アジアをつなぐ黄金の糸 マレーシア・ベトナム・カンボジアの環境と文化 video poster
アジアをつなぐ「黄金の糸」とは
アジア各地で、環境保護と文化遺産の継承をめぐる静かな革命が進んでいます。マレーシア、ベトナム、カンボジアでは、中国の技術や専門知識との協力を通じて、人々が自分たちの「根っこ」と地球の未来を同時に守ろうとしています。国際ニュースでは大規模な会議や合意が注目されがちですが、2025年のいま、こうした足元からの取り組みこそが、国境を越えてアジアをつなぐ「黄金の糸」として存在感を増しています。
この記事のポイント
- マレーシアでは、中国本土の技術を活用した太陽光発電が暮らしと環境を変えつつあります。
- 中国とベトナムの国境をまたぐ保全で、絶滅の危機にあるEastern Black Crested Gibbonsが守られています。
- カンボジアでは、クメール文化の遺跡がカンボジアと中国の専門家の協力で修復され、地域の誇りとなっています。
静かに広がるマレーシアのグリーンエネルギー革命
マレーシアでは、太陽光を活用したグリーンエネルギーが静かに、しかし着実に広がっています。背景には、中国本土の企業や専門家による技術協力があり、屋根や施設の上に設置されたソーラーパネルが、家庭や地域社会の電力を支えています。
太陽光発電は、電気代の負担を減らしながら、化石燃料への依存を下げる効果があります。環境への負荷を減らすだけでなく、電力の安定供給に悩んできた地方にとっては、暮らしの安心にもつながります。
特徴的なのは、この変化が「専門家だけのもの」ではないことです。農業従事者から都市部の若者まで、さまざまな人々が研修や現場での学びを通じて、太陽の光を「自分たちのエネルギー」として活用する方法を身につけつつあります。エネルギー転換が、そのまま人材育成や地域の新しい仕事の創出にもつながっているのです。
国境を越えて守る、Eastern Black Crested Gibbons
ベトナムでは、中国との国境地帯で、貴重な野生生物を守るための取り組みが続いています。その象徴が、Eastern Black Crested Gibbonsと呼ばれるテナガザルの一種です。特徴的な黒い体と森に響く鳴き声で知られるこの動物は、将来世代にも引き継ぎたい自然の宝の一つです。
中国とベトナムの協力による保全活動では、国境を挟んだ双方の関係者が、生息地の保護や違法な狩猟の防止に取り組んでいます。単に動物を「守る」だけでなく、周辺の村に暮らす人々の生活との両立も重視されています。
このプロセスに関わるレンジャーや研究者、地域の住民たちは、森と向き合う時間を通じて、自分たちの暮らしが森の健全さと密接につながっていることをあらためて実感しています。自然との関係を見つめ直すことが、人と人とのつながりを強くしている側面もあります。
クメール文化を未来へつなぐカンボジアの遺跡修復
カンボジアでは、クメール王朝の時代から続く壮麗な文化と建築が、国のアイデンティティを象徴しています。しかし、長い年月の風雨や紛争の影響で、多くの遺跡や石像、壁面彫刻が傷み、崩壊の危機にさらされてきました。
そうした中で、カンボジアと中国の専門家が協力し、遺跡の修復と保存に取り組んでいます。細かな石のひび割れを補修し、今にも崩れ落ちそうだった古代の彫刻を安全な状態に戻す作業は、地道で時間のかかるものです。
修復されたレリーフや石像は、単なる観光資源ではありません。そこに刻まれた神話や日常生活の場面は、カンボジアの人々にとって、自分たちの歴史と文化を日々思い出させる「鏡」のような存在です。学校の学習や地域の行事にも活用され、若い世代が自国の文化を誇りとして受け止めるきっかけにもなっています。
環境と文化を結ぶ「黄金の糸」をどう生かすか
マレーシアの太陽光発電、中国とベトナムの野生生物保全、カンボジアの遺跡修復。一見別々に見えるこれらの取り組みには、いくつかの共通点があります。
- いずれも、地域の人々が主役となり、外からの技術や知見を取り入れていること
- 自然や文化を守ることが、暮らしの安定や誇りの回復にもつながっていること
- 中国本土と東南アジア諸国との協力が、実際の現場で具体的な成果を生んでいること
環境や文化の危機はしばしば「グローバルな課題」として語られます。しかし、その最前線にいるのは、特定の地域で暮らす一人ひとりです。アジアの各地で進むこうした実践は、「大きな枠組みの議論」と「日々の暮らし」をつないでいくためのヒントにもなります。
2025年を生きる私たちにとって、気候変動や生物多様性の損失、文化の画一化といった課題は、決して遠い話ではありません。マレーシア、ベトナム、カンボジアで紡がれている「黄金の糸」は、どの地域にも応用できるシンプルなメッセージを伝えています。それは、自分たちの足元にある自然と文化を見直し、他者との協力を通じて守り、次の世代へ手渡していくことです。
ニュースを追う私たち一人ひとりも、こうした取り組みを知り、会話し、共有することで、その「糸」をさらに太くしていくことができるのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








