中国少数民族デアン族の春節:石臼型コマとアシュシェ文化がつなぐ暮らし video poster
中国南西部・雲南省の国境地帯で暮らすデアン族の集落では、春節の時期になると、独自の無形文化遺産が色濃く息づきます。石臼のような大きなコマを回し、歌い、踊り、語り合う人びとの姿からは、伝統と今の暮らしが交差する瞬間が見えてきます。
大きなガジュマルの木の下で始まる春節
春節を迎えた雲南省のデアン族の集落では、男女や子どもたちが大きなガジュマルの木の下に集まり、石臼型の大きなコマ遊びに興じます。地面で勢いよく回るコマは、見る人の心まで弾ませるように、笑い声と歓声の波を生み出します。
この大きなコマは、数千年にわたって受け継がれてきた無形文化遺産を体現するものでもあります。デアン族にとっては、春節に欠かせない特別な遊びであり、新年を祝うシンボルのひとつです。
竹とわらの家から現代的な住まいへ
デアン族の若者、26歳のヤオ・シャンロンさん(デアン名はア・サイ)は、自身が暮らす雲南省鎮康県白岩村の変化を誇らしげに語ります。
かつて村の人びとは、主に野菜や穀物を育て、竹とわらでできた老朽化した家屋で暮らしてきました。しかし、政府の支援策が進むなかで状況は大きく変わりました。いまではどの家庭も現代的な住まいに移り住み、サトウキビやナッツ産業が伸びることで、生計の柱も多様になっています。
春節のにぎわいの背景には、こうした生活基盤の変化があります。伝統を守りながらも、新しい産業と結びついた地域の姿がそこにあります。
歌・踊り・音楽が溶け合うアシュシェ文化
デアン族には、アシュシェ文化と呼ばれる独自の表現文化があります。歌、踊り、音楽が一体となったこの文化は、国家級の無形文化遺産として位置づけられており、二千年以上にわたり受け継がれてきました。
アシュシェ文化の特徴は、決まった舞台や特別な式典だけで演じられるのではなく、人びとが今、歌いたい、踊りたいと感じたときに自然に始まることです。日々の喜びや悲しみ、出会いと別れといった人生の機微が、そのまま歌と踊りになって表現されます。
春節の集いでも、人びとはコマ遊びの合間に歌い、踊り、太鼓や音色に身を委ねながら、世代を超えて感情を分かち合っています。無形文化遺産とは、単なる昔からの習慣ではなく、今この瞬間の暮らしを映し出す生きた文化だということが伝わってきます。
受け継がれる伝統と変わる暮らしをどう見るか
デアン族の春節に見られるのは、伝統文化と生活の変化が対立するのではなく、重なり合いながら同時に存在している姿です。大きなコマやアシュシェ文化は、村の暮らしが変わっても、人びとの心をつなぐよりどころであり続けています。
一方で、現代的な住まいの整備やサトウキビ・ナッツ産業の成長は、生活の安定や将来への選択肢を広げる力にもなっています。地域の若者が誇りを持って自分のふるさとの変化を語る姿は、地方から都市へと一方向に移動するだけではない生き方のヒントにも見えます。
こうした物語を追いかけることは、遠く離れた地域の話にとどまりません。私たち自身の足もとの地域で、どのように伝統と暮らしの変化を両立させていくのかを考えるきっかけにもなります。
デアン族の春節の風景から、無形文化遺産と地域の発展がともに歩む姿を、静かにイメージしてみてはいかがでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








