河北・Wahuang Temple 断崖に「吊られた」1400年の寺院 video poster
中国河北省の Handan 市 Shexian County にある Wahuang Temple は、1400年以上の歴史を持つとされる寺院です。遠くから見ると断崖に張り付いて今にも落ちそうに見えることから、「Hanging Temple」とも呼ばれています。この不思議な建物は、どのような仕組みで成り立っているのでしょうか。
崖に「ぶら下がって」見える寺
Wahuang Temple は、岩肌の途中に建物が突き出すように建てられているため、見る角度によっては寺院全体が空中に浮いているように感じられます。写真や映像だけを見ると、「本当に大丈夫なのか」と思わず不安になる人もいるかもしれません。
しかし、この視覚的なスリルこそが、この寺院の大きな特徴でもあります。断崖に寄り添うようなシルエットは、自然の山と人工の建築が一体となった景観を形づくっています。
実は山とつながる構造 九本の鉄鎖の仕掛け
遠目には崖に「しがみついて」いるように見える Wahuang Temple ですが、実際には背後の山としっかりとつながっています。寺院の建物は、背後の山肌に打ち込まれた九本の鉄の鎖によって支えられているのです。
この鉄鎖は、ただ固定しているだけではありません。上階にいる人の数がある程度を超えると、建物全体がわずかに前方へ傾き、その「たわみ」を九本の鉄鎖が受け止める構造になっています。言い換えれば、重みが増えるほど鎖がピンと張り、建物を山側から引き戻す役割を果たします。
たとえるなら、次のようなイメージです。
- 通常時:建物は崖に寄りかかるように静止している
- 多くの人が上階に集まる:重さで前に傾こうとする
- 鉄鎖が働く:九本の鎖が張り、荷重を山側へ逃がす
単純に見えて、非常に理にかなった仕組みです。もし上階に人が集中しても、鎖が「ゆとり」を吸収することで、建物全体の安定を保とうとする発想がうかがえます。
千年以上続く「安全設計」と古代の知恵
Wahuang Temple は1400年以上の歴史を持つとされます。長い年月を経てもこの構造が語り継がれていること自体、当時の建築に対する信頼と工夫の積み重ねを示しているようです。
現代の建築では、地震や強風、群衆の重さなど、さまざまな力のかかり方を計算しながら設計が行われます。Wahuang Temple の九本の鉄鎖も、そうした「荷重の変化」をあらかじめ想定した仕組みとして読むことができます。あえて「揺れ」や「傾き」を許容し、その動きを利用して全体の安定を保つという発想は、今日の構造設計とも通じるところがあります。
見た目のスリルとは裏腹に、背後ではよく考え抜かれた構造が支えている。この対比が、Wahuang Temple を印象的な存在にしていると言えそうです。
断崖の寺院が投げかける問い
崖に張り付くような Wahuang Temple の姿は、「見えるもの」と「実際の仕組み」が必ずしも一致しないことを静かに教えてくれます。危うく見えるものが、実は周到に支えられている場合もあれば、その逆もあります。
国際ニュースを追っていると、派手な映像や強い言葉に目を引かれがちです。しかし、背後にある構造や仕組みに目を向けることで、見え方が変わることも少なくありません。断崖に「吊られた」ように見えるこの寺院の物語は、情報との向き合い方を考える一つのきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








