北京出身のユキがつなぐ「怖い」と「好き」 爬虫類教育という挑戦 video poster
カエルやトカゲ、ヘビ。多くの人にとっては少し怖い存在ですが、誰かにとっては強い憧れや好奇心の対象でもあります。この国際ニュースの背景には、北京出身のユキという一人の若者が、中国本土でその「怖い」と「好き」の間を教育でつなごうとしてきた物語があります。本記事では、その歩みを日本語ニュースとして分かりやすくひもときます。
子どものころの小さな好奇心
ユキの物語は、子ども時代のささやかな好奇心から始まります。北京で育ったユキは、幼いころからカエルやトカゲ、ヘビなどの生き物に強く惹かれていました。図鑑や本を読みながら、その独特な姿や生態に想像をふくらませていたといいます。
しかし、1990年代の中国本土では、こうした生き物に安全に触れたり、深く学んだりできる場は多くありませんでした。ペットとして飼うことにもさまざまな制約があり、好奇心を持つ子どもが実際に観察したり世話をしたりする機会は限られていたのです。
ユキにとって、爬虫類や両生類は「本の中にいる遠い存在」。好きという気持ちはあっても、距離を縮める方法が見つからないまま、時間だけが過ぎていきました。
留学先でひらけた「新しい世界」
転機が訪れたのは、ユキが海外へ留学したときでした。留学先の国では法律が異なり、ユキが子どものころから憧れていた爬虫類をペットとして飼うことが認められていました。図鑑でしか見たことがなかった生き物を、自分の手で世話できる環境があったのです。
ユキは、慎重に情報を集めながら、現地のルールに従って爬虫類を飼い始めます。餌やりや温度管理、健康管理を通じて、これまで本で読んでいた知識が「実感のある理解」に変わっていきました。
同時に、周囲の人々が爬虫類を「怖いもの」ではなく、「知識と配慮があれば共に暮らせる相手」として受け止めていることも、ユキにとって新鮮な驚きでした。法律や文化の違いが、生き物との距離感をここまで変えるのか――。その気づきは、後の選択に大きな影響を与えます。
帰国後に向き合った「法律」という現実
留学を終えて北京に戻ったユキは、改めて中国本土の状況と向き合うことになります。留学先での体験をそのまま持ち込むことはできません。まず必要だったのは、「何が許され、何が許されないのか」を丁寧に確認することでした。
そこでユキが取りかかったのが、地元の法律や規制を学ぶことです。どの生き物が保護の対象なのか、どのような条件なら飼育が認められるのか、展示や教育活動にはどんなルールがあるのか。条文や解説を読み込みながら、一つひとつ整理していきました。
なぜ法律を学ぶところから始めたのか
ユキが目指したのは、法律をかいくぐることではありません。むしろ、ルールを尊重しながら、その範囲内で人々が爬虫類や両生類と安全に出会える方法を探すことでした。
その過程でユキは、一つの「すき間」を見つけます。それは、ペットとしての飼育だけでなく、「教育」として生き物に触れ、学ぶ場づくりです。法令を守りながら、専門家の監修のもとで行う観察会や講座であれば、人と生き物の距離を縮めることができるのではないか――。ユキはそうした可能性に「チャンス」を見いだしたのです。
「怖い」を「知っている」に変える教育
爬虫類や両生類に対して、多くの人が抱く感情は「怖い」「気持ち悪い」といったものです。しかしユキの経験は、恐怖の大部分が「知らないこと」から生まれているのではないか、という問いを投げかけます。
ユキが思い描く教育の場は、たとえば次のようなイメージです。
- 安全に配慮された環境で、専門家の説明を聞きながら生き物を観察する
- 生き物の役割や生態系とのつながりを学び、「なぜ存在しているのか」を知る
- むやみに触れるのではなく、距離を保ちながら共存のあり方を考える
こうした場を通じて、「怖いから近づかない」という態度から、「よく知らないから怖いのだ」と気づき、「知れば適切な距離感で付き合える」と理解が変わっていく可能性があります。
教育は、好きな人だけのためのものではありません。苦手意識を持つ人にこそ、落ち着いて考え、質問できる時間と空間が必要です。ユキの取り組みは、そのためのきっかけづくりでもあります。
2025年の私たちへの問い
2025年の今、都市化が進むなかで、私たちは野生の生き物と直接出会う機会を失いつつあります。その一方で、SNSや動画を通じて、遠くの珍しい生き物を「見る」機会は増えています。
ユキの物語は、そのギャップをどう埋めるかという問いを投げかけます。画面越しに「かわいい」「怖い」と感じるだけでなく、その生き物がどんな環境に生き、どんな役割を持ち、人間社会とどう関わっているのかを知るには、どのような学びの場が必要なのでしょうか。
中国本土で法律を学び、ルールの中でできることを探しながら、爬虫類や両生類への教育的なアプローチを模索するユキの姿は、「好きなもの」と「社会の仕組み」をどう折り合わせるかという、より普遍的なテーマとも重なります。
「読みやすいのに考えさせられる」ニュースとして
爬虫類や両生類に関心がある人はもちろん、実は少し苦手だという人にとっても、ユキの歩みは自分ごととして考えられるヒントに満ちています。
- 子どものころの好奇心を、どのように大人の学びにつなげるか
- 法律やルールを学ぶことで、逆に自由度を高めることができるのではないか
- 「怖い」と感じる対象と、どう向き合い直すことができるか
国際ニュースを日本語で読む私たちにとって、この物語は単なる一人の体験談ではなく、「知ること」が恐怖を和らげ、社会のなかでの新しい関係づくりにつながるという、静かだが重要なメッセージを伝えています。
身近な誰かと、生き物の話や「自分の好き」と社会との関わりについて語り合うきっかけとしても、ユキの挑戦を思い浮かべてみてはいかがでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








