雲南・氷島プーアル茶:野生茶が世界の茶市場へ歩む物語 video poster
中国の雲南省リンツァン市メンクー鎮にある氷島村は、中国語で「アイスランド」と同じ漢字を書きますが、いま注目されているのは寒さではなく、その貴重なプーアル茶です。かつては山中に自生する野生の茶にすぎなかった氷島プーアル茶が、地元の人びとに受け継がれ、地方政府の支援と農家の努力によって市場へと羽ばたきつつあります。
「氷島」という名を持つ雲南の小さな村
氷島村は、雲南省リンツァン市メンクー鎮に位置する小さな集落です。名前は中国語でアイスランドを意味する「氷島」と同じですが、ここに広がるのは雪景色ではなく、古くから茶づくりが続けられてきた山あいの風景です。
氷島プーアル茶は、その地名を冠した茶として知られ、プーアル茶の産地の中でも特に評価される存在になりつつあります。長い時間をかけて育つ茶樹と、世代を超えて受け継がれてきた栽培の知恵が、その背景にあります。
野生の茶から受け継がれたダイ族の知恵
氷島プーアル茶は、もともと山に自生する野生の茶として存在していました。それを見いだし、生活の中に取り入れてきたのが、地域に暮らすダイ族の人びとです。彼らはこの茶を、日常的な飲み物であると同時に、癒やしの力を持つ存在として扱ってきました。
「癒やしの力」とは、体を温めたり、疲れをとったりするような役割として語り継がれてきたものです。現代の医療とは別の次元で、身近な自然の恵みとして、茶は地域の健康と暮らしを支えてきました。
地方政府と農家が支える「野生から市場」への転換
かつては山で採れる野生の茶だった氷島プーアル茶は、時間をかけて栽培と管理が進み、現在は地元の農家によって丁寧に育てられるようになりました。この過程を支えてきたのが、地元政府の後押しと農家の粘り強い取り組みです。
地方政府は、茶畑へのアクセス道路の整備や、生産・加工に関する技術支援、品質管理に関する学びの場づくりなどを通じて、氷島プーアル茶のブランドづくりを手助けしてきました。一方で農家は、代々受け継いできた経験に加え、新しい知識も取り入れながら、品質を安定させる努力を続けています。
こうした取り組みによって、氷島プーアル茶は村の外、そして中国の外にも届くようになり、2025年現在、より多くの茶愛好家がその味を知るきっかけを得ています。
一杯のプーアル茶に宿る地方のストーリー
氷島プーアル茶の歩みは、単なる農産物のブランド化ストーリーではありません。そこには、次のような要素が重なっています。
- 野生茶から栽培茶へと受け継がれた、地域の経験と技
- ダイ族をはじめとする人びとの暮らしや、自然への向き合い方
- 地方政府の支援と、農家の生活を支える新たな収入源づくり
- 伝統的な味わいを、現代の市場や世界の茶文化とつなぐ試み
一杯のプーアル茶の背景には、こうした地域の歴史や人間関係、そして自然との共生の物語が折り重なっています。氷島プーアル茶の広がりは、地方の小さな村が、自らの文化や資源を生かしながら、外の世界とつながるプロセスでもあります。
グローバル時代の中国茶をどう味わうか
国際ニュースというと、政治や経済に目が行きがちですが、氷島プーアル茶のような地域の物語は、グローバル化のもう一つの側面を見せてくれます。世界のどこかの茶杯に注がれるプーアル茶は、雲南省の山あいで暮らす人びとの時間と手仕事の結晶でもあるからです。
もし氷島プーアル茶や雲南産のプーアル茶に出会う機会があれば、産地名や背景に目を向けてみると、味わい方が少し変わるかもしれません。茶葉の香りや風味だけでなく、その背後にある歴史や文化、農家の生活を思い浮かべながら飲むことで、一杯の茶が「ニュース」にも「物語」にもなり得るからです。
「読みやすいのに考えさせられる」一杯の茶から
氷島プーアル茶は、雲南省の一村落から始まった小さな物語ですが、野生の茶が地域の宝となり、市場へと広がるプロセスは、これからの地方と世界の関係を考えるヒントにもなります。
2025年のいま、私たちはオンラインで世界中の情報や商品にアクセスできます。その便利さの裏側で、一つひとつの品物がどこから来て、誰の手を経て届いているのかを想像することは、自分の暮らしと世界を静かにつなぎ直す行為でもあります。氷島プーアル茶の物語は、そのことをやわらかく問いかけているようにも見えます。
Reference(s):
A taste of old Yunnan: Bingdao Pu'er tea, from the wild to the market
cgtn.com








