村の裸馬レース「パオマパイ」 ユネスコ無形文化遺産になった春節の疾走 video poster
中国北部・山西省の村で、裸馬が細い路地を駆け抜ける伝統行事「パオマパイ」。春節の新年を祝うこの村の馬レースが、2024年にユネスコ無形文化遺産に登録され、2025年のいま、その姿に世界の視線が集まりつつあります。
村の細い路地を駆け抜ける「パオマパイ」とは
パオマパイは、中国北部・山西省陽泉市平定県の村で受け継がれてきた馬レースです。騎手となる村人たちは、鞍も鐙も使わずに馬にまたがり、ムチ代わりの手綱を振るいながら、村の細い通りを一気に駆け抜けます。
観客との距離が近い路地でのレースは迫力があり、土の地面を蹴る蹄の音や、走る馬の息づかいまで伝わってくるような臨場感が特徴です。華やかな競技場ではなく、生活の場そのものが舞台になっている点も、この行事ならではといえます。
春節シーズンを締めくくる、16日目の特別なレース
パオマパイが行われるのは、旧暦1月16日。中国の旧正月である春節から数えて16日目にあたり、地域では新しい一年の始まりを喜ぶ時期です。この日に馬を走らせることで、新年の繁栄や無事を願い、みんなで共有する祝祭の時間をつくり出してきました。
この村の馬レースを特徴づけるポイントを、あらためて整理すると次のようになります。
- 鞍や鐙を使わず、素朴な裸馬で走ること
- 旧暦1月16日に、春節を祝う行事として行われること
- 舞台はサーキットではなく、村の細い通りそのものであること
こうした要素が組み合わさることで、パオマパイは単なるスポーツではなく、村人どうしが新年の喜びを分かち合う共同体の行事として、独自の姿を保ってきました。
ユネスコ無形文化遺産登録で広がる関心
2024年、パオマパイはユネスコの「人類の無形文化遺産の代表一覧表」に加えられました。世界各地の無形文化遺産を記録し紹介するこの一覧表に、山西省の村の馬レースが新たに名を連ねたことになります。
登録によって、これまで地域の人びとが中心となって守ってきた行事が、国際的にも知られるようになりました。パオマパイの背景にある新年の祝い方や、馬とともに暮らしてきた歴史に、国内外からの関心が高まりつつあります。
デジタル時代に伝統行事をどう受け止めるか
スマートフォンで世界中のニュースや動画に触れられるいま、遠くの村の馬レースの話題も、画面越しに身近なものとして感じられるようになりました。もしパオマパイの映像や写真を見る機会があれば、スピード感だけでなく、背景にある村の暮らしや、人と馬の関係にも目を向けてみたくなります。
デジタルネイティブ世代にとって、こうした伝統行事は「遠い国の珍しい祭り」にとどまらず、自分たちの地域の文化を見つめ直すヒントにもなりえます。新しい年をどう迎え、どんなふうに祝うのか。パオマパイの疾走は、その問いを静かに投げかけているのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








