南京のデジタルアート展が描く「金陵」への時間旅行体験
南京のデジタルアート展がかなえる「時間旅行」体験
中国・江蘇省南京市のDEJI Art Museumで、デジタルアート展『A Digital Art Exhibition: An Interactive Landscape of Nanjing』が開催されています。清代の画家・Feng Ningによる名画『An Era in Jinling』を最新のデジタル技術で立体的に再解釈し、来場者が古都・金陵の世界に没入できる企画です。
110メートルの巨大スクリーンに広がる風景
会場でひときわ目を引くのが、長さ約110メートル、高さ3.6メートルという巨大なパノラマスクリーンです。そこに『An Era in Jinling』の世界が拡大投影され、細部まで描き込まれた街並みや人びとの暮らしが目の前に現れます。
鑑賞者はスクリーン沿いを歩きながら、まるで絵画の中の街を散策しているかのような感覚を味わえます。従来の「額縁の中の絵」を眺める鑑賞スタイルとは異なり、自分の身体の動きとともに風景が変化していく、インスタレーション的な体験です。
インテリジェント技術で「生きている都市景観」を再現
このデジタルアート展の特徴は、単なる大型プロジェクションにとどまらず、スクリーン自体にインテリジェント技術が組み込まれている点です。展示には、来場者の動きなどに応じて映像や音が変化する仕組みが活用され、古い都市のダイナミックな姿が強調されています。
- 人の動きに合わせて街並みの光や影が変化する
- 人びとのざわめきや楽器の音など、環境音が立体的に広がる
- 時間の移ろいが映像で表現され、同じ場所でも異なる表情を見せる
こうした演出により、静止画だったはずの『An Era in Jinling』は、歴史上のある「時代」を切り取った生き生きとした都市景観として再構築されます。来場者は、この古い都市の「黄金期」にタイムスリップしたような気分で、街の空気やリズムを体感できます。
アナログな名画とデジタル技術、その出会い
清代に描かれた絵画をデジタル空間で体験するこの試みは、アナログな文化遺産とデジタル技術の新しい関係を示しています。2025年現在、世界各地の美術館や博物館でも、歴史的な作品をインタラクティブに見せるプロジェクトが広がりつつあります。
今回の南京でのプロジェクトは、単に「わかりやすくする」「楽しくする」というレベルを超え、次のような深い鑑賞体験を促しています。
- 観客自身が空間を歩き回りながら、自分だけの視点で作品を読み解く
- 歴史的な都市のスケール感や人の流れを、身体感覚として理解する
- 過去の都市と現代の都市を、同じ場所から重ね合わせてイメージする
国際ニュースとして見る、都市と歴史の「再編集」
デジタルアート展『A Digital Art Exhibition: An Interactive Landscape of Nanjing』は、単なるエンターテインメントにとどまらず、「都市の歴史をどう伝え直すか」というグローバルなテーマともつながっています。
都市の記憶や歴史を、映像やインタラクティブ技術で再編集して提示する試みは、アジアを含む世界各地で進んでいます。南京で行われているこのプロジェクトも、その一例として注目できます。
スマートフォンで短い動画を撮って共有することが日常になった今、巨大スクリーンの前で体験する「時間旅行」は、私たちが歴史や都市をどのように感じ、記憶し、シェアしていくのかを静かに問いかけています。
Reference(s):
Digital art exhibition offers immersive 'time travel' experience
cgtn.com








