製のニワトリ飾りを手作りする習慣があります。家にある色とりどりの糸や布きれを使い、ニワトリの形をした小さな飾りを縫い上げていきます。
ニワトリの腹の部分には、豆や綿が詰められます。こうすることで、ふっくらとした形になり、子どもが身につけても温かみのある存在感が生まれます。
袖や帽子を飾る小さなお守り
出来上がった布製ニワトリは、そのまま飾っておくだけでなく、子どもたちの袖や帽子に縫い付けられます。まだ幼い子どもが身につけやすいようなサイズで作られ、服のワンポイントのように寄り添うかたちです。
それは単なるアクセサリーではなく、「新しい春を元気に過ごしてほしい」という家族の願いを託した小さなお守りの役割も果たしています。
「鶏」と「吉」―音に込められた縁起の良さ
こうしたニワトリ飾りが春の幸福と結びつく背景には、言葉の響きがあります。中国語でニワトリを表す発音「ジー」は、幸運やめでたさを意味する「吉」という言葉と同じ音です。そのため、ニワトリは「幸運を呼ぶ存在」として親しまれてきました。
親たちは、布製ニワトリを子どもの袖や帽子に縫い付けることで、「良いことがたくさん訪れますように」「一年を無事に、幸せに過ごせますように」という気持ちを静かに表現しています。小さな飾りに、家族の思いがぎゅっと縫い込まれていると言えるでしょう。
手仕事がつなぐ、春と家族の時間
色鮮やかな布製ニワトリ飾りは、既製品のキャラクターグッズとは違い、家にある布や糸を使って一つひとつ手で作られます。その時間そのものが、家族で春を迎えるための準備のひとつになっています。
立春という国際ニュースでも取り上げられる季節の節目を、こうした身近な手仕事で祝う姿には、「季節をどう感じ、どう迎えるか」という普遍的な問いがにじみます。日本に暮らす私たちにとっても、自分たちの春の過ごし方を振り返るきっかけになるかもしれません。
暦の上で春が始まる立春の日に、子どもの服にそっと縫い付けられる小さなニワトリ。そこには、ことばと色と手仕事を通じて幸運と幸福を願う、中国の暮らしの知恵が静かに息づいています。
Reference(s):
Colorful cloth rooster decorations welcome the Start of Spring
cgtn.com








