ロンドン発・1000年間二度と同じにならない音楽とは video poster
ロンドンで、シンギングボウルの録音をデジタルアルゴリズムで組み合わせ、1000年間同じ演奏が二度と現れないとされる音楽プロジェクトが進んでいます。2025年には、2009年以来となるシンギングボウルのライブ演奏が予定されており、静かながら国際ニュースとしても注目されています。
1000年間繰り返されない音楽がロンドンに登場
今回の音楽作品は、ロンドンで開発されたデジタルアルゴリズムが、複数のシンギングボウルの録音を組み合わせていくことで成り立っています。組み合わせのパターンが膨大なため、少なくとも1000年間は同じ音の並びが二度と再現されない設計になっているとされています。
シンギングボウルは、金属製の器を叩いたりこすったりして音を出す楽器で、瞑想やヒーリングなどにも使われる澄んだ倍音が特徴です。その一音一音が、アルゴリズムによって絶えず新しい順番で現れ、聴くたびに異なる響きとして立ち上がります。
デジタルアルゴリズムがつくる一度きりの響き
この国際ニュースが興味深いのは、作品が完成した固定された曲ではなく、仕組みそのものが作品になっている点です。デジタルアルゴリズムは、おおまかには次のような手順で音楽を生み出していると考えられます。
- シンギングボウルのさまざまな音を録音データとして用意する
- アルゴリズムが、それぞれの音をどの順番で、どの長さで鳴らすかを決める
- 膨大な組み合わせの中から、偶然と規則のバランスをとりながら音の流れをつくる
こうして生まれる音楽は、従来の作曲家が1曲ずつ書き上げるスタイルとは異なり、ルールと仕組みを設計することで、時間とともに変化し続ける音の流れを生み出します。
2009年以来、2025年に初のライブ演奏へ
この作品に使われるシンギングボウルが、実際に人々の前で演奏されるのは、2009年以来初めてだとされています。2025年にロンドンで予定されるライブ演奏は、16年ぶりに生の響きが空間に広がる機会となります。
これまで多くの人は、デジタルアルゴリズムが生成する音を録音や配信を通じて耳にしてきました。そこに、演奏者が直接シンギングボウルを鳴らす生演奏が重なることで、デジタルとアコースティック、計算と偶然が同じ場で出会うことになります。
このプロジェクトの意義については、Stuart Smith 氏が解説しています。本記事では、その背景を踏まえながら、私たちがどのような視点でこの音楽を受け止められるかを整理してみます。
なぜ終わらない音楽がいま気になるのか
動画や音楽を数十秒単位で次々と切り替えられる時代に、1000年間同じ音楽が繰り返されないという発想は、私たちの時間感覚に対する挑戦とも言えます。作品は、次のような問いを静かに投げかけているように見えます。
- 人はどこまで長い時間スケールで、芸術や文化を考えることができるのか
- テクノロジーは、私たちの聴くという体験をどこまで拡張できるのか
- 同じ曲を何度も聴き込む楽しみと、二度と同じにならない音を味わう体験はどう違うのか
1000年という時間は、人間一人の生涯はおろか、何世代も超えたスケールです。その長さを前提に設計された音楽に耳を傾けるとき、私たちは自分の人生の時間だけでなく、社会や地球の長い時間の流れにも思いを巡らせることになります。
私たちにとっての意味を考える
ロンドン発のこの音楽プロジェクトは、単なるデジタルアートや実験的な音楽作品にとどまらず、時間、テクノロジー、そして聴くという行為そのものを問い直すきっかけになっています。
2025年のライブ演奏は、画面越しではなく、その場の空気や振動ごと体験する貴重な機会となるでしょう。実際に会場を訪れることができないとしても、1000年間繰り返されない音楽という発想に触れるだけでも、自分の時間の使い方や、デジタルと向き合う姿勢を少し見直すきっかけになるかもしれません。
SNSでこのニュースをシェアしながら、友人や家族と「もし1000年続く音楽を聴くとしたら、あなたはどんな気持ちになるか」を語り合ってみるのも面白そうです。
Reference(s):
A piece of music that will never be repeated for a thousand years
cgtn.com








