莫高窟の遺産をデジタルで体験 唐代建築が語る信仰と美 video poster
敦煌・莫高窟の壁画や彫像、そして石窟建築が、デジタル技術によってあらためて注目を集めています。中国の唐代建築をテーマにしたインタラクティブなオンライン展示を手がかりに、その魅力と意味を整理します。
数千年を生きてきた敦煌・莫高窟
莫高窟は、中国の敦煌にある代表的な石窟建築で、数千年にわたって立ち続けてきたとされます。岩山をくり抜いた無数の石窟の内部には、壁画や彫像、精巧な建築意匠が広がり、中国の仏教文化を象徴する遺産として知られています。
なかでも、唐代(618〜907年)の時期に制作された空間は、当時の美意識と技術の粋が凝縮したものとされています。柔らかな色彩やダイナミックな構図、人物の姿勢や衣の流れなどを通じて、「唐の時代らしさ」が視覚的に表現されています。
アート・建築・信仰が一体となった空間
莫高窟の特徴は、壁画や彫像だけでなく、空間そのものが信仰のためにデザインされている点にあります。石窟の形、内部の動線、光の入り方といった建築的な要素が、精神的な体験を支える舞台となっています。
壁一面を覆う壁画や、仏像・菩薩像の配置には、さまざまな象徴性が込められていると考えられます。物語の場面が連なる構成や、中央に重要な存在を据える構図などによって、見る人の視線や意識は自然と導かれていきます。
- 壁画:色彩や構図を通じて教えや物語を伝える役割
- 彫像:表情やしぐさによって慈悲や安心感を表現
- 建築:空間全体で静けさと荘厳さをつくり出す
こうした要素が重なり合うことで、訪れる人は単に「鑑賞」するのではなく、自分自身の内面と向き合うような精神的な旅へと誘われます。
デジタル展示「Tang Architecture: Building Timeless Glory」とは
こうした莫高窟の世界を、現代の私たちに分かりやすく伝えようとする試みのひとつが、「Tang Architecture: Building Timeless Glory」というデジタル展示です。これは、唐代の栄光ある建築をテーマにしたインタラクティブなオンライン展示で、CGTNが制作したコンテンツの一部として紹介されています。
展示のなかでは、映像を通じて莫高窟の壁画や彫像、石窟建築がどのように組み合わさり、人々の精神的な旅を支えてきたのかという問いが投げかけられています。
「この芸術はどのようにして時代を超えて受け継がれてきたのか」「創り手たちは、どんな技法や象徴表現を通じて人々の心を導こうとしたのか」。そうした問いに目を向けながら映像や解説を見ることで、莫高窟をめぐる理解はぐっと立体的になります。
2025年の今、画面越しに遺産と向き合う意味
2025年のいま、世界各地の人々がスマートフォンやパソコンを通じて莫高窟の世界に触れられるようになったことは、文化遺産との向き合い方の変化を象徴しています。
- 遠く離れた場所からでも、歴史的な空間の雰囲気を感じ取ることができる
- 一度きりの鑑賞ではなく、時間をおいて何度でも見返せる
- 建築や美術、宗教といった複数の視点から、じっくり考えるきっかけになる
画面の中の映像であっても、数千年前の祈りや美へのまなざしに触れることは、私たち自身の価値観を静かに問い直す体験になりえます。実際の石窟を訪れることが難しい人にとっても、デジタル展示は「遠くの遺産」と「いまここにいる自分」をつなぐ新しい架け橋になっています。
「時を超える建築」をどう受け止めるか
莫高窟のように、芸術・建築・信仰が一体となった空間が、デジタル技術を通じて再び注目される背景には、「長い時間を生き抜いてきたもの」に対する関心の高まりがあります。
千年以上前に生み出された石窟の世界を、2025年の私たちはどのように読み替えられるのか。インタラクティブな展示をきっかけに、画面越しにモチーフや色彩、空間構成をじっくり追いかけてみると、そこに込められた祈りや思考が、意外なほど身近なものとして感じられるかもしれません。
スマートフォンの小さな画面と、敦煌の大きな石窟。その距離をどう埋めていくのかは、私たち一人ひとりの想像力に委ねられています。
Reference(s):
cgtn.com








