Wi-Fiを手放して孔子の時代へ?中国・曲阜の没入型文化体験 video poster
中国の国際ニュース番組「China Up Close」が投げかけたのは、「Wi-Fiを手放して孔子のように暮らしてみますか」という少しドキッとする問いでした。舞台は、孔子の故郷として知られる山東省・曲阜。古い儀式を現代によみがえらせた没入型の文化体験が、世界から訪れる人々の注目を集めています。
シルクの衣が舞う、2,500年前の歓迎の儀式
曲阜の会場では、絹の衣をまとった演者たちがゆったりと歩み、古代の作法に沿って来訪者を迎えます。再現されているのは、およそ2,500年前の歓迎の儀式。かつて孔子のもとを訪れた人々も、同じような一場面を目にしていたのかもしれません。
注目すべきなのは、訪れた人たちが単なる見物客ではないという点です。CGTNの劉佳鑫(Liu Jiaxin)記者や、海外からのジャーナリストたちは、儀式の流れの中に自らも入り込み、その一部として動きます。観客席から眺めるのではなく、儀式に参加することで、身体を通じて中国文化を感じる設計になっているのです。
見るから「参加する」へ、没入型の中国文化体験
番組で紹介されたこの場は、「孔子の理想の世界」を体験できる場所としてデザインされています。建物や衣装、所作の一つひとつが、来訪者が文化の中へ入り込めるよう工夫されているとされます。
こうした没入型の体験は、従来の「解説パネルを読む」タイプの観光とは大きく異なります。例えば、
- 儀式の一部として歩くことで、礼儀作法の意味を体感できる
- 歴史を、年表ではなく「場面」として記憶に残せる
- 参加者同士の対話を通じて、互いの文化観の違いに気づける
といった効果が期待できます。中国文化を紹介する場が、単なる「展示」から「対話と経験」へと変わりつつあることが、この取り組みからも見えてきます。
デジタル世代にとっての「Wi-Fiを手放す」という選択
なぜ番組は「Wi-Fiを手放す」という挑発的な問いを掲げたのでしょうか。スマートフォンが常に手元にある2025年の私たちにとって、通知から離れる時間は、ある意味でぜいたくなものになっています。
孔子の思想は、「学び続けること」や「他者への敬意」といったキーワードで語られることが多いですが、その本質に触れるには、一時的に日常のリズムから離れてみることも必要なのかもしれません。ゆっくり歩き、礼の所作をまねてみる。古代の言葉に耳を傾けてみる。そうした小さな行為の積み重ねが、「今、自分は何を大切にして生きているのか」という問いを、静かに浮かび上がらせます。
国際ニュースとして読む、文化交流の新しいかたち
今回、CGTNの劉佳鑫記者と海外メディアの記者たちがともに曲阜を訪れたことは、中国文化の発信の仕方が変わりつつあることも示しています。現地での体験を通じて、それぞれの言語で「中国をどう伝えるか」を考える──そんなプロセス自体が、一種の文化交流と言えるでしょう。
新しい文化体験の場は、
- 中国文化を深く知りたい海外の人々
- アジアの動きを自分の言葉で語りたいジャーナリストやクリエイター
- デジタル時代の学び方を模索する学生や社会人
にとって、ヒントを与えてくれます。国際ニュースを日本語で追う私たちにとっても、「どの国が正しいか」を論じる前に、「その国は自らをどのように語ろうとしているのか」に耳を澄ませるきっかけになります。
私たちは孔子の世界に何を見たいのか
Wi-Fiを完全に手放して生活することは現実的ではないかもしれません。それでも、曲阜での没入型の文化体験が投げかけているのは、「ときどきスマホを置き、別の時間軸で物事を考えてみませんか」という静かな提案です。
シルクの衣が舞う儀式の場に、世界中から人々が集まる今。ニュースを追う私たち一人ひとりも、「もし自分があの場に立ったら、何を感じるだろう」と想像してみるところから、次の問いが生まれてくるのではないでしょうか。
Reference(s):
China Up Close: Would you ditch Wi-Fi to live like Confucius?
cgtn.com








