CGTN「The Vibe」に見る2025年の中国伝統文化トレンド4選
2025年3月5日に放送された国際ニュース番組CGTN「The Vibe」では、中国各地で進む「伝統文化の新しい楽しみ方」が4つのストーリーで紹介されました。宋・元代の料理の再現、貴陽の山あいにある無形文化遺産の博物館、映画をテーマにした上海の列車、ドラマ発のハンフーブームと山東の生産現場──いずれも、過去の文化を現在のライフスタイルの中でどう生かすかという問いにつながっています。
2025年の中国で進む「伝統のアップデート」
2025年も終盤に差しかかる今、中国では「昔ながら」の文化が、新しいかたちで日常に戻ってくる動きが続いています。今回のCGTN「The Vibe」の特集は、その流れを象徴するような内容でした。歴史の味を再現する試みから、山あいの博物館、映画をきっかけにした列車、伝統衣装の生産現場まで、文化と暮らしの距離が縮まっている様子が見えてきます。
宋・元代の料理をよみがえらせる試み
最初のパート「Recreating Ancient Dishes」では、研究者のXu Liさんが宋代や元代の料理を現代に再現する様子が紹介されています。数百年前に人びとが口にしていたとされる料理を、現在の台所で一つ一つ作り直し、長い歴史のなかで失われてきた独自の風味を探る取り組みです。
- 歴史書の年号だけでは見えにくい、当時の暮らしや嗜好が具体的に想像できること
- 再現された料理を味わうことで、過去を「体験」として捉え直せること
- 伝統とされる料理も、時代ごとに変化してきた「動きのある文化」だと気づけること
日本でも歴史グルメや再現レシピへの関心が高まっていますが、中国でも同じように、料理を通じて歴史への距離を縮めようとする動きが続いていることがうかがえます。
貴陽の山あいから伝える「手の記憶」
二つ目のパート「Memory on hands」では、中国の都市・貴陽の静かな山あいにある博物館が取り上げられました。この博物館は、無形文化遺産と呼ばれる、形として残りにくい技や物語を次世代に伝える場として紹介されています。
- 道具そのものよりも、それを使う手の動きや、受け継がれてきた記憶に焦点を当てていること
- 山あいという環境の静けさが、文化に向き合うゆったりとした時間を生み出していること
- 地域の人びとや訪問者が、文化の「見学者」から「担い手」へと変わっていく可能性が示されていること
無形文化遺産の保護は、多くの国や地域が抱える共通のテーマです。貴陽の山中にある小さな博物館の姿は、規模の大小を問わず、文化を受け継ぐための場づくりのヒントになりそうです。
映画ヒットが生んだ上海の映画テーマ列車
三つ目のパート「All aboard!」では、最近の興行成績の良い映画を背景に、上海で走る映画をテーマにした列車が紹介されています。この列車は、作品の世界観をコンセプトにしながら、これまであまり知られてこなかった上海の景勝地を広く伝える役割も担っています。
映画と交通インフラ、そして観光を組み合わせたこの取り組みは、移動そのものをエンターテインメント化しようとする試みとも言えます。通勤や通学で利用する車両が、日常と非日常のあいだをつなぐ舞台になっていく流れは、日本の都市にも通じるところがあるかもしれません。
ドラマが後押しするハンフーブームと山東の現場
最後のパートでは、伝統衣装ハンフーの人気上昇が取り上げられました。テレビドラマの影響でハンフーを日常的に楽しむ人が増えるなか、番組は山東に足を運び、こうした衣装がどのように生産されているのか、その背景を伝えています。
ハンフーのような伝統衣装は、かつては特別な式典や撮影のときだけ着るものというイメージもありました。しかし、映像作品やSNSを通じてその魅力が広がることで、人びとが街中でまとったり、日常のファッションに取り入れたりする動きが広がっています。山東での生産の現場は、その需要を支える技術やデザインの工夫が、地域の産業として根付いていることを示しています。
日本の私たちへのヒント
今回のCGTN「The Vibe」の特集に並んだ四つのストーリーは、中国の伝統文化の姿を紹介するだけでなく、私たち自身の暮らしや街を見直すきっかけにもなります。
- 歴史や伝統を、博物館や教科書の中だけでなく「体験」として味わうにはどうすればよいか
- 観光やエンターテインメントと結びついたとき、文化の伝え方はどう変わるのか
- SNSで写真や動画を共有するとき、自分がどのような文化のイメージを広げているのか
こうした問いを意識しながら国際ニュースや海外のカルチャー情報を追ってみると、一つ一つの映像や記事の見え方も変わってきます。2025年の中国で起きている「伝統のアップデート」は、グローバル化の時代における文化のあり方を考えるヒントとして、日本に暮らす私たちにとっても無関係ではありません。
Reference(s):
cgtn.com








