広東省肇慶の古城壁が語る1000年 嶺南文化と街の興亡を歩く
中国南部・広東省の都市、肇慶(Zhaoqing)に残る古い城壁が、約1000年にわたる街の興亡と嶺南文化の発展を静かに見守ってきました。北宋時代に築かれたこの城壁は、2025年の今も観光客を迎え入れ、古都の空気と時間の流れを体感させてくれます。
北宋時代に築かれた城壁 約2.8キロを取り囲む防御線
肇慶の城壁は、北宋時代に最初に築かれました。それ以来、街の歴史とともに立ち続け、約1000年という長い歳月を経ています。現在、城壁は全長およそ2.8キロにわたり、都市をぐるりと取り囲むように伸びています。
長い歴史のなかで、城壁は何度も大規模な改修や拡張を経験してきました。そうした積み重ねの結果、今目にする城壁は主にれんが造りとなっており、随所に土や石、木材でつくられた建物や構造物が組み合わさっています。素材の違いは、時代ごとの技術や美意識の変化を物語っているとも言えるでしょう。
明・清時代の中枢を担った街 嶺南文化の舞台としての肇慶
この城壁に囲まれた肇慶は、かつて明・清時代には広東と広西を管轄する高官の役所が置かれた場所でもありました。広い地域を統括する拠点として、政治や軍事だけでなく、物資や人、文化が行き交う要の都市だったことがうかがえます。
城壁はそうした時代の空気をすべて見てきました。繁栄のときも、停滞のときも、肇慶の城壁は街の「外枠」として、嶺南文化の発展とともに存在し続けてきたのです。今日の肇慶を歩く人にとって、城壁は単なる歴史建造物ではなく、地域の記憶が凝縮された「タイムライン」のような存在だと言えるかもしれません。
城壁で一番高い場所・披雲楼 雲をまとう塔から朝日と夕日を眺める
城壁の中でもひときわ目を引くのが、最も高い場所に立つ「披雲楼」です。その名には「雲をまとう」という意味が込められており、まるで雲の衣を肩に羽織ったように、空に向かってそびえ立っています。
披雲楼は、いまでは肇慶を訪れる人々が集まる人気のスポットになっています。とくに、朝日が差し込み始める時間帯や、夕日が城壁と塔の屋根を金色に染める瞬間は、訪問客が写真を撮ろうと一斉にカメラやスマートフォンを構える時間です。日の光に照らされた屋根瓦と、長く続く城壁のラインが重なり合う風景は、短い滞在でも強く印象に残るはずです。
素材が語るものづくりの歴史 れんが・土・石・木が共存する風景
現在の城壁はれんがが中心ですが、その周囲には土や石、木でできた建物や構造物も共存しています。この混ざり合いは、単に建材の違いというだけでなく、時代ごとの工法や地域の環境への適応を映し出しているようにも見えます。
たとえば、れんがは耐久性と整った外観をもたらし、土や石は周辺の自然と一体となった落ち着きを感じさせます。木の建物は、人の生活や息づかいをより近くに想像させる存在です。城壁を歩きながら、足元や周囲の素材に目を向けてみると、肇慶という街がどのように形づくられ、守られ、受け継がれてきたのかが少しずつ浮かび上がってきます。
「栄枯盛衰」を見守る視点 2025年の私たちが感じられること
北宋から明・清、そして現代の2025年に至るまで、肇慶の城壁は街の「栄枯盛衰」を見続けてきました。経済や社会の姿が変わっても、同じ場所に立ち続ける構造物があることは、変化の時代に生きる私たちにとって大きな安心感や示唆を与えてくれます。
訪れる人にとって、この古い城壁は、過去と現在をつなぐ「観察デッキ」のような存在かもしれません。披雲楼から朝焼けや夕焼けを眺めながら、1000年近く前に同じ場所に立っていた人々がどのような思いでこの街を見ていたのかを想像してみると、自分の時間感覚も少し変わってくるはずです。
ニュースやデータで中国南部の発展を追うだけでなく、肇慶の城壁のような長い時間を生きてきた風景に目を向けることは、地域の歴史や文化を立体的に理解する一つの手がかりになります。短い旅行でも、画面越しのバーチャルな訪問でも、この城壁の物語に触れてみる価値はありそうです。
Reference(s):
Ancient city walls witness ebb and flow of Zhaoqing over centuries
cgtn.com








