大雁塔と唐代建築:千年の仏塔をデジタル特展でたどる video poster
千年以上の歴史をもつ大雁塔が、唐代建築のデジタル特展を通じて、スマートフォンの画面越しに世界中の人びとと出会おうとしています。大雁塔は東西文化交流の象徴であり、その物語は、グローバル化した今の私たちの暮らしとも静かにつながっています。
千年の古塔・大雁塔とは
大雁塔は、唐代の都・長安の晋昌坊に位置する大慈恩寺の境内にそびえる仏塔です。唐代の高僧・玄奘がインドから持ち帰った仏教の経典や仏像を保管するために、自ら建設を主導したとされています。
塔は、木造建築をまねたような姿をしながら、実際にはレンガを積み上げた構造になっています。古朴で落ち着いた外観と、空に向かって真っすぐ伸びるシルエットが特徴です。
内部には、貴重な仏教経巻や文物が収められており、次のような価値を持つ建築として位置づけられています。
- 中国古代の仏教文化・歴史・芸術を研究するうえで重要な実物資料であること
- 中国古代の仏教建築を代表する存在であること
- 玄奘の西方への旅と、そこで得た知の遺産を今に伝える記憶の器であること
東西文化交流の使命を担うシンボル
大雁塔は、単なる宗教施設や歴史的建造物ではありません。唐代にインドからもたらされた経典や仏像を受け止めたこの塔は、当時の長安とインド世界をつなぐ架け橋のような存在でした。
玄奘が遠くインドまで歩みを進めて学びを深め、それを長安に持ち帰ったという物語は、東西の知と信仰が交わるダイナミックな交流の象徴でもあります。その記憶を具体的な形としてとどめているのが大雁塔であり、「東西文化交流の使命を担う千年古塔」と呼ばれるゆえんです。
塔そのものが、異なる地域や文化のあいだで交わされた対話の成果であり、2025年の今を生きる私たちにとっても、国や地域を越えて学び合うことの意味を静かに問いかけています。
デジタル特展でよみがえる唐代建築
近年、文化財や歴史建築をオンラインで紹介するデジタル特展が世界各地で広がっています。大雁塔も、唐代建築をテーマにしたデジタル特展の中で取り上げられ、その姿や背景が多言語で紹介されています。
現地を訪れることが難しい人びとも、スマートフォンやパソコンから塔の外観や構造、そこに込められた歴史的な意味について学ぶことができるようになりつつあります。
こうしたデジタル特展には、次のような効果が期待できます。
- 距離や時間の制約を超えて、千年の歴史をもつ建築にアクセスできる
- 若い世代が、動画やインタラクティブな解説を通じて文化遺産に親しみやすくなる
- 研究者や教育現場にとっても、資料として活用しやすい形で情報が整理される
私たちは大雁塔から何を学べるか
大雁塔は、レンガ一つひとつが積み重なって塔を形づくっているように、長い時間をかけてさまざまな文化や知恵が折り重なってきた結果として今ここにあります。
デジタル技術によって、その姿や物語に触れやすくなった2025年の今だからこそ、私たちは次のような問いを自分に向けてみることができます。
- 自分の暮らしは、どんな過去の旅や交流の結果として成り立っているのか
- オンラインで世界の文化遺産に触れたとき、その経験をどう日常の学びや仕事に生かすか
- 異なる文化や宗教に出会うとき、どのような姿勢で向き合いたいか
ニュースやSNSで流れていく情報の一つとして大雁塔を見るのではなく、千年の時間をかけて育まれてきた「東西の対話の記憶」として見つめ直すことができれば、私たちの世界の見え方も少し変わってくるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com







