中国観光ブームを生む「映画の力」CGTN「The Vibe」が描く新しい旅
映画やアニメをきっかけに中国を旅する人が増えています。今年2月放送のCGTNの番組「The Vibe」では、中国観光と映像作品を組み合わせた最新の取り組みが紹介されました。本記事では、その内容から見える観光トレンドを日本語で整理します。
映画がガイドになる「China Travel with Chinese Films」
番組のコーナー「Travel with Films」では、「China Travel with Chinese Films」と題したプロモーションを通じて、多くの外国人観光客が中国を訪れている様子が伝えられました。
映画に登場した風景や街並みを実際に巡る「ロケ地巡り」のスタイルは、日本のアニメやドラマでもおなじみです。中国でも同じように、スクリーンで見た世界を体験したいという人々の動きが広がっているといえます。
こうした映像と連動した観光は、次のような特徴を持ちます。
- 映像作品そのものが「旅行ガイド」の役割を果たす
- 観光客がストーリーと結びついた形で街を記憶しやすくなる
- 作品の人気とともに、地方都市や新しい観光地にも注目が集まる
アニメ映画「長安」が生んだ古典詩ブームと観光
番組の「Tourism Boom」では、アニメ映画「長安(Chang'an)」が取り上げられました。この作品は古典中国詩への関心を呼び起こし、ゆかりの土地への観光を後押ししていると紹介されています。
映画をきっかけに古典詩や歴史への興味が高まり、その舞台となる地域を訪ねてみたくなるという流れは、文化と観光が結び付いた典型的な例です。単なる観光スポット巡りではなく、物語や詩の世界を重ねながら街を歩くことで、訪問体験はより記憶に残るものになります。
日本でも、歴史ドラマや時代劇の舞台を訪ねる旅がありますが、「長安」のケースは、中国の古典文化が現代のアニメ表現を通じて再発見され、その余波として観光需要も生まれている点が印象的です。
杭州の農村に生まれた「田舎ミュージアム」
「Rural Museums」のコーナーでは、杭州近郊の村が紹介されました。ここでは、使われなくなった農家の建物が、文化やアートの空間へと生まれ変わっています。
いわば「田舎ミュージアム」として再活用されたこれらの家屋は、次のような役割を担います。
- 地域の歴史や暮らしを伝える展示スペース
- アーティストやクリエイターが活動できる場
- 都市部の観光客や留学生などが農村文化に触れる入口
農村の空き家を、単に宿泊施設に変えるのではなく、文化・芸術と結びつけることで、地域のアイデンティティを保ちながら新しい訪問理由を生み出している点が特徴的です。
重慶・防空壕がよみがえる都市観光スポットに
「Urban Attractions」のコーナーでは、重慶が登場しました。番組では「サイレンが聞こえますか?」という印象的な問いかけとともに、戦時中に造られた防空壕が現代の都市型観光スポットとして再活用されている様子が紹介されています。
地下空間である防空壕は、夏は涼しく冬は比較的暖かいという物理的な特徴に加え、戦争の記憶や都市の歴史を伝える場としての意味も持ちます。これを「活気ある都市アトラクション」として再設計することで、重慶は次のような価値を生み出しています。
- 過去の記憶を風化させず、体験として伝える
- 従来あまり注目されなかった場所を新たな観光ルートに組み込む
- 夜間やオフシーズンでも楽しめる都市観光資源を増やす
映画と観光がつなぐ「新しい旅」のかたち
CGTNの「The Vibe」が取り上げたこれらの事例は、中国観光が「映像作品」と「ローカルな歴史・文化」を掛け合わせながら進化していることを示しています。
- 映画をきっかけに中国本土を訪れる外国人観光客の増加
- アニメ作品を通じた古典文化の再発見と観光需要の喚起
- 農村の空き家や防空壕といった既存資源の創造的な再利用
日本でも、アニメ聖地巡礼や歴史スポット巡りを軸にした観光はおなじみですが、中国で進んでいる「映画×観光×地域再生」の動きは、アジア全体の観光のあり方を考えるうえで参考になる部分が多いと言えます。
次に海外旅行を計画するとき、作品の舞台となった街や、地域の歴史を体験できる場所を訪ねてみる――そんな視点を加えるだけで、旅の記憶はぐっと豊かになるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








